異世界オルタレーション ~勇者パーティから追放されたレベル999の支援系チート魔術師が追放者同士で最強Sランク冒険者パーティを組むそうだが俺だけが有能だと気づいているのでざまぁされる前に連れ戻したい~
11.内輪もめは周囲に迷惑をかけない範囲でやってください
11.内輪もめは周囲に迷惑をかけない範囲でやってください
「ブレイブの攻撃を受けてまだ立てるっての……!?」
「だから自惚れてんじゃねぇよ。ぅゲホッ、しっかり見ろよ、まだ俺は……ぜぇ、ピンピン、してるぜ……」
驚くシルディアに血痰ごとそう吐き捨て、ゆらりと垂れる体躯を無理に起こす。背骨とか肋骨とか腹の中とかいろいろ痛いが、些細な問題だ。治癒魔法で多少カバーできる。
口を切り、鼻から血を流すブレイブは怒りでなく、狂ったように肩を震わせた。
「ハァ……ハァ……ハハハ、さすが俺の親友だ。堅物らしく、そんじょそこらの魔術師よりも頑丈だったか」
親友の定義を間違えてるぞ。
あと大魔導士だ間違うんじゃねぇよ。俺のこだわりもすっかり忘れているようだな。
俺との"約束"もすっかり、忘れているようだな……!
「なぁブレイブ、親友だってんなら目を覚ましてくれよ。俺だっておまえらと争いたくねぇんだ」
「ハッ、ぶん殴っておいてよく言うぜ。目を覚ませってんなら、それはこっちの台詞だ」
怒りをぶつけるような禍々しく悠々しい奴の魔力の増幅。威圧は強風となり、大樹の枝葉を空に舞わせ、伝う振動は石の
「……冗談じゃねぇよ」
どこまでも俺を落胆させる野郎だぜ。
完全にやる気じゃねぇか。
「おいおまえら。あぶねぇから下がっていろ」
ブレイブの一言にふたりは素直に従う。プリエラの幾重にも展開した防護魔法の膜が、改めてこいつが容赦なくぶちかますことを意味していた。
やるしかねぇのかよクソッタレ。
勝負は一瞬。一度の失敗も、長期戦も負けは確実。この一撃に懸けるしかない。
風向きが変わる。木々と草花が強く靡き、曇天の腹底で呻る雷鳴が静かに響く。
杖を剣のように携え、腰を落とす。いつでも振り上げられるよう、型のみを固め、筋骨の力を溶かす。
「「"竜よ、我が王の道を拓け"――」」
吹き荒れる風は雲を運び、曇天はますます暗さを増してゆく。ぶつかり合う不可視の魔力は魔物すら寄り付かせないだろう。ここは俺とあいつの
天の力を以て、この地の暴徒を鎮めよ。己のすべてをこの杖に、この腕に、そして神に捧ぐ。纏う光よ、勇者を騙るクソ野郎に天誅を与えん。贋作の剣とその悪しき志を――へし折ってやる。
「"
「"
視界の全てが漂泊する。一瞬だけ飛んだ意識の後、俺は杖を剣のように薙いだままだ。地を砕かんばかりに前へ踏み込んだ一脚はもう動かない。交差したブレイブの一撃を、この一撃で受け止め、そのまま斬った手ごたえはあった。
俯く先の地面は、深く、長く裂けていた。ネズミなら辛うじて転がり落ちていきそうなほどの幅を為している。遠くで地鳴りが聞こえてきた。
「空と地面が割れた……ッ!?」
シルディアの驚愕する一言が耳に届き、事の状況はわかった。
俺の背後にいるであろうブレイブは音一つ出さない。だが、気配でわかる。確実にそこにいて、俺と同じように剣を薙いだまま固まっているはずだ。
だが、折れたのは俺の方だった。
杖が砕ける。右肩から左大腿にかけて術衣と肉が裂け血が吹き出した。
「あが……ッ」
草地を赤に染め、血の水たまりへと身を倒す。雨の代わりにやつの哄笑が降り注いだ。
「見ろ! これが俺の力だァ!」
「……ぐっ」
転がり、仰向けになるので精一杯だ。回復も追いつかねぇ。だがそんな暇を与えてくれるほど奴は甘くないはずだ。
そりゃそうだよな。俺もメインの支援魔法でサポートしてもらってたんだ。能力が下がっているのはあっちだけじゃない。ましてや相手は勇者だ。力の差など歴然――。
「――ガフッ」
突然、ブレイブが吐血し、膝を崩した。
「なんだぁ……? なんで血が」
本人も困惑の顔を浮かべている。全身を痙攣させ、剣を握る力も弱ってきているように見える。
俺の渾身の一撃が通っただけの話だが、それにしたって、後遺的な効果は付属していない。それに実力ならブレイブの方が上手のはずだ。決死の覚悟で挑んだとはいえ、こうも互角に渡り合うのも納得がいかねぇ。
すると、わずかだが外部から流れてくるような魔力を感じた。骨の髄から熱を帯び、増幅するような感覚と、傷口の痛みが引いていくそれには身に覚えがない。ただ、この感覚は憶えている。
まさかこれって、支援魔法の効果。機能しているなら従来以上の能力を発揮できるが、予め自分自身にかけたわけじゃない。
「……はっ」
いや、まさかな。あいつは俺も同類として見ている。信頼関係など消え去ったはずだ。
けど、もし少しでも信用してもらえたなら。
「ありがとよ、メイン」
俺は震える脚で立ち上がる。怯んでいるブレイブも無理矢理体を動かし、歩み寄る俺を遠ざけるように剣を振るい、魔法を発動する。
「"
剣を大きく振るい、地面をも抉る斬撃を次々と飛ばしてくる。風を断ち切る音は竜の
「"血晶術・
傷口から溢れる血を手中に集め、紅く黒い結晶杖を形成する。同時、傷口を結晶化させ直ちに塞ぎつつ、飛ぶ斬撃を
「ガキの頃から変わってねぇな。おまえの一撃は凄まじいが、反動が大きい。それをメインの支援魔法でカバーして、反動の解消と持続的なスピードの向上が発揮されていたんだよ」
苦虫を噛み潰したような顔。とても勇者がしていい顔じゃねぇな。
杖を突きさし、詠唱する。
「"
伝う魔力は土と含む水に力を与える。それらを凝集させ、水を凍ては氷の鎧を纏わせることで、冷たい弾丸をブレイブの周囲で錬成する。地面から生み出された無数の弾丸に風の魔力を付与させ、音の速さで一斉にそいつめがけて飛ばした。吹雪くそれらは竜巻を形成し、その渦中へとブレイブを飲みこんだ。
だが、やつの剣が竜巻の隙間から鈍く光る。
「小賢しい真似しやがって。そんなちゃっちい攻撃で俺の剣捌きを止められるとでも思ってんのか!?」
当然、ブレイブは天然の弾丸の暴風雨に対してものともしない。まさに雨を弾いて身を濡らさない芸当を見事にこなしている。常人から見れば怪物に等しい実力。だけど、時間は稼いだ。
こんな簡単な陽動も見破れないとは。
「やっぱり墜ちたよ、おまえ」
「あ?」
パチン、と指を鳴らす。
「"
雹と礫の吹雪が止んだ刹那、ブレイブの足元から熱された
いつもなら気づき、対処できる魔法だった。それをこうもあっさりかかってしまったからには、さすがのブレイブも自分の実力に違和感を抱くはずだ。これがおまえ自身の限界なんだと、身をもって知れ。
「なんっ、うご、け……ねぇ」
「これでも説得が足りねぇか?」
そのときだった。
「――!」
爆風の如き速度で腹部に衝撃が走る。皮膚に波紋を描くほどの衝撃波を覚えては水平を滑空するかのように吹き飛ぶ。土から突き出た奇岩に激突してようやく、状況を把握できた。
効いたぜ畜生。シルディアの蹴りか。
随分な距離を挟んだ先、彼女の橙の髪から覗く翡翠の目が光る。
「"
詠唱し、彼女は両腕を地面に叩き付けた。地鳴りと共に訪れる、樹状に刻まれる
刹那、地面から巨大な根か、あるいは土色の触手が土埃を舞わせ、うねりながら顔を出した。加え、連続して地面から突出する岩の尖塔。風を切る音が聞こえんばかりに不安定な地を駆け、次々と迫りくる触手に乗っては空を駆け抜ける。全身触手の怪物と対峙しているような感覚。ひとたび捕まれば四肢を引裂く勢いだろう。
蠢く土色の空中回廊。それを縫うように容易く駆け上る影が一つ。追撃の疾風がこちらの首を狙っていようが、そんな敵意むき出しなら嫌でも場所が分かる。
「"
位置は察した。触手を蹴ったと同時に身をねじっては振り返る。後方斜め下へと手を向けてはアメジストの魔法陣を展開した。
「"
詠唱直後、空気が割れるような音が肌を切る。ミシリと骨が軋み、腕が反れ、それに乗じて俺の体も空へと弾き飛んだ。
シルディアの回し蹴りの衝撃の大半をそっくりそのままあいつに跳ね返してやったが、一部は音や運動とかに逃げちまったか。周囲の岩の触手が衝撃波で粉砕し、彼女は一直線で地面に背中から埋まったのが目に入る。
だが、シルディアの魔法は留まるところを知らない。どのみち追い込まれているのはこちらの方だ。突出した岩の触手へ手をついては体勢を整え再び空へ跳ぶも、八方から新たに伸びる土の触手が迫ってきた。それがかえって、一網打尽にできるチャンスを与えているとも知らずに。
「"炎陣・
赤色を帯びる球型魔法陣を展開し、柄を中心にぐるんと回転させた杖より発する熱波が土の触手すべてを焼き尽くす。すべてを
なんとか
「"
土と岩と砂で構築された召喚獣、それも竜の頭部を有し、両腕が長く太く発達した上体のみの
50メートルは軽く凌ぐ、見上げんばかりの岩の巨獣人。すると全身を発火させ、巨大な岩の拳を溶岩の如く赤熱させる。
「"
あの女ッ、骨の一片も残す気ねぇぞ!
息を大きく吸っては腰を落とし、両足を踏み込む。右腕に脈動する魔力を手中に集結させ、固定するように左手で抑える。血管と筋肉を隆起させると、高熱と蒸気を生み出した。
「――"
「"
天へと掲げた右腕から熱線状の魔力の塊を解放する。眩い光と轟音がすべてを喰らう。大地へ殴打せんと迫った巨大な拳ごと押し返し、飲みこむ。やがてゴーレムの上半身をも巻き込んでは粉砕させた。光線はそのまま空を貫き、曇天に群青色の巨大な風穴を
「ッ、なんですって……!?」
ここら一帯をクレーターにすることだけは避けられた。だが踏みとどまった両足は周囲の地盤ごとを砕き、
「"
しまっ――。
「"
感じるは疾風。瞬間、腹部二か所に装甲魔法を纏ったシルディアの巨拳がめり込む。大きく吹き飛び、意識が途切れそうになる。幸い岩や木々にぶつかることはなくとも、平原を抉り転がり、泥にまみれた。両足と両手で踏みとどまることも叶わず、自身にかかった運動エネルギーに翻弄されるだけだった。
「"
地面から触手のように出てきた巨大な植物が吹き飛ぶ俺の肢を捕らえる。俺の体は引張と遠心力に遊ばれるまま――
「――ァあああぁあああァ!」
掠れた叫びが耳を
「あなたは馬鹿ですか?」と歩み寄る神官の冷たい声。それに女戦士が続ける。
「こっちは3人いるのよ。別にこれ、野郎同士の決闘ってわけでもないんでしょ?」
「……へっ、不意打ちしておいて偉そうだな――ァガぁッ!」
シルディアの蹴りを腹部に喰らう。今まで俺とブレイブの喧嘩を制裁していた拳骨や蹴りはだいぶ手加減していたんだと思い知らされる。
「ハ、ハハッ、ヒハハハハハァッ!」
鉄の縄から解放されたブレイブは、茨の磔刑に処された俺の無様な姿を見て顔を歪める。おまえ傍から見たら完全に悪者だからな。
「なかなかやるじゃねぇか。だがその程度だ」
いや追い詰められておいてよくそんなこと恥じらいもなく言えたな。ある意味勇ましいよお前。
「どうするブレイブ、これ以上馬鹿なこと言わせないためにもっと痛めつける?」
「俺も悪魔じゃねぇ。サブには案内してもらわねぇとな。その聖剣の地に」
シルディアの提案を却下し、ブレイブは俺の前に立つが、
「……屑になっちまったおまえに教える道理はねぇよ」
と、こいつの革靴に血痰を吐きつけた。当然、一発顔面に拳を喰らい、髪を掴まれる。
「頭の固い大魔導士サマのためにもう一度言ってやるよ。――俺たちを連れていけ、"負け犬"」
負け犬。
はっ……懐かしいな、その体に馴染むような響き。ガキの頃、おまえがケンカ吹っ掛けてくるときもそれを言って、俺がキレて殴り合ったもんだ。
そうだな。じゃあ負け犬らしく――。
「なに笑ってやがる」
「おまえの言う通り、生まれたときから俺は負け犬だったよ。負け犬ほどよく吠えるもんだが、ただ吠えているわけじゃねぇってのに気付いていたか」
そろそろ来たか。
妙な気配と足音に反応した3人は周囲を見渡す。霞んだ視界じゃあんまり見えねぇが、こいつらの戸惑う様子からして、うまくいったと安堵する。
「なにこの魔物の数……!?」
「まさか、あなた――」
「負け犬らしく、尻尾巻いて逃げさせてもらうぜ。俺は臆病なんだよ」
そう血濡れた歯を見せつけた。
牙狼類に爪禽類に亜竜類……おそらく100頭はいるだろう。近辺に生息している多種多様の魔物の呻り声が近くで聞こえる。
「"誘引魔法"ですって……!?」とプリエラ。警戒対象を周囲に変えたのか、俺を縛っていた茨の十字架は解除され、俺は地面に転がった。
「冒険を始めたばっかりのとき、何度かこれ使って囮役を買って出たもんだ。そのたび、気の良かったおまえらに怒られたっけか。……まさか仲間から逃げるために使うとは夢にも思わなかったぜ」
って昔話も聴いてくれやしねぇか。
「ブレイブ、退路も塞がれてるわ」
「サブ! テメェ俺たちに恨みでもあんのか! あぁ!?」
おまえもころころ人格変わるタイプかよ。おまえ俺のことどう見てんの。
腕を立て、かろうじて片膝だけでも立ち上がる。
「俺なりの優しさだバカ。いつもの俺たちなら朝飯前で片づけられる相手だぜ。無能や負け犬の一人や二人いなくたって問題ねぇんだろ? なんてったって最強の勇者パーティなんだからな」
「テメェ――」
「こいつら相手していい加減気づけ。俺たちにはメインが必要なんだよ。勇者パーティは誰一人欠けちゃならねぇんだ。あぁ、それと」
懐から出した小さな黒い笛をブレイブの足元に投げ渡す。
「命がヤバけりゃこの魔笛を思いっきり吹くことだな。前に俺とメインのふたりで開発した特製魔法だ。それが助けてやるよ」
「っ、誰がそんなこと――」
「じゃあなおまえら。目ェ覚ませよ」
流れる血を操り、顔と全身に魔法陣の幾何学模様を赤く描く。目元と鼻、口元のむずがゆい感覚は、道化師のように赤い
「おい逃げんじゃ――」
「"
*
ぐちゃぐちゃになった視界が一変し、無音の一室に俺の身は放り投げだされた。昨日寝泊まった宿だ。俺の荷物がベッドの上に置いてあることを確かめる。
「はぁ……ハァ……ッ」
血が混じった胃液を吐き散らす。寒気と痺れが止まらない。内臓が全部口から出てきそうだ。呼吸もままならないが、ちょっとの辛抱だ。直に治まる。
この魔法はマジで副作用がえげつねぇから嫌いなんだよ。いい加減、緊急式の長距離転移魔法にも耐性つけねぇとな。
いや、それよりも。
「……どうしてなんだよ」
あいつらは誰なんだ。あいつらは俺の知る仲間か? 化けた魔物の類じゃないのか? けど、あの強さは間違いなく……。
「くそっ」
全然響いてねぇ。説得の才能は不器用な俺にはなかったか。
聖剣を扱えるといわれる勇者はあいつしかいねぇ。聖剣がなくとも魔王を追い込んだ討伐隊は過去にもいるが、被害もその分大きかった。今期は人材の質に恵まれているとはいえ、結局魔王との戦争は避けられないとは覚悟していた。それを回避できる術を選べると知った今、聖剣を確保しねぇと。
ただ……いや、あくまで可能性の一つだ。そのときはそのときでまた考えればいい。
左腕の感覚が薄れてきている。動こうにも重くて動かせない。息を整え、全身の魔力の循環を促した。傷がより痛み、血の巡った頭はぐちゃぐちゃになった気持ちを紐解いてくれる。
ガキの頃を思い出す。そんときのあいつときたら強情で、一度決めたことは一片たりとも曲げなかったな。自由になって、世界を冒険して、絶対に強くなって人が安心して暮らせる世の中に変えるって、ひとりになっても必ず成し遂げるってずっと言ってたのに。
――『当然、おまえも付き合ってもらうぜ! これは俺たちの夢なんだからな!』
――『おい俺まで巻き込むなよブレイブ!』
あの頃が懐かしいよ。なのにどうして、あんな風に変わっちまったんだ。
頬に何かが伝う。拭って、それが血じゃないと気づいた俺は咄嗟に鼻をすすって天井を仰ぐ。深い息を吐いて全身に
魔力もまだ残ってるし、
すると、部屋のドアからノックが聴こえる。思わず身をこわばらせたが、声の主は容易に推測できた。
「おはよう、サブ。これからみんなで食事に行くが、いま出れそうか?」
ドア越しに聴こえるメインの言葉に、大きめの声で返す。
「おまえらだけで済ませていいぞ。俺はもうちょっと寝る」
「……? わかった。じゃあそのまま装備の買い出しにもいってくるが」
「勝手にどーぞ」
遠のく足音を耳にし、深い息を吐く。
昨日は身勝手だったくせに変なとこで気ぃ遣いやがって。このあと3人で仲良く朝食ってか、良いご身分なことだ。
試験管サイズのガラス容器に満たす透明なポーションを一気に飲み干す。鼻腔をくすぐるような甘味と、ほんのりにじみ出てくる苦味。薬にしては悪くはない香りと味。そういやこれ、プリエラが作ってくれたものだったっけ。
『――もう! ブレイブさんもサブさんも無茶しすぎです! こんなにボロボロになって……ほら、早くこれ飲んで横になってください!』
『うげぇ、それクソ苦いから好きじゃないんだよ』
『だったらもっと自分の体を大事にしてください!』
『にしてもほんとにあんたたち頑丈よね。よく生きてるわ』
『感心するところじゃないですよシルディアさん。元気そうに見えても体は悲鳴を上げているんです。それと、サブさんも立派な魔導士なんですから、心身を労わらないと魔法に支障出ちゃいますよ。なんだったらサブさん用にもポーション作りますから』
『サブ、何体くらい倒した? 俺は149』
『確か130くらいだったっけ』
『よっしゃー、俺の勝ち! 牛角竜のフィレ肉はいただきだぜ』
『バッカ、数だけの話じゃねぇだろ。魔物の体積と強さも考慮すれば俺の勝ちだ』
『は~? そこまで見てねぇよ俺。それならこのあと一騎打ちするぞ。どっちが強いか勝負――あ痛たっ』
『ダメです! ふたりとも今日は絶対安静ですからね!』
『あははは、まるでお母さんみたいだね』
『なっ、何を言っているんですかシルディアさん! お、おお、お母さんって……!?』
『プリエラ顔赤っか! あっはははは痛ってェ!』
『もう、笑い事じゃないですからね! それよりも、魔物の大群を駆逐したことを町に報告しないと』
『ああ、それならさっき門番の兵に話をしておいたから、直に町長にも伝わると思う』
『あっ、本当ですか! ありがとうございますメインさん。ほらふたりもちゃんとお礼を言ってくださいね』
……もう一本、ポーションを飲み干した。これは自分で作ってみたやつか。
なんだよ。あいつの方がよっぽど味がマシじゃねぇか。
プリエラのようなプロの
早く復帰してメインたちを追わなきゃな。チンピラ一掃したときと言い、何をしでかすかわかったもんじゃねぇ。
「あ゛ぁ……痛ぇ」
その前に、少し休まねぇと。メインたちに心配される筋合いはねぇしな。
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