第32話 クローカーVSノヴァ

ノヴァの青い剣と、クローカーのレイピアが交差する。


嫌なやつだが、ノヴァの片手剣を細いレイピアでさばくクローカーの腕はさすがだ。


正直、腕は互角に見える。

攻撃力はノヴァの方がやや上か。


「下位魔法:【ブースト】」


ノヴァのスピードが上がった。

速さ、攻撃力どちらもノヴァが優勢。エヴァとの連携が強みだと思っていたが、やはり1人でも強い。


だが、ノヴァがトドメで振った剣は当たらず、クローカーの姿はリングから消えた。


「ミストーションねん!」


コーレーが叫ぶ。

そうだ、あいつにはこれがあった。

これ、見破る方法なんかあるのか?


「くそっ!どこだよ!」


ノヴァも焦りを見せる。


レイピアも消えていることから、おそらく剣にも細工してあるのだろう。


クローカーの足音だけは聞こえるが、捉えるのは簡単ではない。


グサっという鈍い音。

ノヴァの心臓はレイピアに貫かれていた。


慌ててジュリアがリングにあがる。


レイピアが見えた後、ゆっくりクローカー自身の姿も現れた。


「あなたやりすぎよ!なに考えてるの!」


「そいつが雑魚なのがわりーんだろ。」


ジュリアとクローカーの言い合いが聞こえる。

ノヴァは無事なのか。


「うぁ..」


ノヴァの声が聞こえる。どうやら回復が間に合ったようだ。


「くそ..くそ..」


ノヴァが泣いている。クローカーに負けて相当悔しいのだろう。


しかしクローカーもものすごい汗だ。

力はかなり拮抗していたのだろう。


静まり返るリング。

担架で運ばれていくノヴァを横目に、アダンがリングに上がった。


アダン?てことは次は..


「よっし!行ってくるぜ魁斗!」


震えている。無理もない、相手は主席のアダン•ベスキートだ。


ふぅ、と一息つき、ミゲルが新しい盾と剣を構える。


今期魔法使い主席の戦いがついに始まった。

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