第49話 圧倒的な力
「さと、は?どういう、どういうことだ?」
偽物か、走馬灯か?
剣を片手にヘラを抱えている男。どう見ても幼馴染の中野悟だ。
「なんて顔してんだよ魁斗。まさか俺の顔、忘れちまったのか?」
「忘れるわけないだろ!でも、なんで。」
動揺が隠し切れない。この世界に来たのは俺だけじゃなかったのか。
ちらりと落ちてきた黒い物体に目をやると、氷のドラゴンの腕だった。
「詳しい話は後だな。あれ、悪い奴だろ。倒しちまおうぜ。」
そう言うと悟は剣に炎を宿らせ飛び上がった。
剣を一振りするとドラゴンの顔は燃え、やがて消滅した。
「嘘、でしょ。上位魔獣をあっさりと。」
ヘラが目を丸くした。俺も全く信じられない。
「悟、その力..」
恐ろしく強い。多分、アレクより。
「なんか部活向かってたら地面真っ暗になってさ。気がついたらレプラスフォートって街にいたんだよ。」
俺と同じだ。地面に違和感を感じて気がついたらこの世界に。
しまった!悟の登場で炎のドラゴンを忘れていた!
「悟!後ろにもう一体上位魔獣が!」
「あぁ、燃えてるやつだろ?きっともう終わってるさ。」
終わってる?どういう..
「悟〜。とりあえず消しといたわ。」
さすがにもう声は出なかった。
聖羅だ。真白聖羅。聖羅までこの世界に来ている。
「聖羅まで、なんで。」
「あ、やっぱり魁斗だったのね!悟の言った通りだったわ。」
なんでそんなに平然としていられるんだ。こっちはもはや、夢か現実かもわからないのに。
というか、聖羅も上位魔獣を倒したっていうのか?
「ど、どういうことだよ2人とも!説明してくれ!」
思いがけず、大きな声が出てしまった。
それほど動揺しているってことか。
「その前に魁斗。大事な話があるんだ。」
突然真剣になる悟の顔。
「腹が減って、死にそうなんだ。」
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