第34話 無意識の力

「ミゲル君!」


ジュリアがリングの炎に向かって走る。


「これじゃ、回復できない。」


炎の前に立ち尽くす。


「すまんのう。1度放ってしまっては、わしもすぐには消せん。」


突然消滅した炎。

最初に見えたのは立ち上がっているミゲルの姿だった。


「なんと!魔法が消滅した!」


アダンが目を丸くした。間違いなく、魔法が消えた。


「あれは未完成だが、中位魔法じゃな..」


アダンが再び構える。


「試合終了だ!アダン•ベスキートの勝利!」


審判が叫んだ。

アダンが驚いた顔をする。


ミゲルは、気絶していた。


「無意識で中位魔法を使ったんか..」


ジュリアに回復され、意識を取り戻したミゲルにアダンが近づく。


「本当にすまん。勝負と聞いて、熱くなりすぎてしもうた。危ない目にあわせたのう。」


「いいっていいって!やっぱアダンはすごいな。手も足も出なかったよ。」


悔しそうにミゲルが言う。2人は握手を交わした。


「何を言うとるミゲル。未完成とはいえ無意識に中位魔法を使ったんじゃ。完成していたらわからんかった!」


「へ?俺が中位魔法?」


記憶のないミゲルに場が和む。こういうとこもミゲルの良さだな。


こうして、シューバートに続きミゲルも中位魔法の片鱗を見せ、主席との戦いは終わった。

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