第8話 北東の盗賊団

 首都ティオスを出発した、フレイ達討伐メンバーは、北東の古城を根城にしている盗賊団を捕らえる為に進軍していた。

 メンバーは馬に乗って移動しているが、多くの兵士達は列をなし歩きである

 山間部の風景が流れていく

 殺風景の山岳の中腹は、何処までも続いている

 フレイ達は目的地の手前にある最後の町ランの砦へ立ち寄った

 目的地は、補給と兵の休息である

 規模こそは大きくは無いがラムにも城下町がある

 普段は、それほど活気は無いが、フレイ達の部隊のおかげで今日は賑わっている

 フレイ達は、兵達に飲むのは構わないが羽目をはずさないように、明日の朝9時には全員広場に集合と命令し解散させたのである


 ラムの応接間には、フレイ、ロイド、クレアの三人が、砦の責任者イスカ大佐の招きにより、歓迎会が行われていた。

 イスカが説明する

 この砦では、長きに亘り北の防衛の要として、敵の侵攻からティオスを守ってきた場所です

 そう説明しながら、集まったメンバーをイスカは尊敬の眼差しで見渡した。

 メンバーの中でも

 フレイ様は、我らがティオスの誇る最強戦力の一人だ


 イスカ大佐と、フレイが言う

 はっ!!

 最近噂になっている盗賊達の最新の情報はあるかしら!?

 すると、しばらくお待ち下さいと言って部屋を出ていくイスカ

 暫くして一人の男を連れて戻ってきた。

 すると、男の顔を見たフレイ、ロイドが声を出して驚く!!

 あっ!!・・貴方は・・カシム

 お久しぶりです、フレイさまロイドさま

 ええ!

 すると、ロイドが

 いつ帰ってきたんだい!?

 4日前です・・ロンメル総帥にもお会いしました。

 一方・・クレアは、誰って顔をしている!?

 だって貴方は幽霊ですもんね!

 幽霊!?・・クレアは、ますます、頭を??させて混乱している

 ゆ・幽霊が出た・・嫌・・・泣き声をあげながら逃げようとするクレア

 ちょ・・ちょっと・・クレア・・落ち着きなさい

 だ・・だって・幽霊ですよ・・ワタシ大嫌いなんです

 本気で怯えるクレアの顔が真っ青になっている。

 幽霊は・・幽霊だけどちゃんと生きてるから

 生きてる幽霊ってなんなんですか??

 え〜!!そこ!?

 苦笑いをするイスカ

 ははっ!!

 泣きながら抗議するクレア

 フレイが言う

 とにかく落ち着きなさい!! ロイドが見てるわよ

 えっ俺 急に名前を振られたロイド!?

 あぁ、もうこの天然が!!


 はっ!!ワ・・ワタシとしたことが・・は恥ずかしいと言いながら

 顔を真っ赤にしたクレア・・もう・」いまにも死にそうな顔をしている。

 ぷっ

 いや〜しかしクレアが幽霊が苦手とはね。

 意外だわ

 確かに、苦手な物なんて無いと思ってたのに。

 べ・・別に幽霊なんて相手にするわけじゃないし

 子供か─ッ!!

 まぁ〜クレアが幽霊が苦手でも俺は構わないかな!

 ウグッ・・グサッ

 ふら〜

 もう、いいです・・がっかりしましたよね

 残念でしたでしょう

 ええ、私にだって嫌いな者だってありますよ

 ず〜ん

 落ち込むクレア

 めんどくさっ!!


 あのねぇ・・クレア

 いつまでも拗ねて無いで、早く席に着きなさい。

 少し頷きながらも席に着く

 クレア少将、先ほどはびっくりさせてすみませんでしたと謝罪した

 いぇ、ワタシのほうこそ大人げありませんでしたと

 さて、お互いにに謝罪したので、話の続きをしましょう


 では、改めてワタシはティオス国機密部隊司令官カシム中佐

 そこにいるイスカ大佐の弟です

 ・・えっ!!

 機密部隊って確かロイド様直属の部隊ですよね

 おっ!良く知ってるねと、ロイドが言う

 ・・確か幽霊部隊って

 あっ!!クレアが気付く

 えぇ、その部隊よ

 そ・・そうだったのですね!!

 私達は幽霊なので、ここで見たことは忘れてください。

 わかりました

 では、カシムがいつも持ち歩くカバンから一枚の地図を取り出し広げた

 それは、盗賊団の拠点戦略地図だった


 まず、盗賊の砦は、見ての通りオルコス山脈の中腹にあり

 天然の要害になっております

 また、それ以降は族蛮の支配する地域に密接してます。

 いかに蛮族を刺激しないかで、敵の討伐を終えるかに掛かってます

 そこで、私は蛮族に刺激を与えず軍を展開できるルートを発見いたしました。

 まずは地図をご覧頂くとお分かりと思います


 フレイが言う

 ルートが三ヶ所在るわね!?


 はい、このルートこそ、蛮族に刺激を与えず、かつ

 盗賊どもに攻撃ができる場所です

 1つ目が正規のルート

 2つ目が険しい山岳のルート

 3つ目がオルコス山脈の西を流れる川を渡って進軍ルートです


 特に、2、3のルートは難所ですが

 敵の右側面と左側面を同時に攻撃ができ、敵の混乱を引き起こせます。

 なお、敵の兵力は80人程度です。


 さすが、カシムね!!

 こんな短い期間でルートを見つけて来るなんてね

 ありがとうございます


 では、このルートで進軍しましょう

 ロイド、クレアもそれで良いわよね

 わかった

 進軍は、明日の10:00時よ


 クレア全軍に通達して頂戴

 はい、わかりました


 こうして、その日は暮れていった


 翌日

 全員そろったわね

 盗賊の砦に向かって進軍よ

 フレイ ロイド クレアの部隊は、三軍に別れて移動を開始した。


 その頃

 た・・大変だぁぁ

 どうした⁉

 オ・・オルコス平原に

 ティオス軍が現れました!

 う~ん

 ティオス軍だと!!

 はい!!

 で!?

 敵の兵力はどのくらいだ?

 見張りからの報告では

 50人程だそうです

 たった50人だと⁉

 ちゃんと確認したんだろうな!?

 はい

 おかしい……

 兄貴どうしました⁉

 俺達を捕らえる為なら、その倍の兵力が必要なはず

 えっ!

 しかし、見張りの報告では

 いや、絶対に別働隊がいるはず

 探せ、必ず見つけろ

 はい分かりました

 この時

 マルクスの脳裏には嫌な予感が走っていた

 手下の報告から半日が過ぎた頃

 兄貴

 どうした別働隊は見つかったのか⁉


 いいえ

 まだ見つかっていないです

 あと、街へ様子を探らせに行かせた部下からの報告では

 ティオス軍の兵力は250人で

 部隊を分けて消えてったらしいのです

 くっ!

 奴ら、本格的俺たちを捕らえる気だな

 それなら、全員を集めろ

 戦闘準備と策を授ける

 わかりました


 ここに、ティオス軍と盗賊団との戦いが始まった。

 フレイ率いる正面軍は、オルコス平原を越え山道の両壁に挾まれた道を警戒しながら進んでいた

 カシムの情報では、ここには伏兵を隠せやすい地形ではなく安心して進軍出来ると聞いていたからである

 カシムの言った通りね


 本題はこの場所を抜けた所にある、オルスの山林である

 そこは伏兵を隠しやすく、一歩間違えば敵の罠に嵌まる恐れがあった。


 フレイ達は山道を越えてオルコ山林の手前まで到着した

 みんな聞いて頂戴

 今日は此処で夜営するわよ

 直ぐに準備をしなさい

 わかりました


 一方

 フレイ達は別行動していたクレアの部隊は

 途中で進軍を止めていた

 山崩れである


 もう~

 急ぐときに限って、なんて運が悪いのかしら!!

 みんなでこの山崩を片付けるわよ、急ぎなさい

 はい

 瓦礫の撤去が始まっていかばかりの時が流れただろうか!!

 クレア様

 どうにか、部隊が通れる通路を確保しました。

 さすがね

 はっ!!

 みなが頑張ってからです

 ありがとう

 少し休憩してから出発よ

 すると、兵士達から声があがった

 休憩はいりません。至急出発しましょう

 タダでさえ、行軍が遅れています

 早めに指示された場所へ到着しましょう


 わかったわ

 あなた達の、その言葉を受け取ったわ

 ここでの遅れを取り戻すわよ

 全員出発よ


 クレアの部隊は順調に進み敵の左側面にたどり着いた。

 皆のお陰で無事に目的地に着いたわ

 本当にありがとう

 頭を下げるクレア

 すると兵士達から頭を上げて下さい

 クレア様と言われ、皆の顔を見る

 俺たちは貴女の為ならばこの命を投げ出す覚悟ですから。

 わ・・わたしは、なんてこんなに部下から慕われているのだろうと。

 わたしは、あなた達を一人も死なせはしないわ

 だから、軽々しく命を投げなんて言わないで。

 その言葉を聞いた兵士達の中から一斉に声が上がった

 わかりましたと返事をしたのであった。


 ロイドの部隊は、オルコス山脈の西側を進軍。

 カシムの情報に依ると、オルコス川の対岸側の右奥に盗賊の砦に通じる隠し道がある。

 ロイドはその隠し道を発見したが、そこは狭い道であり一列に隊列を組まないと進めなかった

 一人の兵が言う

 ロイド様

 どうしたのだ!?

 はっ‼️

 我ら5人を偵察部隊に任命してください

 この先何があるかわかりませんので

 わかった、気をつけて行くのだぞ

 わかりました

 5人の兵が狭い隠し道へと消えて行った

 よし偵察部隊が帰って来るまで一旦休憩するとしよう。

 それから、3時間が過ぎた頃

 偵察に出ていた一人が帰ってきた


 おぉっ‼️

 無事で良かった

 ところで、他の4人はどうしたんだい?

 現在四人は、我が部隊が進軍しやすいように周囲の邪魔になる、障害物の撤去にあたっています

 更に奥に進むと、少し開けた場所があり

 そこで休憩ができます


 わかった

 全員出発だ

 ロイド達は狭い道を進みながら目的地に到着した。


 失礼します

 何かしら‼️

 電文であります

 ロイド、クレア両部隊は目的地に到着したとの事です

 予定通りね、さすがだわ

 これで、すべての駒がそろったわね

 全員に通達

 明日の朝08:30分に出発よ


 わかりました

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る