第19話 もう1つの試練

「合格者は明日11時に再びここに集合!以上解散!」


俺らは笑顔で城を出た。


「なぁ、打ち上げ行こうぜ!打ち上げ!」


「いいわね、行きましょう。」


さすがに2人もハイテンションだ。

もちろん俺もニヤケが止まらない。打ち上げが終わったら、ミーサに報告に行かねば。

すでにアレクが報告しているかもしれないが。


電話がないのが不便だなぁ。


「あ、そうだ。魁斗も【コンタット】交わしとこ!」


「ん?コンタット?ってなんだよミゲル?」


「ちょっとミゲル!魁斗は魔法力が..」


アリサが慌てて止めにかかる。


「あ、す、すまん。」


な、なんなんだ。


「あのね、魁斗。【コンタット】っていうのは、離れていても遠くの人と話せる魔法のことよ。相手の魔法力を登録するって感じね。」


え、充電いらないスマホってこと?めちゃくちゃ便利じゃねぇか!

でも魔法力0の俺は使えないってことね..


「で、でね、さっきこれ買ったからプレゼント!」


アリサから渡されたのは、10センチほどの青い綺麗な結晶だった。


「これはね、コンタット石!魔法ほど膨大な数は無理だけど、5、6人なら登録できるから!」


おそらく小さい子供用だということを、なんとなく肌で感じながらありがたく石を受け取った。


「よし、じゃあ飯食うか!」


近くの店に入った。緊張から解放された今は、腹ペコで倒れそうだ。


ガラガラと戸を開けると、店のおばちゃんが声をかけてきた。


「いらっしゃい、あんたら軍隊受験者かい?」


「えぇ、そうですけど。」


「そうかい、お疲れ様。まぁ、座りな。」


席につき、3人でメニューをパラパラとめくる。


すると、


「あたしは、いっぱい食べる人が好きでねぇ。あんたらたくさん食べるかい?」


こっちはもうペコペコよ。


「えぇ、食べると思いますよ。」


そう、答えてしまった。


「じゃああたしが作る料理、3人で一皿を30分以内に食べ切れたらタダでいいさね。でも失敗すれば30000ユンもらう。どうだい?」


ユンはこの世界の通貨らしい。俺は家を出る時ミーサに5000ユンもらっている。


失敗すりゃまず払えねぇ。

だが、俺の腹と相談した結果、答えはGOだった。


3人とも目を瞑りニヤついている。答えは一緒のようだった。


ミゲルに関しては、もう食べきった顔をしてやがる。


「ばあちゃん、受けてたつぜ。」


「あいよ!ばあちゃんスペシャル一丁!」


俺たちのもう1つの試練が始まった。

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