第2話その後のおばあちゃん

皆がそれぞれ忙しく生活していたので、おばあちゃんの事を

面倒見る家族が、誰も居なくなった。

時折、母親がおばあちゃんに

語りかけると、、、

おばあちゃんは寂しそうに空を

見上げては

《拓也ちゃんは、、もう大人

しゃけん、み~んなが巣立ちよったなぁ》


と、よく話していたそうだ。


僕が大学生に上がる頃には、

おばあちゃんは少し痴呆が始まっていた。

おばあちゃんの体は、、、

段々と小さくなってきた。

母親が介護をしていたのだが、

父親とは、よく喧嘩をしていた。


いつも、おばあちゃんの介護の

事で、言いあっていた。


そんな家庭の空気の中で、

おばあちゃんの病状が、どんどん

酷くなってきた。


僕は、片田舎の実家に居るよりは、、、と東京近郊に、すでに

越していた。


初めて家族と離れて暮らす事に

なるのだが、

その時になって、初めて

おばあちゃんの優しさが身に染みていた。


僕は東京から、田舎に帰省する時に、一緒に彼女も連れて帰った。


もちろん、両親よりも

おばあちゃんに逢わせたかったから、、、


新幹線を降りて、、、バスや

私鉄を乗り継ぎ、、懐かしい我が家へと、到着したのだった。


母親が、

《拓也?!拓也じゃないの?!

まぁまぁ。そちらの方は?

いらっしゃい。》

と出迎えると家へ3人で

入っていった。


僕が、

《おばあちゃんは?!》

と、、、聞くと母親が口を

つぐんだ。


奥の和室で、いつも居たよな?

さてと、、、

おばあちゃんは元気に

してるかな?


《おばあちゃん!!元気?!

久しぶり!!》と、、

障子を思い切り開けると



そこには、、、。

軒先で日向ぼっこをして、ぼんやりとした


さらにひとまわり小さくなった

おばあちゃんが


鼻歌を歌っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る