第2話 架空の友人たち

”活発な女の子”


子どもの頃のわたしを

そんな形容詞で振りかえる。


秘密基地を作ったり、

森のなかを探検したり、

外でアクティブに活動する一方で、


昼も夜も空想し、

架空の場所で架空の人たちと

おしゃべりをする。


それを内気な子だと

思う人たちもいるけれど、


でも、わたしと彼らは、

実在の人たちと

何ら変わらない交流をしていた。


特に好きだったのは、

近所の公園にある

いちばん高い塔のてっぺんで、

空を横切るように

流れてゆく星たちを数えること。


そして、みんなで想像するの。


たとえばこんな風に、


「星の落ちてゆく先には

見知らぬ王国があって、

そこはどんな場所で、

どんな人たちが住んでいるのか?」と。


胸をふくらませ、

目は朝陽みたいに輝いて、

みんなでお互いの考えを披露した。


わたしたちのイマジネーションは、

目の前に広がる空と同じくらい限界がなくて、


そのパワーに応えるみたいに、

その時間は、いつもより、

たくさんの流れ星を見たわ。


わたしは友人たちと一体で、

星と空とも一体だった。


みんなと過ごす時間は、

わくわくして、

同時に、

あたたかい毛布に包まれて安心するような、

そんな時間だった。


でも大きくなっていくにつれて、

みんなと会う回数が、

自然と減っていったの。


きっと、わたしも彼らも、

やらなくちゃいけないことが

増えたからだと思う。


学校でも家でも。


そうしてね、

わたしは、

みんなのことを忘れていったの。


・・・(つづく)

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