4. ショッピングモール

 落ち着く郊外型スーパーマーケットを決めるまでに六日ほどかかった。

 最初のマーケットは、人が沢山いて、かなり物資も略奪された後だったのでやめた。

 次のマーケットは小さかったし、その次は園芸用品ばっかりで食料とかが無かった。


 僕らはトランザムの中で寝て、そこら辺の店から略奪した食べ物を食べ、三日目に愛し合った。

 キャロルは僕に悪態を付きながら、ぽかぽか殴り、痛い痛いと不満を述べつつ、いろいろ燃え上がった。大変充実した時間だった。


 ガソリンスタンドで、キャンディーバーと燃料を略奪し、さらに砂漠を東に東に。

 街でゾンビを退治しつつ、銃砲店で弾と拳銃を補充。

 丘を越え、谷を越え、さらに山を脱けた所に、そのショッピングセンターはあった。


「大きいわね」

「うん、なんでも取りそろえているらしいよ」


 とりあえず、トランザムで店内に飛び込んで、そこら辺に居るゾンビをひき殺した。


 ショッピングセンターのマップをゲット。


「最初は?」

「食料!」


 僕らは食料売り場に入り、銃とロケットランチャーでゾンビを制圧し、豊富な食料と安全な寝場所を確保したわけだ。


 ショッピングセンターからゾンビを全て駆逐するのに、一週間ぐらいかかった。

 誰もいないショッピングセンターは天国のような場所だった。

 僕らは発電装置を動かし、熱いシャワーを浴び、ふかふかのベットで眠った。

 オモチャをかたかた走らせ、真空パックの美味しい中華料理に舌鼓をうち、DVDを見て笑い、ゲームをしてつかみ合いの喧嘩をした。


 とても楽しかった。


 ショッピングモールの屋上から、砂漠を見下ろした。

 空はどこまでも広く、晴れていて、隣にはキャロルが居た。

 くすくす笑いながらふざけあい、ペーパーバックを読み散らし、でたらめな曲を楽器で弾き、歌い合った。

 僕ら以外は誰も居なかった。僕らの廻りにはアメリカらしい物資が山積みになり、遊び放題、食べ放題、飲み放題だ。

 夕日に照らされながら、キスをした、愛を交わした。

 機嫌が悪くなったキャロルをなだめたり、機嫌が良くなったキャロルにからかわれたりして、日々を暮らしていた。


 そんな夢のような日々の末に、奴らはやってきた。


 暴走族が三十人。


 マッチョな肉体に入れ墨を入れ、カウボーイハットにチャラチャラした鎖。もちろん、銃とか斧とかチェーンとか完備だった。


 もちろん、僕とキャロルは全力で戦った。

 ロケットランチャーと狙撃銃で先制攻撃。奴らが近づいてくるまでに五人は削った。

 ショッピングモールのゴチャゴチャした地形を使い、一人、また一人と、奴らを狩っていく。

 雄叫びを上げて走るバイク。唸るチェーン。ショットガンの轟音。吹き飛ぶ血とか肉とか腕とか脳とか。


 半分以上狩った所で、キャロルが奴らに捕まった。

 僕は彼等に降伏した。


 キャロルと僕はメチャクチャ殴られ、メチャクチャ犯された。

 それでも、まあ、なんとか生きていたので、よしとしよう。

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