3月02日 裏切り(前編)
「現在のコレナウイルス感染者は全国で3万人を超え、政府は、緊急事態宣言の発令について議論しています。」
街の中心にあるモニターニュースが大きく取り上げたのは、現在流行中の病気である。収束したと思えば、二週間もたたずに世界各地に広がり、多くの人に苦しみを与えなお、命を奪っている。
「大変なことになったな。」
「そうですね、警部、結局昨日のところは多磨の情報を集めるばかりでしたが、世間がこうなっては我々も捜査しにくいですね。」
「あぁ。まったく困ったものだ。」
昨日集まった多磨 純一の情報は複数あるが整理していこう。
・西英製薬の社長 熊本 ひろし の秘書
・3歳から22歳まではアメリカ在住(日本語はペラペラ)
・古藤 智郎 の友人関係
「古藤といえば、三週間ほどまえだったか、留置所でウイルスによる細胞破壊で亡くなったんだよな。」
「はい。その古藤です。あれから、細胞破壊の心配が相次いで報道されましたが、落ち着いてきましたね。」
それもそのはず、3次型コレナによる細胞破壊で亡くなったのは今のところ古藤が最初で最後なのだ。また、3次型ウイルスすら、確認できておらず、今の社会では2次型ウイルスがまだ本領を発揮している。2次型が生まれて早くも1か月。すでにワクチンの配布は始まっている。
「ふむ。古藤が引っかかるな。彼はデザイナーと述べていたが、秘書の多磨とはどのような関係だったのだろうかな。」
「警部、、しらべてみる価値はありそうですね。今すぐ確認してきます。」
「あぁ。そうしてくれ。何かわかれば教えてくれ。私は熊本に話を聞きに行こうと思う。秘書として雇っていたのなら、詳しくわかるかもしれないし、もしかしたら犯人かもしれない。昨日事情聴取する予定だったが、上からの要請で、外出は控えるように言われてしまった。」
「わかっていますよ。それじゃ失礼します。」
「あぁ。それと、榎本はもう明日、最新の変異株のワクチンを打つんだって?」
「そうですよ。警部よりも早く打てるのなんて思いもしませんでした。」
「はは。まぁそんなに気にしてにしてないよ。焦ったところでワクチンは打てないからね。」
集中し始めた榎本を置いて、警察手帳を手に取った前田だった。
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次回:3月02日(中編)裏切り
5月1日公開予定
お楽しみに。
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