第9話 戦闘開始

翌日

フレイの部隊は、オルス林に進軍。

と、同時にロイド、クレアの部隊も進軍した。

フレイ様

この林は、木と木の間隔狭く、もし敵の火計に合ったら

我が部隊の退路がたたれます。


ええ、そうね‼

全周警戒よ、敵の1人たりとも見逃さないように注意しなさい。

フレイ様、盗賊団の動きが分からない以上

迂闊に進むのは危険であります

この時

フレイの胸中には、嫌な予感があったのは言うまでもない

それじゃあ、一旦進軍を止めるわよ

はっ!

進軍を止める。

フレイのこの行動が後に良い方向へと流れるのであった。


その頃

盗賊の頭

マルクスは、左右の側面からティオス軍の奇襲により混乱した、部下たちを、落ち着かせるために奔走していた。

お前ら落ちつけ、たかが左右から敵が現れた位で騒ぐんじゃね。

頭の一言で混乱していた部下たちは落ち着き始めた

さすがは盗賊の頭である

いいか、てめ~らァァァ

いまから俺の指示どおりに動け。

まず

隊を4つに分けて、東西南北に各20名で守りに入れ。

敵が攻撃してきても、応戦は絶対にするなよ。

えっ!!

それじゃあ~

敵の思う壺ではないのですか?

馬鹿、それが策なんだよ

部下??

ようするにだ

奴らが攻めてきても

俺らが相手にしなければ

こっちに策があると思って逆に警戒させるんだよ。

マルクスの策

これを[兵法]借刀殺人の策と言う

相手の矛盾を利用し、味方は戦力の消耗を防ぐ手である。

さすがは頭ですな、これなら戦いやすいぜ。


一方

クレアとロイドの両軍は左右にある門を攻撃したが、

守りが堅く攻めあぐねていた。

クレアが言う

クッ!!

なんて守りが堅い城門なのかしら!!

さすがは天然の要害と言われるだけあるわね。

すると、1人の兵士が言う。

クレア様

どうしたの!?

此方からの攻撃に対して敵側からの反撃がありません!?

これは、敵の罠なのではありませんか?

えっ!!

敵側からの反応が無いですって!?

……………

それは、確かに変ね。

クレアは考えた、この矛盾した相手を……

すると、一つの答えが出てきた。

それってもしかして!!

借刀殺人の策だわ。

敵側が、その策を使うなら

私達は

[兵法] 調虎離山の策で行くわよ。

誰か

はっ!

すぐに、ロイド様に電文を送って貰えるかしら。

判りました


西側面軍

むぅ~

敵の守りが堅いな


ロイド様!!

どうしたのだ!?


クレア様から電文であります。

電文を受け取り目を通すと、ロイドが感心する

さすが、クレアだ敵の策を。

こんなにも早く見破るとはね。

良し!!

クレアの策を使うとしよう。

これにより、クレア、ロイドの両軍は、囮を除く全軍を静かに十里後退したのである。

クレアの策通り

これで敵が、罠に嵌ってくれれば良いが!?


それと、フレイ大将に電文を送ってくれないか!?

わかりました。


その頃

フレイの軍は、オルス林の中をずっと警戒して半日が過ぎようとしていた。

妙なのである!?

林の中から、こちらを見られてる気がして前進出来ないでいた。

すると、フレイの脳裏に一つの答えが出てきた。

これは、もしかして!!

[兵法] 空城の計なのでは?

誰もいないように見せかけた城は、かえって敵を疑心暗鬼にする

それを、敵側はオルスの林で仕掛けたわけね。!!


フレイが言う

この林には誰もいないわ。

全軍進軍よ。



フレイの部隊が林を抜けようとする頃

ロイドからの電文を受け取った。

それに目を通すと、フレイも内容通りの陣を展開したのである。


ふふ、クレアも成長したわね。


盗賊頭 [策にハマる]

マルクスの頭

東西の敵の人数がかなり減ってきてますぜ。

フッ!!

敵は遠征軍だからな、この険しい山岳地帯ではうまく兵站が行動できてないのだろうな。

[と言いますと]⁉

ふっ!!

詰まり食糧不足に陥る事だ。

俺たちは、籠城しても半年は、持ちこたえるが

奴らは、一週間しか保たないだろう。

と、言う事は

[あぁ]

いまが奴らを全滅させるときだ。

なるほど!!


良し全員集めろ、敵を一網打尽にするぞ。

わかりました!!

マルクス率いる 

盗賊の部隊は、ティオス軍の野営地へ襲い掛かった

だが!?

野営地には誰もいなかったのである

敵の姿がありません。

テントの中も空です


な…なんだと!?

マルクスの脳裏には嫌な予感が過ぎる

し…しまった罠だ!!

全員退却するぞ!!

罠に嵌った事に気づいた時には、すでに周りを囲まれていた。


クレアが言う

大人しく私達に降伏しなさい。

くっ!!

マルクスが言う

この策を考えたのは、アンタかい!?

クレアの顔を見据えるマルクス。

えぇそうよ。

フハハハと笑う盗賊の頭

クレアは、キョトンとしている

何が可笑しいのかしら??

嫌、悪い!!

まさか、自分の策が見破られ逆にアンタの策にハマるとはな。

我ら盗賊団は、アンタに降伏する。

あと、

こいつ等は、俺に従っただけなので助命をお願いする

頭……

俺たちはアンタに一生付いて行くと決めてるんだ

なぁ 頭を、殺さないで下さい。

お…お前ら

クレア!!

あっ、フレイ様とロイド様

今回の勝利はあなたが導いたのだから、彼らの処遇は任せるわ

わかりました

目を瞑るクレア

考えてるようだ!!

暫くして目を開ける。マルクスの盗賊団は、我がティオス軍へ加入してもらいます。


マルクスは、わかったと答える 

我ら一同ティオスに忠誠を誓います


これで、あなた達は私達の仲間よ

問題を起こさないでね

盗賊一同

わかりましたと返事したのである


ねぇ[クレア]

はい、フレイ様!?

マルクスを、私の部隊の参謀として欲しいのだけど良いかしら!?

あっ、はい良いですよ

[ありがとう]


さて

マルクス、一つ質問よ

マルクスが言う、何でも聞いてくれ。

あなたが、私達に使った兵法は誰に習ったのかしら??

あぁ……

それは、盗賊の頭はこれ迄の経緯を説明した。

兵法を習ったのは、最近の事でラムの砦の酒場で出逢ったみすぼらしい若い男の特徴を説明した

すると、フレイが

ちょちょちょっと待って!!

その人って

フレイが、マルクスにもう一つの特徴を聞いてみた!!

答えはあっていた。

ねぇ…ロイド!!

ロイドが笑って言う

[完璧に]あの人だね。

マルクスが言う

フレイの姉御…知り合いなんですか?

[だだだ…誰が姉御かっ]

や、やめてよね…その呼び方

ロイドが言う

よっ姉御

アンタまで言うか!!

もぅ~っ

まぁ…いいわ

あなたに兵法を教えた人は、わが国の英雄ハルヒロよ

えぇ!!

あの兄ちゃんが!!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る