第24話 地面ではなく

「おぉ、アイネは魔法力が12000か!使い方をもっと学べば、グンと強くなるな。」


いまだにアレクは呑気に話している。


「アレクさん後ろ!」


俺には叫ぶのが精一杯だった。

反応したのは、アルフレッドとアダンだった。


「中位魔法:【炎閃暁】」


「中位魔法:【エンロード】!」


アルフレッドの燃える剣と、アダンの燃える道が中位魔獣を一体づつ焼き尽くした。


しかしまだ5体残っている。


「セトラは素早さ高いなぁ。弓が活きるわけだ。」


まだ話してる!ちょ、アレク後ろだって!


魔獣の手が、アレクに触れる瞬間だった。

魔獣は5体とも細切れになり、消えていった。


「っとまぁ、敵地で不安もあるだろうし、実際ここは危険だ。」


アレクが切ったのか?剣を抜くところすら見えなかったぞ。


「でも、俺は強い。絶対守るから安心して敵地を学んでくれ。」


アレクが剣に手を置きながら言った。


かっけぇ..


「ちょっとカッコつけすぎたな。それはそうと、アルフレッド、アダンいい反応と攻撃だったぞ。」


「どうも。」


「ありがとうございます。」


2人が返事をする。


あえて魔獣に気づかないふりをしていたのか。改めて、恐ろしく強い..


やっぱり稽古の時、俺の攻撃本気で防いだとか嘘だろ。


「さて、向こうに大きい城が見えるか?あれが魔獣の本拠地だと予想される。」


「予想されるっていうのは、どういうことなの?」


ヘラがすかさず質問をぶつける。


「魔獣が凶暴化を始めたのは近年でな。我々も調査しきれていないんだ。おそらく上位の魔獣がウヨウヨいる。」


話を聞くだけでゾッとする。

中位であのレベルなのに、上位がウヨウヨ?アレク達でもどうにもならないのか。


その時だった。


ピクっとアレクが反応した。


「まじか..」


ボソッとつぶやく。


「みんな、よく聞いてくれ!とにかく遠く、速く後ろに走れ!急げ!」


怖い顔をしてアレクが俺たちに叫んだ。

なんだ?いきなり。


みんなもポカンとした顔をしている。


「急いでくれ!はやく!」


訳がわからないまま、全員後ろを向き走り出した。


「みんなにかけられた転移魔法:トラスフェントは、一定時間で解除されて王城に戻される。それまで絶対に死ぬなよ!」


そこでようやく、地面が小刻みに揺れていることに気がついた。


地面だと思っていたものは、山になり、やがて魔獣へと姿を変えていった。


魔獣が地面と同化していたのか?


あまりにもデカすぎる。全長40〜50メートルはあるぞ!?


一目で分かった。上位魔獣だ。

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