3月02日 裏切り(中編)
「警部!大変です。とんでもないことがわかりました。」
「どうした榎本」
「実は、多磨の家に落ちていたコードから製薬会社の顧客リストが確認できたのですが、そこに古藤の名が載っていました。」
「なに?前に調べたときにはなかったが、、」
「はい。ある特殊なセキュリティで保護されていて、警察でもその情報をつかめませんでした。」
「なるほど。それでそのコードが暗号化されていた情報を解くカギだったんだな。」
「そのようです。」
「よし。今すぐ古藤また、澤部の職務情報を再確認しろ。」
「了解です。警部はもう行かれますか?」
「あぁ。一人で行くのもあれだからな西本と上田と同行する。」
「了解しました。こちらは川瀬と本町とで調べます。」
「西英製薬の熊本さん。多磨さんが亡くなられた理由や、最近不可解なことはありませんか?また、昨日の午前3時頃どこで何をしていたか教えてください。」
「そうですね。多磨のことはなにもわかりません。いつも通り朝まっていたら警察から連絡が来てショックを受けてました。そうですね、昨日は徹夜で薬の研究を部下としていたので部下の源次郎に聞いたらいいと思う。防犯カメラにもばっちり三時ごろ私が写ってる。」
「では、源次郎さんと、防犯カメラの映像を確認させてください。」
と前田は言った。
「こんにちは。恐れ入ります。研究科一類、安藤 源次郎です。」
「ほう。安藤さんですね。よろしくお願いします。」
「こちらは昨日の研究一類室の映像です。」
「確かにしっかり熊本さんは写ってますね。」
警部の後ろから覗いている上田がささやいた。
「そうだな。アリバイがあるから熊本さんには犯行は不可能だ。」
「一応、安藤さんも確認させてください。」
西本もささやく。
「こちらですね。」
「ほんとだ。ここにしっかり写っている。」
別のカメラのアングルから安藤は確認ができた。
「では、研究一類室に案内させてもらえますか?」
「こちらです。」
「こりゃまたすごく広いな。」
「ここで、ワクチンの研究および試験を行っています。」
♪ ♪ ♪前田のスマホが鳴る。
「失礼します。」
「こちら、前田。」
「もしもし。榎本ですが古藤と澤部について詳しくわかりました。」
「今教えてもらおうか。」
「古藤と澤部は研究科一類に所属し、安藤源次郎の部下です。」
「なに!それは本当か。」
「はい確かです。古藤は昔から副業でデザイナーであり、そちらを本業にするため退社。澤部は父の不動産屋の経営を無理に押し付けられ退社と記録しています。」
「今すぐ、澤部の父に不動産跡継ぎについて確認しろ!」
「わかりました。」
「すいませんが、二人に聞きたいことがあります。こちらの古藤 智郎 澤部 明彦についてご存じだと思うのですが、何かわかれば教えてくださいませんか?」
「あぁ!よく覚えていますよ。あの二人はとても優秀でしたから。けれど、退社してしまったもので悲しく思っています。有力な技術者は逃がしたくないものです。」
熊本社長が苦笑した。
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次回:3月02日 裏切り(後編) 5月03日 公開
お楽しみに。
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