第26話 ガド丘陵の死闘

魔軍のゲルドとゲイルが合流し、カイト・トールの構築した防衛戦の薄い部分に沿って東へ進み。

6月23日の夕刻には、ガド丘陵の西に達していた。


「カイ少将」敵軍の部隊が、ガド丘陵の西に現われました。

な、なんだと…。

ば…馬鹿な‼

情報部の報告では、近くには魔軍はいないはずだ。

奴らは、どこから現われたのだ⁉

クリス参謀長が言う。

カイ少将、直ぐにガド丘陵で危機にさらされているわが軍への援軍を派遣しましよう。

いや、援軍は送る訳にはいかない

もし、この奇襲が敵の罠だったら、我が軍は、全滅の危険にさらされるぞ‼

しばらく様子を見る。

そんな事を言っていると、ガド丘陵のトール軍は全滅してしまいますわ。

「カイ少将」トール少将を見殺しにするつもりですか‼

イヤ…けっして、そんなつもりはない。

だが…

「クリスが言う」

「カイ少将」私が、トール少将の救出に向います。

いや、カイは、ためらいを感じた。優ぐれた戦略家でもある彼が軍をメイ町に留めて抑止力として使うべきだと考えていたのだ。


たしかに、この考えは正しかった。

だが、ガド丘陵のトールの救出軍も派遣せねばならい

カイは決断する。

クリス准将を、ガド救出軍の司令官に任命する。

2軍を率いて、敵を全滅せよ

「わかりましたわ」


1方、ガド丘陵に展開している、トール軍は、魔軍に包囲されつつあった。

「トール様」敵は、われわれを包囲する構えです。

「うむ」このままでは、我が軍は全滅だな‼

メイの町からの援軍は来ないのでしようか⁉

「分からん、来るかもしれん、来ないかもしれん」

と、トールは目をつぶり考える。」

カイ少将から連絡は、まだないのだな⁉

「はい」

1方、クリスは、2軍を率いてガドを目指していた途中ゲイル率いる騎兵軍団と遭遇し反撃を受けていた。

クリスは、考えていた、敵将の考えが分からないクリスは、いったん退避するわよ。

用心にこしたことはないわ

クリスは、再び戦略を変えて攻撃を開始します。

しかし、この試みは失敗に終り、6月30日には、第102、第104軍もほぼ

壊滅したのである。

クリスは、自分の作戦が相手に見破れられていた事に気づかず自責の念にかられていた。

「くっ‼」私が、カイ少将の言う通りにしておけば、ここまでの損害を出さ

ずに済んだのです。


この責任は、私しにあり、1兵でも多くの敵を道連れにします。

「副官が言う」

「クリス准将」

死ぬ事は、いつでも出来ます。今は生きて、次回汚名を返上するのです。

我が軍の司令官はアナタです。すぐ撤退命令を出して下さい

クリスは、目を閉じ、少し考えた後」

「目を開き言う」

全面撤退よ、すると沈黙していた将兵たちが大声を上げ

士気を上げたのである

クリスは、思った、私にはこれだけの将兵が付いている

本当にありがたいと思った

今回、私の独断で多くの兵を失しなったにも拘わらず

こうして皆が付いて来てくれる。


今回の汚名は次回に返上するわ。

クリスが撤退した後、7月3日には、ラムド軍、67、68,69、ガド丘陵の

トールの軍はゲルド、ゲイルの軍により閉じ込められる。

「副官が言う」

トール様、我が軍は敵に拠り完全に方囲されました

このままでは、全滅は必至かくなる上は、全軍をもって中央

突破しかありません⁉

トールが答える」

うむ、それしか答えはない。

すると、1人の男が入って来た。

どうした⁉

はっ‼」カイ少将からの伝言であります。

「読め」はっ‼

メイの町からクリス准将を援軍として送ったが、敵の反撃に合い全滅したとの事です。

周囲が驚く、ぜ···全滅ですと‼


「そうか」と1言だけ言うと

全軍中央突破し、メイの町へ帰還するぞ

「はっ‼」全軍突撃…」

こうして、ラムド軍は組織的な軍隊としては事実上存在しなくなり

トール司令官は、捕らえられて、処刑された。

トールの副官は、トール司令官の死に怒り、敵軍殲滅を誓うのである。

トールの後を継いだ、メアリ准将も、北西のロード河での防衛線を組織する余裕はなく、魔軍の戦車部隊の先鋒は8日にロード河を押しわたって、スレン河へと進んだ。


その頃敵軍のゲルド・ゲイルの兄弟は、作戦を練っていた。

「兄貴」

どうしたのだ弟よ。

我が軍は、現在ラムド軍を包囲しつつあるが、奴らを完全に密封するのに十分な兵力が足りない、このままでは、ラムドに兵の再集結の余裕を与えてしまうことになるぞ‼

「ふむ‼」それはまずい事になる。

だが、今さら足りない兵力は補えないぞ‼

「ゲイルは考えた」…‼

たしか、南方に、マザー司令官の8個師団がいたな。

そこから3個師団を借りる事は出来ないであろうか‼

「ゲルドが答える」

うむ、それは、難しいのではなかろうか‼

確かに、3個師団あれば、包囲に事足りる

「が」、マザー司令官からは色よい返事は貰う事は出来ないと思う

「ゲルドの考えは正解であった。」


そのころ、南方のマザー司令官は敵の反撃に会っていた

「マザーが言う」

アビル、敵の抵抗が激しさを増して来たわね

アビルが答える

「はい」…

敵は、ゲリラ戦を展開し、我が軍を翻弄しています。

このままでは不味いわね、進軍が遅れてしまうわ

マザー司令官、ここは、「1旦」本国のリリス様に伺ってはどうでしよう

「そうね」

アビル至急、リリス様に伝言よ

「伝言の内容は、」

「自己の責任でさらに前進を続けたいと」

分かりました、早速く本国へ向います。

「たのんだわよ」

「はい」…


「魔王城」

リリス様⁉

「あら‼」アビル、どうしたの⁉

「はっ‼」

実は…

アビルは、マザー司令官から伝言であります

アビルは、かいつまんでマザー司令官の要望を説明したのである

アビルからの説明を受けたリリスは難色を示したが

マザー司令官の要望を認めた。

リリス様、ありがとうございます。

「ええ」

至急、マザー司令官に伝えます。

気を付けてね

「はい」ありがとうございます。


その頃戦場では。

マザー司令官は、この戦闘全体の中で死ぬまで抵抗をやめないラムド兵が多数存在していることに驚愕していた。

「くっ‼」

人間の分際でここまで戦うとは称賛に値するわね。

「マザー様‼」

何かしら「アビル‼」

はっ‼

リリス様は、こちらの用望を認めました。

分かったわ。

名将へ報告、全軍出撃よ。

しかし、マザー司令官による前進は、魔軍の諜報が誤っていたこと

があきらかになる。

そして、これらすべてのことが魔軍側に苦難となって現実に襲いかかってくることになる。

ラム・ティオの連合軍は、開戦時から魔軍側の攻撃は、イオスに集中すると確信しており、そのためキールには相手方の魔軍第89軍騎兵集団に比べてより多くの部隊を配備していたのであった。

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