12 くもり

 未来と呼ぶにはあまりに苦く、また近かったその色が、くちびるの上で花になって、朝焼けの雲を染め上げた。蔦はのびのびと空をしめつけ、青の居場所を刈り取った。棘はあまりにささやかで、透明であるかのよう。そういう夢からさめたあと、空がちゃんと灰色でありますように。

 未来と呼ぶにはあまりに無味で、また遠かったその色が、壁に描かれた景色のように奥行きをいつしかなくした。

 あるいはとうのはじめから?

(あなたのための言葉なんてここにはひとつもない)

 雨が嫌いな誰かのために、払いのけたりしませんように。

 六月の空によって中和される不平等。あなたはそこにいてもいい。問題がどこにもいかなくても。

(もはや僕はあなたを待たない)

 空がちゃんと灰色でありますように。

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