12 くもり
未来と呼ぶにはあまりに苦く、また近かったその色が、くちびるの上で花になって、朝焼けの雲を染め上げた。蔦はのびのびと空をしめつけ、青の居場所を刈り取った。棘はあまりにささやかで、透明であるかのよう。そういう夢からさめたあと、空がちゃんと灰色でありますように。
未来と呼ぶにはあまりに無味で、また遠かったその色が、壁に描かれた景色のように奥行きをいつしかなくした。
あるいはとうのはじめから?
(あなたのための言葉なんてここにはひとつもない)
雨が嫌いな誰かのために、払いのけたりしませんように。
六月の空によって中和される不平等。あなたはそこにいてもいい。問題がどこにもいかなくても。
(もはや僕はあなたを待たない)
空がちゃんと灰色でありますように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます