11 才能
取引だ、これは。
俺はお前の言うとおりにしてやる、お前の思う通りに動いてやる。それはもう決まりでいい。それに対してお前は、俺になにひとつ保証しなくていい……それでもこれは取引だ。十分すぎる。俺はお前に賭け金を置く。分け前は勝ったときにもらう。負けたときは、べつになにもしてくれなくていい。第一、賭けているのは俺のほうだ。それでもこれはギャンブルじゃない、取引だ。どうしてって、動くのは俺だからだ。
お前はなにもしなくていい。そこにいて、俺を顎で使えばいい。いや、顎さえ使わなくていい。蜂蜜色の記憶に酔い、さんざめく音の波濤を浴びて、あらゆる妄想をさらけだせばいい。あらゆる欲望を、あらゆる臆病を……。後のことは俺が勝手にやる。お前はそこで暴れていればいい。
後のことは俺が勝手にやる。
だから声を上げろ。
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