50cm差の恋
ハムカツ
首が痛くなるほどの
「へぇ、お前みたいにデカくていい女…… 初めて見た」
いつだって私は背の高さでからかわれていた。
人より大きい、ただそれだけでとても息苦しくて。ただ、身長が平均より30cm高いだけで酸素が足りなくなったみたいになってしまう。
けれど、彼からの言葉は嫌じゃなかった。
「ふぅん、ざっと身長差はあたま二つぶん。デカいな」
何故なら、彼も同じ。いや私以上の苦しみを背負っているのが分かったから。
人並外れた身長は、それだけで大変なのは私もよく知っている。
「あなた、ちょっと態度がデカくないですか?」
傾けた顔に、拗ねた表情を浮かべてみる。可愛いと思って貰えるだろうか?
いいや、たぶん可愛いと思えて貰えていると信じる事にした。
「俺は、ビックな男だからな」
その超絶イケメンは、やれやれと手を広げた。
普通の人ならば、萎える仕草も彼ほどのイケメンならば許される。
何せ私が見上げる身長2mオーバー、見て分かるビックさである。
「そう、けど私が一年先輩だから」
背が高い新入生がいると聞いてくればこれだ、本当に何というか運命で必然な出会いだったのだろう。
「じゃあ、先輩。付き合ってくれ…… 名前もまだ知らないけど、俺と一緒に歩いていけるのはアンタだけだと思うから」
本当に態度がビックな先輩だと苦笑しながら。
私は超高高度、超高速の恋愛模様を見上げる事しか出来ない周囲の皆をちょっとだけ見下して。彼の顔を生まれて最高の笑顔で見上げた。
50cm差の恋 ハムカツ @akaibuta
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