第16話 試験の後で

【428】ってまさか。


間違いない、あの悪い目つきにグネグネの髪、城門でぶつかってきた奴だ。


「お前!何してるんだ!」


参加者の男が叫んだ。他の人も声を荒げている。


「はぁ?何ってこいつを殺したんだよ。こいつがかかってこいって言ったんだぜ?」


「もう時間終了と言われてただろうが!」


「知るかよそんなの。関係ねぇっての。」



口論が始まった。グネグネ頭は悪びれる様子はない。


その時、


「いやいや、俺は嫌いじゃないけどね」


ケロッとウーラが立ち上がり言った。


「は!?お前死んだだろ!確かにレイピアを..」


「いやー、苦労したよ。刺したと錯覚させんのは。剣先見てみ?」


よく見ると、レイピアの先はポッキリと折れていた。


「てめぇ、やられたふりかよ。」


「それより【428】、お前さっきの姿消す奴中位魔法:ミストーションだろ?使える人間は限られてる。どこで覚えた?」


「そんなもんどうだっていいだろ。」


グネグネ頭は面倒臭そうに答えた。


「ま、そうだな。もっと姿より気配消す練習した方がいいと思うけど。じゃあ、改めて終了!合否は2時間後張り出す!以上解散!」


こうして、何もできず俺の初の試験は終了を迎えた。と思ったが。


「おい、【449】ちょっとこっちこい!」


突然ウーラに呼び出しをくらった。


「ん?何したんだよ魁斗。」


ミゲルが不思議そうに首をひねる。


「い、いやわからねぇ。と、とりあえず行ってくる。」


「おう。先に食堂で待ってっからな!」


ビクつきながらウーラのもとへ走った。


「え、えとお、なんでしょうか..」


「お前、なんか隠してるか?」


「へ?」


予想外の言葉に思考が凍る。


「お前の戦いを見ててなんか違和感がある。説明はムズイが、弱いのか強いのかいまいち掴めねぇ。ステータス見せろ。」


俺は言われるがままステータスを差し出した。こんなステータス見られたら終わりだな。


「は!?なんだこのステータス!あ、いやすまねぇな。もう行っていいぞ。」


「はい..」


終わった。落ちたな。

落ち込んだ気持ちでミゲルと合流した。アリサも一緒だ。


「お、なんかあったのか魁斗。」


俺の死んだような顔を見てミゲルが聞く。


「多分、落ちた..」


「え、どうした。」


ミゲルに今あったことを話した。


「まぁ、大丈夫だって!信じて待とうぜ!」


ミゲルは人を元気にする力があるな。


「アリサもど緊張してるし、2人とも似てんな〜」


よく見るとアリサの顔にも緊張と書いてあった。目の前のパスタもほとんど進んでいない。


俺もあんま食欲ないけど、なんか食っとくか。


ーーー


「アレク、見てたんだろ?」


「よ、ウーラ。バレてたか。」


「【449】は知り合いか?あいつはどういうやつだ。」


「少し稽古をつけただけだからなんとも。何か気になることでも?」


「あいつはミストーションが解ける前にすでに気づいてた。魔法力0でそんなことありえるか?」


「どうだろうな。でも、もしかしたらめちゃくちゃ化けるのかもな。」

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