おばあちゃんの煮っ転がし

たから聖

第1話おばあちゃんとの思い出。

僕が、まだ小さい頃の話になる。


近所のいじめっ子に、よく殴られて帰ってきた時は

いつも、おばあちゃんが

ご飯を用意して待っててくれた。

いじめられる原因は、、

父親も母親も共働きで

家計も火の車だった。


それで、僕より下の弟の面倒を

見ているのが、情けなくて、

カッコ悪いそうだ。


いじめの事は、それだけじゃなかった。

秋に学校で行う運動会に、

いつも、おばあちゃんが茶色いっしょくたの、おかずを広げて

応援しに来るからだ。


でも僕は、おばあちゃんの煮っ転がしが

とても大好きだった。


《ま~拓也、、今日もやられたんかねぇ?まぁまぁ、

こっちきんしゃいね?》

と、、鶏肉や里芋、、ニンジンやゴボウ、コンニャクが入った


おばあちゃん特製の元気おかずを

度々、用意して待って居てくれた。

僕は、幼心に、

《少しだけ恥ずかしいけど、

おいしいから、、》


僕は、ご飯をお茶碗に山盛り

ついでもらって、

お腹いっぱい食べて、いつも、

(いじめっ子には負けないぞ!)

と、、力を付ける様に、

口いっぱいに頬張った。


僕が小学校を卒業する頃には、

いじめっ子も転校していき、


おばあちゃんの煮っ転がしの

出番が無くなっていた。


ただ、おばあちゃんは

クリスマスにも煮っ転がし。

誕生日にも煮っ転がしが

食卓に並んでいた。


その頃になると、、僕はおばあちゃんの煮っ転がしより

ピザやコンビニの食事に魅力を

感じていた。


おばあちゃんの煮っ転がしは、

食卓に登場しても

下の弟は、食べたがらないので、

沢山、、余っていたのだ。


おばあちゃんは

《せっかく皆が、喜ぶと思って

作ったのにねぇ。》

と、、肩を落とし、、

生ごみに余った煮っ転がしを



作っては捨て、作っては捨てを

繰り返していた。



そして、おばあちゃんには、

段々と、、覇気が無くなってきて




おばあちゃんは、

寝込む様になってしまった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る