2 頭痛

 頭が痛いときにものを考えてもあまりうまくいかない。退屈をしているのがいちばんよくない。ところで他の人は、いつも何かを考えているのだろうか、それともときどき何かを考えるのだろうか。

(また誰かが俺を嗤っている)

 なにが面白いのかは、知らない。

 薬をどこにしまっていたか?

 ひとつの暴力になりたい。

 誰か猿轡を噛ませてくれ。

 あのがらすだまはいつなくしたんだ?

 頭が痛いときにものを考えてもあまりうまくいかない。退屈をしているときにはいっそう。

 薬は切らしていたのだったか?

 ひとつの暴力になりたい。

 誰か猿轡を噛ませてくれ。

 あのがらすだまはいつなくしたんだ?

 いい加減にもう飽き飽きだ。何か違うことを言ってくれ。今日の天気や花の名前や、希望でも絶望でもないことを。

 今でも、誰も来ない森のなかの小さな図書館で生涯を終える夢をみる。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る