第16話 巨乳と部活と生徒会!

「では今日の授業はここまで。宿題は来週の授業までに提出しておくように」


 授業終了の鐘が鳴ると同時に、ぴったり狙ったかのように授業が終わった。


「イグニ様! 学食行きましょう!」


 そして、終わると同時にイリスがイグニの元にやってくるのも恒例である。


「学食……。そういえば、まだ行ったこと無かったな」

「はい! 一緒に行きましょう」

「良いじゃない。私も一緒に行くわ」

「あ、じゃあボクも」


 というわけで4人そろって学食へ。


 ロルモッド魔術学校の購買や学食のメニューは一流のものばかりである。魔術学校というコストパフォーマンスで見た時にかなり高い部類の事業を行っているというのもあるが、それよりも校風によるものが大きい。


 すなわち、『一流は一流からしか生まれない』。


 勿論、生徒の中には家が貧しいものも少なくない。そのため、学食や購買はほぼ無料(ただ)同然で使えるのだ。


 ではどうして今まで彼らが学食に行かなかったのかというと、それはひとえにイグニの影響が大きい。


 そう、彼は毎日お弁当だったのである。

 当然、ユーリが作ったお弁当である。


 だが、彼らは学生だ。学生らしいことがしたかった。


 というわけで学食に行くことになったのである。


「わっ。見てみてイグニ! 今日の定食は『マンドレイクのスープ』に『ワイバーンの胸肉』だって! すごいよ!! こんな高級食材が定食で出るなんて……」


 ユーリが大はしゃぎ。


 食材についてさっぱりな3人はただ顔を見合わせるだけ。


「……ワイバーンの胸肉って、高級食材なの?」


 と、興奮気味のユーリに聞いたのはアリシア。


 イグニはというと『魔王領』で食べるものに困った挙句、勢いに任せて口にしたモンスターの味を思い出して嫌な気分になっていた。


「そ、そうだよ! ワイバーンを仕留めるのが大変なんだから!」


 ワイバーンは竜種の中でも空を飛ぶことに特化した種族だ。

 最速の種族、と呼ばれることもある。


 空中での移動に魔術を使うため、空を縦横無尽に駆け抜ける。


 確かに倒すのは苦労したなぁ、とイグニはぼんやり考えた。


「そ、そうなんだ……。実家だと普通に出て来たから……」

「……アリシアさんの家ってお金持ち?」

「まあ、一応……。それなりに?」

「そ、そんな……。ぼ、ボク……アリシアさんのこと仲間だと思ってたのに……!!」

「寮生じゃないんだから察してあげなよー」


 そんなユーリをやさしくイリスが慰めてる。


 そんなわけで4人仲良く本日のランチを頼んで席に着く。人はそれなりに多かったが、混雑しているというほどでもない。


「ねえ、みんなはもう部活とか決めた?」

「部活?」


 アリシアの問いかけにイグニが首をかしげた。


「うん。ほら。昨日部活動まとめた冊子もらったじゃない」

「あー……」


 そういえばそんなものもあった。

 帰ってから一度として見ていないのでカバンの中にあるだろう。


「私、占い部とか興味あるんだけど、今日見学に行かない?」

「占い? アリシアは占いに興味あるのか?」

「うん! だって“古の魔術”よ!! 面白そうじゃない」

「“古の魔術”かぁ。ボクも興味あるな」

「入部体験で運命の人を占ってくれるやつ? 良いじゃない! イグニ様も一緒にどうですか?」

「え、俺も……」


 確かに寮に帰ってもすることは無いし、見学に付き合うこともやぶさかでない。だが、イグニが気になっていることはただ1つ。


 “占い部に入ったらモテるだろうか?”だけである。


「イグニ、隣に良いか?」

「ぐるるるっ!!」

「わ、分かったよ! 僕が悪かったよ!!」


 エドワードを威嚇で追い払う。


「イグニじゃないか。隣、大丈夫か?」

「エリーナか。別にいいよ。空いてるしな」


 C組の一番さんも学食を使うらしい。


「何の話をしていたんだ?」

「部活の話。エリーナさんは入りたい部活見つかった?」

「私か? 実は……“占い部”なんだ」

「へえ。意外ね。首席のエリーナさんが占いに興味あるなんて。興味があるのは体験入部かしら?」

「ま、まさか……。私はもう一番の相手がいるからな。うん。そんなことはしないさ。ただ、ちょっと気になるだけで……」

「…………」


 イグニは沈黙。

 何を話してもこの場面では地獄になる気がした。


「イグニは入りたい部活とか無いのか?」


(モテそうなのが良いなぁ……)


 としかイグニは考えていないが、少し真面目に答える。


「自分を……磨ける場所かな」


 ドヤ顔で答えるイグニ。


「さ、流石はイグニ様!」

「そのストイックさは流石だね、イグニ」

「うん。流石はイグニだ」

「……えぇ。アンタたち、イグニのドヤ顔見てないの……?」


 若干アリシアに本性がバレつつあるイグニ。


(なぜだ……。こんなに完璧なのに……)


 かっこつけてからドヤる癖はそうそう治りそうもない。


「自分が磨ける場所なら、生徒会がおすすめだよ!」


 ぽん、とイグニの頭の上に何かが乗る。


 顔を上げると、そこには大きなおっぱいが……。


(え、何々? ここ天国??)



―――――――――

『じいちゃん! 俺、おっぱい大きい女の人が好き』

『イグニよ』


 イグニの言葉に冷徹にイグニを見下ろすルクス。


『な、何だよじいちゃん。また、ビンタするのかよ……!』

『当たり前のことを、デカい声で言うなッ!!』

『じゃ、じゃあじいちゃんも巨乳が……っ!』

『たまらんに……決まっとるじゃろうが……ッ!!』

『じいちゃん! じいちゃん!! 俺、一生じいちゃんについていくよ!!!』

『しっかりついて来い! イグニ!!!』


―――――――――


 ……っ!!!


 これが、夢にまで見た下からの光景……っ!!


 圧巻……! 圧倒……!!

 まさに、圧勝…………ッ!!!


 何が“最強”だ……ッ! 

 何が“極点”だ……ッ!!


 巨乳に勝てるわけ……無いだろうが…………ッ!!!!!


「ちょっ! イグニ様から離れなさい!! ていうか誰!!」


 しかしイリスによってそのおっぱいは払われた。

 悲しい。泣きそう。


「あれ? 私のこと知らない?? 学校で一番有名なのに」

「ほう、一番だと?」


 相変わらず引っかかる場所が人とズレてるエリーナ。


「うん。そうだよ! だって私、生徒会長だもん」

「「「「……生徒会長」」」」


 声が重なった。


 『実力主義』の学校で、生徒たちのトップに立てるのはただ1人。

 生徒の中で、最も強いものだけである。


「うん。有望そうな1年生に片っ端から声かけてるんだ。もうフレイ君とエルミーちゃんには声かけたから、あとは“颱(かぜ)”のアリシアちゃんに首席のエリーナちゃん! それと、謎に包まれているイグニ君も誘いに来たんだ!」

「……俺も、ですか」

「うん。そうだよ」


 イグニは少し考える。


「まあ、悩むのは分かるよ。生徒会ってよく分かんないもんね」

「確かに……。何やってるんですか?」

「生徒会って言ってもやってることは治安維持の方が近いかな。この学校って実力主義だからさ。変な奴が上に行っちゃうと学校が荒れちゃうんだよね。だから、生徒会に入るのは強いのが絶対条件! どう? 3人とも興味ない?」

「私はパス。別に興味ないわ」


 アリシアは一蹴。


「……私も断ろう。まだ自分の至らないところを伸ばさねば」

「そっかー、残念。イグニ君はどう??」

「……うーん」


 ……生徒会ってモテるのか?

 いや、治安維持って言ってたし、そんなにモテないのかも……?


「生徒会になるといい事いっぱいだよ!? 先生たちから信頼されるし! 一部の授業で宿題免除されるし! 強い人たちいっぱいいるから自分も強くなれるし! なにより、男の子だったら女の子にモテモテだよ!」

「……っ!? す、すいません。宿題免除の後からお願いします」

「うん! もっと強くなれるし、女の子にモテモテだよ!!?」

「入りますッ!!!!」

「あはは。じゃあ、まずは見学からだねー」


 イグニの心の中で、全てが決まった。


――――――――――――

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