第11話 さぁ、試験へ

来たる今日、ついに試験当日を迎えた。

結局1度も魔法は使えず、アレクの剣に傷1つ付けることはできなかった。

不思議な光がでることもあれ以来なかった。


「いってらっしゃい。頑張ってね。」


ミーサが送り出す。


「応援しています、魁斗さん。お気をつけて。」


アレクも続いた。

本当に2人にはお世話になった。身の回りの世話だけでなく、住むところまで提供してもらって修行をさせてくれた。

何としてでも剣闘士になって恩返ししなければ。


試験会場となるルデビト王の城まで向かう。

ミーサの屋敷からでも見えるほどの大きな城のため、迷うこともないだろう。


大きい城のため、かなり遠くに見えていたが案外あっさり到着した。

開いた城門には警備員が立っており、中には大勢の人が見えた。

いったい何人いるんだ。5、600人はいそうだな。これだけいて合格者でないこともあるってどういうことなんだ。



ドンッ


突然ぶつかられた。


「チッ、こんなとこに突っ立ってんじゃねぇよ。」


全身黒づくめの20代くらいの男がこちらを睨み舌打ちをする。細身だが、身長は180センチくらいあるか?髪の毛がグネグネしており、前髪は鼻にかかるくらい長い。てか目つき悪すぎ。


「あっと、すみません。ボーっとしてました。」


「邪魔だっつーの。とっととどけよ。」


もう1度舌打ちをしてから男は城内に入っていった。


おいおいおい、あんなんが王に仕えていいんすかぁ?とっちめてやりましょうかぁ?

自分にはそんな勇気も力もないのだが。


ざらっとした気持ちになりながら、試験の受付に足を運ぶ。

ステータス情報を受付で読み取ってもらい、左胸に魔法で【449】という受付番号の数字を刻まれた。

周りを見ると、みんな様々な数字が刻まれていることに気付いた。


試験開始まで城内をぶらぶらしていると、先ほどのグネグネ頭の姿がちらりと見えた。左胸には【428】と刻まれている。


見つからないようにそろりとその場をあとにする。すると、


『試験を受ける皆様、お待たせいたしました。時間になりましたので大広間にお集まりください。』


とアナウンスが流れた。せかせかと大広間へ向かう。


600人ほどが1つの部屋に集まった。


「それでは、試験の概要を説明する。」


聞き覚えのある声が、大広間の奥から聞こえてきた。

おぉやら、まじかやら、歓声が聞こえてくる。

あれって、アレクか?


「試験は戦士と魔法使いに分かれて行う。成績を総合して優秀だった者を正式に王の軍として歓迎する。」


アレクがそう話すと、おおぉぉという歓声があがった。


今更だけど、アレクってやっぱりすごい人だったのか。


アレクのすごさを改めて感じながら、俺の人生をかけた大勝負が始まった。

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