第5話 熊獣人国と帝国の魔女

ラムド西方侵攻軍


その攻撃を最も受けたのは要塞都市メルドであった

敵の進軍速度の速さは、当初の予想を遥かに上回っていた


結果防衛と市民の撤退に手が回らずメルド守備隊も半数以上が壊滅か戦死していた。


くっ!! 薄汚いラムド軍どもめがあぁ・・・ッ

撤退するぞ


敵の主力は、ラムド騎士軍とダークエルフ率いる魔法部隊

特にダークエルフは魔法に長けている

クリフ殿

守備隊の参謀が寄ってきた


おぉ! トール殿 ご無事で何よりだ


はっ!!どうにか脱出できました。

カイト殿はどうされた!?

熊獣人の将の名前である

この、混乱の中ではぐれてしまいました!?

くっ・・無事であれば良いが・・・


ところで後続の兵はちゃんと付いてきてるのであろうな


かなりの兵を失いましたが、付いてきてます

歯噛みをするクリフ


・・・・!!


すると、前方に砂煙が見えた。何かが此方に向かってきている

味方の援軍かと、思いクリフは部隊の速度を落とさせた

目を細めるトール!?

あ、あれは・・・ラムド軍

さ、先回りされてたのか、いつの間に・・─つ!?

しかも奴らは.いったい何処から来たのだ!!


血相を変えたトールが慌てて号令を出す。

弓兵を前へ!騎馬を撃てぇ!

敵の騎馬が突進してくる

とクリフが何かに気づいた!!


あの・・軍旗は・・ッ!

クリフの脳裏に一抹の不安が過る!!

目の前現れたのは、帝国の魔女と呼ばれている

シンシアである


そん、な─馬鹿な

なぜ、魔女が此方にいるのだ!!


時系列を少し遡る

帝国の魔女


シンシアは副官のリーファと供に西へ向かっていた


ラムドを立つた軍の目的地は、熊獣人国メルド要塞


昨日、ダーク総帥寄り発せられた指令を受け


半ば強行軍の速度で進軍していた。


副官のリーファが馬首を並べる


どうしたの!?


シンシア様 後一刻ほどで我が軍の駐屯地に到着します


えぇそうね


兵も馬もこの強行軍でかなり疲れてるわ

一旦少し休憩を取りましょう

はい!?


すると、前方から軍馬がちかずいてくる

シンシア様っ

伝令がシンシアの隣に馬をつけた

ヨハン大将からの伝書です

苦労様です


細い筒状に丸まった手紙を開き目を通す、シンシア

通し終えると彼女は、リーファに渡す

リーファ回りに聞こえるように内容を読み上げなさい


はい、わかりました。

リーファが内容を読み上げ始める。

すると戦線の内容が明らかになるに連れ兵士たちから

おぉ・・・っ!

と歓喜の声が上がり始めた。伝令が伝えたのは

侵攻軍の成果である

内容は、以下のようなものである

メル平原にある、我が軍の駐屯地より、ヨハン大将率いる部隊が打って出た


そして我が軍との最後の交戦となったメルド要塞の一戦は

完全なる我が軍の勝利に終わった。


その一戦で少なくとも12000人近くにのぼる熊獣人族を殺したと推測される


現在、敵はメルド要塞を放棄し南にある熊獣人本国に撤退しています


ん〜

撤退している、敵をこのまま黙って見逃す程我が軍は甘くは無いわよ

リーファ!

シンシアに言われ

リーファは荷物の中から丸めた筒状の羊皮紙の地図を出してきた


シンシアはそれを手に取るとそれを広げた

現在、私達がいる場所はここよ地図の一部を指差す

リーファが言う

この線は!?

通り道としては、険しい所だけど上手く行けば。

敵が撤退している、前方に出られるわ


リーファが言った

つまり、敵の裏をかくのですね

そうよ

敵は、突然の奇襲に肝を冷やすでしょうね


この後、シンシア達は軽くルートを検討し

西南の方向へ消えて行った


そして両軍が邂逅を果たす事になる


シンシア様

前方に熊獣人族を発見!!

まだ此方に気付いてません


えぇ


騎馬は出撃よ!!


雪崩めいた騎馬隊が大地を揺らしながら熊軍へ突撃していく

クリフ中将殿 敵襲です!!


くっ!!


あれは、シンシア


敵の中にシンシアを見つけたクリフ


隣にいるトール少将が声を出す


すると弓兵の中心で轟音が鳴り響いて数人がいっぺんに吹き飛ぶ


爆発だと!?

炎熱魔法の1つブラスト

直撃を食った弓兵は火だるまになって転げまわっている


すると、続けさま火炎弾が襲ってくる


フゴオオオォ・・・ッ

弓兵の隊列が崩れる、シンシアはその期を見逃さず


再び爆発を唱える 騎馬兵の突破口と損害を減らすため

!う、うおあぁぁぁ!

そんな・・


あ・・あれが・・・魔女の魔法!!

クリフ殿!!

トールが叫ぶ


─ッ!まずい、あれでは先頭の弓兵がっ!

事態をいち早く把握したのはトール

直ぐ様・・弓兵と槍兵を入れかえよ

ガッ!!

一瞬の判断の差で騎馬隊が弓兵の陣に突入したため槍兵も動けない。


シンシアは、その瞬間を見逃さなかった。残りの部隊を率いて一気に攻める

この程度の獣人兵など、我が軍の敵にあらず!!

蹴散らしなさい!


凛烈な声が、高らかと響いた

号令のあとに続くは漆黒の鎧の騎馬隊

趨勢は、決した

騎馬隊の働きもさることながら、シンシアの魔法によって


熊獣人軍全体の士気も削いだ

瓦解した熊軍に対して、一気にたたみかける

戦場全体の様子を伺うリーファ

勝敗は決した


シンシアの軍は、この戦闘で敵将司令官

クリフとトールの二人を捕える事に成功

此れにより熊軍の戦力は大きく壊滅し

熊獣人族は、遂に降伏

首都メルカは、無血開城となった

ここに、ラムド帝国は西方の統一を成功させたのである


このラムドによる西方統一は各国に衝撃を与えたのであった

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