後編
隣に住んでいた女、林保奈美は犯行を認めた。人を小ばかにしたような態度が前々から気に入らず、殺すことにしたという。凶器である包丁も流しの下から発見され、一件落着となった。縁側か
ら忍び込んで後ろから刺殺。犯人を誤魔化すために睡眠薬を湯呑に入れ、エアコンをつけてガラス戸を閉めた。
「しかし警部補、何に気が付いたんです?」
「そもそも変だと思ってたんだ。自分の夫を殺すために睡眠薬で隙を作る理由があるのかって。そんなことしなくたってもっと疑われにくい方法も考えればあるだろ。じゃあ誰が、となった時にお前の発言だ。ガラスの風鈴から澄んだ音なんかならない。カランカランって音が鳴るはずだ。あの日は風もなかったから実際に聞いてはいなかったんだろうな。そしてこれまでも。だから周りの住民にも話を聞いてみた。案の定それほど響いていなかったみたいだったな。とにかく嘘をついているのは間違いないから引っ張ってみたというわけだ」
ふふんといくらか得意げにしている花見をみて青山は苦笑する。
「意外と細かいこと気にしてますよね、警部補は」
「意外とってなんだお前」
花見敏明の事件簿 天洲 町 @nmehBD
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