現代世界に転生した同じ世界出身の転生魔術師 〜セカンドライフを満喫する筈が、周りにトラブルメイカーな女性しかいない!(元凶の女神もいる!)〜
ルド
転生魔術師の日常(天野紫苑はトラブルメイカー)。
*作者コメント*
こちらは思い付きと色々な都合で追加した物です。
当分は短編風に一話完結で進みます。
後半は別の話にも続きます。よろしかったらそちらもどうぞ。
*\\\\\\*
ショートの茶髪をした大学二年の女子大生(size D)。
黒魔術(仮)サークルのメンバー。前は別のサークルに入って大変人気もあったが、半年後に突然辞めており、現在はメンバーが少数な黒魔術(仮)サークルに所属している。
体質:【トラブルメイカー(ヒステリックの呪い)】
*コメント*
好奇心旺盛な性格も要因となってると思われる。
呪いの方はある程度の解呪に成功しているので、あの時のように死に目に遭う事はないだろうが、止まれないあの性格が厄介だ。
俺の平穏な学生生活を脅かすだけじゃなく、次々と
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そもそも彼女とは出会いからデンジャラスだった。
大学に受かり念願の一人暮らしを始めてから、およそ半年が経過した寒くなり始めた秋頃――。
「キャァァァァァァァ!?」
空から女性が降ってきた。いや、ラ◯ュタか!
ちょうど通り掛かったマンションの屋上から女性が落ちている。鉄の柵が一緒に落ちてるのところ見ると錆び付いて壊れたようだ。
二十階はあるマンションの天辺。
ロクに受け身も取れてない頭からじゃ即死は回避不能だ。
「仕方ない」
手のひらに小さな魔術陣が浮かぶ。
万が一見られたら面倒なので、最低限の動作で円状の魔術陣を落ちる彼女に向かって飛ばした。
「大丈夫か?」
「……え?」
浮遊の魔術で彼女は救われた。
幸いにも目撃者は居らず、ギリギリのところで俺がキャッチしたように偽装。さっさと立ち上がらせてからこの場から離れる事にした。
「あの……! せめてお礼を!」
「あ、そういうの結構です」
立ち去る俺を見て慌てて止めようとしてきたが、細かな説明なんて面倒なので振り切った。
この時は日常に少しだけスパイスが加わった程度の違和感しかなく、次の日には殆ど忘れてしまっていた。
「ねぇ! あの時助けてくれた人だよね!?」
「なに?」
だから翌日、大学の食堂で偶々遭遇した彼女に呼びかけられた際、久方ぶりに動揺していた。
「同級生だったんだ! 年上かと思ったよ!」
「黒魔術サークルって何!? あ、なんかそれっぽい部屋だね!」
「他の男の人とは何か違うんだよねぇー。クールっていうか……ミステリアス?」
目の前に美少女が笑顔で近付いて来たのも理由だが、相手が美人だとどうも苦手意識が強くなる。
「募集とかしてないの? もし良かったら入っても「それはやめてくれ」」
別に全員がアイツのようにイカれた女でない事は分かっているが、この再会を俺は後に呪いが原因だと悟ってしまう。
「あのクソ女神が!」
冒頭でも話したかもしれないが、俺は前世の記憶持ちの魔術師だ。
所謂転生者という奴だ。はるか昔、この世界にまだ魔法の文明が存在していた頃に生きていたが、『神々の戦い』で星そのものが崩壊しそうになって、その際に俺の命も尽きてしまった。
「それがまさか、こんな形で復活するなんてな……」
実は転生したのは偶然じゃなかったが、記憶があり魔術が使えても第二の人生にもう魔術は必要ないと判断した。
「世界は平和だ。少なくとも俺の見る世界は変わらないでほしい」
あのアホの女神を懲らしめる以外では、使おうとは思わなかった。
その後に色々と世界も弄ったが、私利私欲の為に使う気はサラサラなかった。
「それなのに、何でこうなるか……」
「ど、どうなるの?」
今では紫苑と呼んでいる彼女だが、実は相当な不幸体質である事が判明した。
何を気に入ったかあの後もしょっちゅう引っ付いて来たが、その度に妙なトラブルに巻き込まれてきた。
「ハァ、不幸体質が酷過ぎる。よく今まで生きてこれたな」
「昔はそうでもなかったんだけどね。なんか最近になって酷くなってきた感じがするの」
「ある意味強運なのかもな。出なければとっくにお星様だ」
転落事故ほどじゃないが、車に撥ねられそうになった時は流石にヒヤッとした。
サークルの劇に使うタライを頭に打った時はそうでもなかったが、死に目に遭う回数が多過ぎる。俺が側にいなかったら死んでてもおかしくない。
いくらなんでも奇妙だと紫苑の体質について魔術で調べてみたが……。
「これは呪いの一種だ。何処でこうなったか定かではないが、呪いの力が増した原因には心当たりがある」
それもあって余計に無視できなくなった。
このような介入は不本意であるが、魔術を頼るしか呪いの件は解決出来そうになかった。
「黒魔術って本当にあるの!?」
「いや、黒魔術は知らんが?」
「ええ??」
作ったサークル名は黒魔術だけど、別に俺のは黒でもない。
「けど魔術や魔法は存在する。俺は魔術師の方だが」
「? それってどう違うの?」
「俺は魔法の方は使えなかった」
そしてあの世界でも数が少ない魔術の方を選んだ。
魔法が未来なら魔術は過去を主張する。魔法以上に縛りが多いが、こちらの方が俺には合っていると死んだ今でも思う。
「始めるぞ。準備はいいな?」
「う、うん」
場所は大学にある俺たちのサークルの室内。
そこまで広くはないが、この場所は俺専用に改造してある魔術の部屋。
見てくれはオカルトっぽい黒のカーテンやオカルトの飾りなどが置かれているが、それらはこの部屋を魔改造する為の媒体。此処は数少ない俺が使っている拠点の一つだ。
「な、何か必要な物とかあるかな!? 髪とか血とか!?」
「ビビリ過ぎだ。髪も血もいらん」
ヤバそうな場所や黒いマントを着けた俺の格好を見て緊張したらしい。
「お前はそこに立ていればいい」
「足元に魔法陣とか描かれてないよ?」
「描いて欲しいのか?」
ブンブンと首を横に振る。これ以上の雰囲気は要りませんか。
苦笑いしつつ両手で魔術の印を結ぶ。光ながら魔術の陣が生成された。
「証拠はないが、お前の呪いは誰かの仕業だと俺は睨んでる。恐らく小学生か中学生の頃だろう」
「え、どうしてそう思うの?」
「受けている呪いは時間と共に悪化するタイプだ。自覚を覚えたのが高校からなら中学か小学生の頃が怪しい。何よりその頃なら犯人の方にも想像がつきやすい」
恐らく同じ学校の関係者。先輩か後輩、同級生かまでは分からないが、昔から人気がありそうな見た目だ。妬みなどの嫉妬は当然あった筈だ。
「人気者は恨まれやすいか?」
「……無くはないかな」
「急激に悪化したのは全くの別件だ。そしてその原因には……不本意ながら、俺も少なからず関わってる」
無関係だと言いたいが、一部を抱えて無視したのもある。
「何に関わったの? そもそも何で悪化して……」
「詳しくは言えない。けど約束する。お前の呪いは俺が取り除こう」
そうして俺は彼女に掛かっている呪いを解いた。少々複雑な手順を踏む事になったが。
「これで大丈夫。あとは走り出すと止まらない猪突猛進な性格を何とかしろ」
「ちょ、猪突猛進って……私はただ気になった事につい夢中になるだけで……」
「トラブルメイカーなのは生まれ付きか」
不幸体質は天然だったようで、トラブルを呼び込む才能があった。
あと好奇心旺盛。興味を持った事には止まれないタチだ。無事に済んでさっさと引き離すつもりだったのに……。
「どうしてこの部屋にいる?」
「ん? サークルに入ったからだよ?」
「……黒魔術だぞ?」
「黒魔術なんてないんでしょ?」
つまり興味は別の何か。
「私はあなたの事を知りたいの」
彼女は魔術師に興味を持ってしまった。
それからサークルメンバーも一人ずつ増えていくが、その全員が何かしらトラブルを抱えている美少女ばかり……。
サークルの男は俺一人。周囲はハーレムなどと言って嫉妬したが、非日常が濃くなってしまった。
******************\\\\\\
「だから奴を見逃したお前にも原因九割以上があるんだ。それなのになんで来た? よりにもよって俺が管理しているこの街に」
「挨拶が激しい理由は……それが理由か? シュウ」
そして場所はその街にあるとある図書館。
サークルの部屋と同様、俺の魔術部屋として改造を施してある特殊な場所だ。
「ああ、シルバー――いや、ジークか? 今はどんな名か知らないが、何年ぶりになる? お前からしたら数百年以上か? それとももっとか? 神族っていうのは何かと時間に縛られて大変だ」
「そこまでは経ってない。オレの時間では精々数十年だ」
魔術で椅子に縛り上げた男の名前なんて、転生しても覚えていたくなかった。
「よく俺の前に姿を見せれたな? あの時の事、何年も昔だから恨んでないと思ったか?」
「まさか、オレがした罪は理解してるつもりだ」
「そうか? だったら……――なんでアイツまで連れて来た!?」
思わず胸ぐらを掴んでしまう。怒りを覚えたのも久方ぶりだ。
本当、転生してからは無縁と言っていいが、この男の無粋すぎる対応には怒りしか覚えない。
「此処はお前が管理しているところとは違う! この場所には何も寄せ付けない! それが契約だった筈だ! あのアホ女神から伝わってないのか!?」
「……仕方なかった。どうしてもこの街に寄る必要があった」
申し訳なさそうな顔で男は謝罪する。相談もせず勝手な事をしてるのに、謝れば済むと思ってる。ふざけてる。
「殴らないのか?」
「っ……殴っても何も収まるか!」
それに暴力は嫌いだ。殴り合いなんて他所でやってくれって話だ。
「俺はお前らとは違う」
「そうだった。君はそうだな……」
そして懐かしそうな顔で男は溜息を吐いた。クソ、溜息を吐きたいのは俺の方だ。
「……何で彼を連れて来た? 此処には何もない。そういう風にしてある」
「勿論、こちらの問題にそっちを巻き込むつもりはない。ただ探し物があるだけだ。彼の……彼の中に棲んでる奴の娘が此処にあるって言ったんだ」
――奴の娘。
それが誰なのか、現状について彼の方とは全く関わってない俺でも容易に想像ができた。
「つまり探し物が見つかれば、二人ともすぐ出て行ってくれると?」
「確約は出来ないが努力はする。少なくともこうして拘束していたらいつまで経っても先には進まない」
「確かにな。だが、拘束しておきたいこちらの気持ちも理解してほしい」
一度失敗して大惨事を引き起こして、挙句それに巻き込まれた俺は……僅かな油断が命取りになる。三度目があるとは限らないんだ。
「……刃はどうしてる?」
「あっちも色々抱えているが、どうにか頑張ってる。……そういえば、以前君も助けてくれたんだよな」
また懐かしそうな顔で……今度はちょっと楽しげに男は笑うが、俺としては頭痛を覚える昔話だ。
「別に大した事はしてない。ただ……奪われた物を取り返しに行っただけだ」
それがまさか、あのようになるなんて……その時は少しも想像していなかった。
後半の物語は『神と魔王の弟子は魔法使い 〜神喰いの継承者〜 第5章』へ続きます。
*作者コメント*
転生魔術師は他でも登場します。弟子の魔法使いでは転生前ですが。
こちらの作品はまだまだ進みませんが、ファンタジー風なバトル展開は少ない予定です。魔術はありますが(苦笑)。
ちょっとした殴り合いや銃などは予定してますが、他よりは穏やか感じで行きます。
トラブルを持って来るヒロインたちの相手をしながら日常を守る話。
そんな感じで進めていく予定です。当分は短編風ですが。
現代世界に転生した同じ世界出身の転生魔術師 〜セカンドライフを満喫する筈が、周りにトラブルメイカーな女性しかいない!(元凶の女神もいる!)〜 ルド @Urudo
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