第25話  アトラ大陸南部戦線 ロキエ

メルカ攻略司令官に任じられた、ロキエ大将は一路メルド要塞を目指して進軍していた。

ロキエ大将は北方戦線での敗北から多くの事を学んでいた。

「ロキエが言う」

此の度の北方戦線の敗北は、我が軍の油断が招いた事よ。


敵は我が軍が思っていたより精強だったわ

私達も、気を引きしめて、敵に臨むわよ

ロキエは、メルド城と有人国に展開している、自軍が持ちこたえられない状態にあり、中央集団と狭い通路だけが連合軍による本格的な攻撃に対する抵抗拠点であることを認識していた。


「くっ!!」連合軍の猛攻が激しくて、このままでは遅かれ早かれ全滅よ。


全軍に通達よ退却せよ。


「ロキエは、緩歩退軍の策」を持って損害を減らしつつ撤退を開始し、メル平原まで後退した

1方、ティオス軍のミケ少将の部隊は、実質上南部戦線から魔軍を一掃した。

ミケ少将、敵が撤退しました。

「そう…」

このまま敵軍をメル平原に釘付けにして、私達は、東南の敵を攻撃よ。

ミケ率いる軍はそのまま軍を反転し東南へ向かった。

ティオス軍は、ロキエの反撃をかわし敵の拠点を占領し続け、さらに東北から第19軍を動かし脅していた。


「一方」ロキエ大将は、メル平原で軍を再編しつつあった。

「ロキエ様」軍の再編が終わりました。


「そう!」

…では、軍を二つに分けて進軍しながら本隊はそのままメルカへ向かい。

別動隊は、メルカの左側面から攻撃よ。


一方

メルカ司令部では!!

ロフ中将殿!」

何事だ⁉

はっ

敵軍が、我が城へ接近して来ています。

「なんだと!」

それは真か‼

はっ、間違いありません。

再び奴らが我が国へ侵攻を開始したのか…

総軍に伝達、敵をメルカ郊外で向え討つ

さらに市街への侵入を防ぐため各要所に堅固な陣地を構築せよ

「分かりました。」


この、メルカ軍の動きを監視していた魔軍の偵察隊からの報告で、先を見越していたロキエは、新たな試みに着手していた

秘密裏に五個軍を新たな攻撃地点まで移動させた。

その内訳は、戦車歩兵、騎馬の師団である

ロキエ様、熊軍が我が軍への攻撃準備に入りました。

くっ、さすがに早いわね。

私達もすぐに戦闘準備よ、熊軍に我が軍の強さを思い知らしめなさい」


「その2日後」

全軍突撃よ、ロキエの号令とともに一気に雪崩込む魔軍

夕刻までロキエの軍がティオス軍の後方奥深く突破した。

ロキエの作戦は見事当りメルカ司令部を蹂躙し分さんさせられ一気にメルカまで迫まったのである。


このような危機的状況に直面したロフは、連合軍に対して援軍を求めたのである。

この伝書を受け取ったミケ少将は驚愕したのである

なんですって、メル平原に撤退した魔軍がメルカを攻めたですって⁉

ありえないわ。敵の兵力は私達と戦った時にはほぼ全滅の状態だったはずよ⁉

それが…どうも敵の罠だったようです。

罠…ミケは己の失敗に気づいた時には、時すでに遅しであった

このままでは、我が軍も敵に挟まれて全滅してしまう。

かと言って、メルカからの援軍要請もある


一瞬、ミケの脳裏にはある策が過る‼

「小さきを忍ばざる時は大謀も乱る」

敵をおびきだし罠にはめる

つまり私は、見事に敵の罠に嵌った訳ね

体中が震えるミケ…

ははっ…私が間抜だったばかりに、敵の策も見抜けず

そればかりか、メルカや我軍を危機存亡に追い込んでしまったわ。

この時ミケは軍学時代の事を思い出していた

ミケよ、君は机上の軍略には長けてはいるが兵を率いての戦略にはまだ及ばない。

もし、兵を率いる時は心得よ。

「私は絶体そんなへまはしないと思っていた」

「だが、恩師は、それを見抜きちゃんと指摘してくれていた」

私はそれも、うざいと思っていた、だけど、ようやく、今になって気づいたわ。


このままここで全滅する訳にはいかない

全軍に告ぐ、我が軍は此れより、メルカの救援に向かうわ

我と思う者は私についてきなさい。

一瞬、周囲が静まり返えり…」

その後、一気に大声が上がり士気が高まる

ミケ様、我らはアナタの兵です、何処までも追いて行きます。

アリガトウ、アナタ達の命…私が預かる‼


ミケは、全軍を引き連れ怒涛のごとくメルカへ急行したのである。

さらに、後方からの敵の追撃には殿を当て、兵力の損失を防いだ。

ミケの部隊は、一日かかる距離を僅か半日で走破した。


その頃メルカ城では。

ロフ中将

どうしたのだ⁉・・・

はっ、‼

敵が、我が軍の陣地を破り突破しこちらに向かって来ます。

クッ⁉早いな

「連合軍の援軍は間に合わないのか。」

全軍に通達

本国を守るために、新たなる陣地を築け

この陣地を突破されたら、我が国は終わる。

国の為に命を捧げよ。

「周囲に声が轟く・・・」


そして、遂に目の前に敵の姿が現れる。

「ロフが呟く」

あれがロキエの軍・・・

皆の者、相手がどんな敵であろうと、我が軍は負けぬ

命ある限り戦うぞ。

全軍出撃せよ。・・・


そう声を上げたとき、敵の中央で爆発が起こった

ロフが気づく・・・あ・・・あれは魔法

すると、たて続けて爆発

そして、横からミケの軍が敵を突く

急のティオスの攻撃により敵は混乱を来たしたのである。


ロキエが言う

「なっ!!」魔法ですって⁉

熊獣人族は魔法が使えないはずよ。

「ロ・・ロキエ様‼」

「どうしたの⁉」敵の援軍が現れました。

「な・・・なんですって‼」

いったい何処から・・・

「考える」ロキエ

まさか、我らが別動隊を破ったというの。

恐らくは・・・

もし、我が軍を破ったなら。ここまで来るのにかなりの疲労が残ってるはずよ。


「兵法に」こんな策があるわ」

「みず来たらば、土もて多い将らば兵をもて迎う」

「意味」

「敵は遠路より来て、兵も疲労している」

ここは、全軍で攻めるチャンスよ

全軍に通達、一気に攻めるわよ

一気に攻勢にでるロキエ

それを迎え討つ連合軍、互いに混戦し戦い続ける。

両軍の戦いは夕刻頃まで続き趨勢は決した。


この戦いにより、連合軍は敗北したのである。

これにより、ミケの部隊はほぼ壊滅し撤退

ギリムは、アトラ大陸に楔を打ち込む事に成功したのである。



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