第14話 最終試験へ

えっ、は?


何が起こったのか理解するのに時間がかかる。


「ボーっとしてんなよ。」


赤髪の少年がボソッと呟いた。


釣り目できれいな顔立ちをしているが、身長は160センチほどでかなり幼く見える。年下なのか?15歳を超えているのかも微妙なところだ。


「あ、ありがとうな。」


なんとか声にしてお礼を言う。

赤髪の少年は、ちらりとこちらを見るとすぐに次の魔獣を倒しに行った。


なんとか助かったのか。


ハッとしてすぐに盾の男の下へ向かう。


「おい!大丈夫か、しっかりしろ!」


うぅ、といううめき声が聞こえる。なんとか死んではいないようだ。

しかし出血が多い。このままでは..


「大丈夫、私がやるわ。」


後ろから女性の声が聞こえた。


振り返ると、白いショートの女の子が立っていた。手には弓を持っている。


「私弓使いだけど、回復も得意だから。」


そう言うと、盾男の傷口に手を当て魔法を唱えた。みるみる傷が癒えていく。


「がはっ、はぁはぁ、あれ?」


盾男がパッと意識を取り戻し、上半身を起き上がらせた。


「傷が治ってる。これは君が?」


筋肉盾男が不思議そうにこちらを向く。


「いや違うんだ。こちらの人が。」


白ショートの子を紹介すると、ペコっと一礼し、すぐに立ち去ってしまった。


「話してる時間はないな。助けてもらった命、精一杯使うぜ!」


こいつ、死にかけてたのに元気だな。すごい奴だ。

盾男はすぐに走り出した。盾が粉々になったので細長い剣しかないがその分身軽になったのか。

その細長い剣に雷が宿る。

あいつ、雷系の魔法が使えたのか。


ふとさっきの白ショートの子を見ると、矢に氷の魔法を乗せて放っているのが見えた。

やっぱりみんな下位魔法くらいは当然使えるよな..

赤髪の少年は1度も魔法を使っていないようだが、すでに2体中位魔獣を討伐しているのが見えた。


負けじと応戦する。が、下位魔獣をコツコツ倒すのが限界だった。



突然、ピーッと笛が鳴り響く。


「うーし、第一試験終了~」


ウーラが叫んだ。同時に会場を風魔法が包み、残りの魔獣が全て討伐された。


あれがウーラの魔法か..? 異次元すぎるだろ..


ケガを負った人が続々と運ばれていくが、どうやら重症者はいなそうだ。


「じゃあ第二試験に移るぞ。これが最終な。」


再び全員に緊張が走る。


「全員で一斉に、俺を倒しに来い。」

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