002.進化しました。










『以上をもって、進化を終了します。筋力・魔力・知力の上昇を確認。正常な進化を完了致しました。』


さっきより体が軽い。体も、腐っているというよりは新しく別の何かに作り替えられたようだ。だが、やはり感覚はない。ついでに言えば、進化前は腐っていたが形はあった、男の象徴としてのアレは、完全になくなっていた。


「【能力開示ステータス】」


進化、というものがよく分からないが、強くなったのかもしれない。詳細確認のため、もう一度ステータスを呼ぶ事にした。


名称: なし

種族: 中位不死者ジェネラル・アンデッド

レベル:20

能力スキル: 魂食ジール・プランドゥル

   相手を絶命させた時、その魂と一部の能力を手に入れることが出来る。

   魔力操作ウォーロック

   魔力を直接操ることが可能になる。

   夜目ナイトアイ

   夜間及び暗闇で目が利く。

筋力: 400“300+100”(スキル補正なし・称号補正あり)

魔力: 500“400+100”(スキル補正なし・称号補正あり)

知力: 600“400+200”(スキル補正なし・称号補正あり)

防御: なし(スキル補正なし・特性補正あり)

敏捷: 500“400+100”(スキル補正なし・称号補正あり)

特性:「不死者」

   聖属性の魔法以外を無効化。魔力が尽きない限り体を再生させる。

称号:「進化者」

   自身の力で進化した者に与えられる称号。全能力を上昇させる。


……。なんか色々多い。


「何だこれ。」


しかし誰も答える者はいない。


「……。早く外に出たい。」


意識が遠のく前と変わらない場所で目覚めたが、相変わらずこの階層はどこが出口でどこが入り口なのかも分からない。


真っ直ぐ続く道。出口に続いていることを祈るばかりだ。








「……。これは……。」


もう戻るなんて嫌だ。でも、進んだら確実に下の階層に進むことになる。下に階段が向いているとはそういうことだ。


「……。」


出たい。でも、後ろを振り返っても、帰れる気がしない。マッピングもしていないし、帰るには攻略か死しかない。死では帰るのが土になりそうだが。


俺は仕方なく次の階層へ続く階段を降りることにした。












51層、52層と今度は迷路ではなく普通の階層と同じだった。


「意外と行けるもんだな。」


能力が上昇している為、階層にいる魔物は簡単に倒せたが、レベルが一気に上がって強くなった為、また調子に乗ってしまったのだ。


「オラッ!」


途中途中で出会う敵は剣で捌く。そして、59層から60層に移り、少し探索をしていると。


「!」


久しぶりに見る宝箱に、興奮する。そしてすぐに近寄り、箱を開けてしまう。その箱を、何の警戒もせず開けた俺が馬鹿だった。そう、それはミミックだった。


『バクッ』


喰われた。しっかりガッツリ上半身ごと食われた。……調子乗ってたからかな……。


うーんうーんと唸りながら少しずつ脱出。剣で切り裂き、60層のフロアボスは撃破することが出来たのだった。フロアボスのいる階層は、そのモンスターのみが存在する為、休むにはもってこいだ。とは言っても、魔力を補充するだけだが。


『ミミックの討伐を確認。討伐報酬を選択して下さい。』


また画面が表れる。


『宝の入っていない箱

 偽装ディシート


二つだけなのか。俺は能力スキルの方を貰い、ミミックの魂を喰らった。


名称: なし

種族: 中位不死者ジェネラル・アンデッド

レベル:35

能力スキル: 魂食ジール・プランドゥル

  相手を絶命させた時、その魂と一部の能力を手に入れることが出来る。

   魔力操作ウォーロック

  魔力を直接操ることが可能になる。

   夜目ナイトアイ

  夜間及び暗闇で目が利く。

   偽装ディシート

  姿及び能力の偽装を行う。

筋力: 650“500+150”(スキル補正なし・特性補正あり)

魔力: 750“600+150”(スキル補正なし・特性補正あり)

知力: 900“600+300”(スキル補正なし・特性補正あり)

防御: なし(スキル補正なし・特性補正あり)

敏捷: 700“550+150”(スキル補正なし・特性補正あり)

特性:「不死者」

   聖属性の魔法以外を無効化。魔力が尽きない限り体を再生させる。

称号:「進化者」

   自身の力で進化した者に与えられる称号。全能力を上昇させる。



いやに知力が高い気がするが、俺の能力に、偽装ディシートが追加された。






「魔力操作って、なんなんだろうな……。」


正直分かっていない点が多すぎる為、使用してみることにする。


魔力操作ウォーロック


迷宮に流れる大きな魔力を感じ取る。それは俺の意識でウネウネと動かすことができた。


「どういうことなんだ?」


イマイチ分からない。魔力が動かせたからと言って何かあるのだろうか?


「魔法に応用してみるか?」


魔力に属性付与を行うことで使用できる、5属性魔法。まずは火を起こしてみようか。


『ボッ』


火がついた。おお、これは凄い。


「水も出るのか。風は……起きるみたいだな。」


『パチパチパチッ』


今の威力では静電気レベルではあるが、雷も起こせそうだ。


『パラパラパラ……』


砂粒が少しというレベルだがきちんと土が出来た。


これなら想像した通りの魔法が使えるかもしれない。俺はその希望にかけて一度だけ炎の渦を生み出す魔法を実践してみた。俺に剣をくれた人の仲間が見せてくれたそれを、自分はいつか使ってみたいと思っていたからだ。……まあ、その思いしか残っておらず、見せてくれた人の顔も、今となっては曖昧だが。


『ゴオオオオオオオオオオオ!』


「!?ちょ、止まれ止まれ!」


俺の魔力残量の5%ほどを込めて放った魔法のはずが、人間の頃の全力の魔法の数倍の威力を出してしまったのでビックリしてしまった。


「水、水!ああもう、魔力操作ウォーロック


水を出してかけたはずが、どんどん勢いを増す炎。よく考えたらどちらも魔力の塊だ。魔力が尽きるまで燃えるのだろう。まあ、熱くもないし痛みも感じない体になっているので放置することにした。炎の中は意外と安心できた。不死者アンデッドだからかな?








70層に到達するまでに、剣が折れてしまった。毒々しい色のスライムを切った時に溶かされたのだ。この剣をくれた人のことはよく覚えていないが、俺は折れた剣を50層に突き刺し、60階層に戻る。なぜ50層に刺そうと思ったのかは分からなかったが、本能がそう告げていたのでそこまで戻った。60層からは自分の拳と魔法で攻略しなければならないことに、正直なところ面倒臭さを覚えた。


そして問題の70層。


「グルァアアアアアアア!」


熊より一回り……いや、二回りはデカい大鬼オーガ。だが、攻略しなければいけないのだ。


そして何より、大鬼オーガの持つ棍棒に魅力を感じてしまう。


「その棍棒……俺に寄越せェェェェェェェェ!」


俺は大鬼オーガに負けないほどの大声を張り上げ、魔法を発動。その頃には人間の頃の魔法より圧倒的に早く、且つ低魔力で大鬼オーガをこんがり焼き上げた。別に食べないけど。



名称: なし

種族: 中位不死者ジェネラル・アンデッド

レベル:40

能力スキル: 魂食ジール・プランドゥル

  相手を絶命させた時、その魂と一部の能力を手に入れることが出来る。

   魔力操作ウォーロック

  魔力を直接操ることが可能になる。

   夜目ナイトアイ

  夜間及び暗闇で目が利く。

   偽装ディシート

  姿及び能力の偽装を行う。

   毒霧ポイズン

  毒の霧を発生させる。

筋力: 1,050“850+200”(スキル補正なし・特性補正あり)

魔力: 1,250“900+350”(スキル補正なし・特性補正あり)

知力: 1,550“900+350”(スキル補正なし・特性補正あり)

防御: なし(スキル補正なし・特性補正あり)

敏捷: 1,050“850+200”(スキル補正なし・特性補正あり)

特性:「不死者」

   聖属性の魔法以外を無効化。魔力が尽きない限り体を再生させる。

称号:「進化者」

   自身の力で進化した者に与えられる称号。全能力を上昇させる。


新しい能力は毒吐きスライムからとった物だ。意外と強かったので雑魚敵はそれで蹴散らしている。


ステータスは全て1,000オーバー。「進化者」の補正もあるからここまで上がりはしたが、71層以降はデータが少ないのでこのステータスでは死にそうで怖い。


そこで、俺は60〜70層を徘徊しレベル上げを行うことにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る