第23話 今期合格者
アレクの緊張感の無さに、一同呆然とする。
命かかってんのに、こんな感じで大丈夫か?
「すまないな、やっぱり自己紹介は聞いとかないと不便だし。じゃあ、魔法使い首席評価のアダンから頼む。」
主席か。
今回魔法使いで最も優れていた人物。確かに気になる。
男が1人、すっと手を上げる。
「わしがアダン・ベスキートです。属性は炎。よろしゅうなぁ。」
身長2メートル、体重100キロは超えているだろう巨体のたらこ唇男が自己紹介した。
わしって何歳なんだこの人。40代くらいに見えるぞ。どう見ても戦士だろ。
「年齢は18です。」
みんなの視線で察したのか、アダンが言った。
一個上!?冗談だろ。
「私はヘラ・アークネル。24歳よ。属性は雷。よろしく。」
自己紹介が続く。
いかにも気の強いお姉さんって感じ。長い髪がきれいだ。
「えと、私はま、アイネ・マアル、です。よ、よろしくお願いします。16歳です。氷属性です。」
おどおどした黒髪ぱっつんの女の子。戦闘向いてるか?ちょっと心配になるが..
「俺はシューバート・カイン16歳よろしく!ウーラさんと同じ風属性!ウーラさんに憧れて試験を受けました!」
茶髪の元気な青年。ウーラに憧れて、か。そういう動機もあるのか。
これで4人の魔法使いの自己紹介が終わった。
「それでは、次は戦士の首席、アルフレッドから頼む。」
戦士の首席はおそらく..
「アルフレッド・フラム。15歳炎。どうも。」
赤髪の少年の少年だ。やはり主席評価だったか。
アルフレッド..と小さくアレクがつぶやいた。
「カイバ・ミゲル17歳!よろしく!属性は雷で盾も使います!よろしく!」
ミゲルはいつも通り元気だ。よろしく多いな。
「セトラ・アリサ17歳。弓を使います。属性は氷です。よろしくお願いします。」
アリサの次はあのグネグネ頭だった。
「はぁ、クローカー・オスク。」
クローカーは気だるそうにそれだけ言った。
「あたしはコーレー・ピーロー!生粋のエンターテイナーよん!風をあつかうわん!年齢は秘密!よろしくねん!」
うお、黄緑色のアフロおかまだ..
なんか怖いし、あまり関わらないようにしよう。30代くらいに見えるがどうだろう。
「私はアクオール・エヴァ。属性は水の16歳です。よろしくお願いします。」
真面目なお嬢様、といった印象だ。黒髪ロングに姫カットだが、ところどころ髪が青くなっている。
「俺はアクオール・ノヴァ。同じく属性は水。17歳だ。よろしく。」
ん?アクオール?
この世界もはじめに苗字がくるから、同じ苗字ってこと?
「俺とエヴァは兄妹なんで。」
ノヴァが付け足した。
なるほど、確かにノヴァも黒髪だがところどころ青い。
兄妹で同時に入隊ってすごいな。
これで、正規の合格者7名の自己紹介が終了した。
当然だが、全員強いのだろう。
「今回、合格した戦士は7名だが、もう1人特別枠として入隊した。魁斗、自己紹介を。」
いつもは敬語で話すから、なんだか違和感があるな。
「えと、今回特別に入隊させてもらった秋宮魁斗です。17歳です。魔法は、その、全く使えません。俺に何ができるのかわかりませんが、ルデビト軍に入ったからには精一杯頑張ります。」
みんな、きょとんとしている。
そらそうだ。魔法力0の奴が軍にいるなんて納得できないよな。
「魔法使えないなんて、ここにいる意味ねーだろ。」
クローカーが言った。
怒りはなかった。もし俺に莫大な魔法力があれば同じことを思っただろう。
「おい、魁斗はすげー奴だぞ。知らないのにひどいこと言うな。」
ミゲルが間にはいった。ほんと優しいやつだよ。
「これからどう存在意義を出していくかは、魁斗次第だ。クローカーもカイバもそれでいいか?」
アレクが諭した。
クローカーはちッと舌打ちし、ミゲルはすみませんとつぶやいた。
「それにしても、今年は粒ぞろいだ!」
アレクが手をパンっと叩きながら言った。
「アダンの魔法力は8000を超えているし、アルフレッドの攻撃力は10000もある。はは、カイバはHPも防御もすごいな。」
地下が揺れた。
おそらく中位魔獣だろう。地中から飛び出した7体の魔獣が、話しているアレクの背後から突然襲い掛かった。
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