第9話 Dangerous day 〜危険な日〜
そんな私は雨宿りをし途方に暮れていた。
雨は更に強くなる。
「寒い…」
そんな私の目の前に1台の車(タクシー)が通る。
その車に隆樹が乗っているなんて知る由もなく―――
〜 隆樹 Side 〜
ドサッ
俺は元彼女に飲まされていた睡眠薬で眠らされたまま、華緒里の部屋に連れて行かれた。
ベッドに俺を乗せると、眠っている俺の洋服が脱がされていく。
「…隆樹…私を…もう一度抱いて…」
俺に抱きつくように覆い被さり大胆に俺の上で股がった。
「あなたに…こうして…抱かれるの…ずっと待ってた…。…ねえ…隆樹…私の事、愛してるって言って…」
「……………」
「クス…私もよ…隆樹…」
「………………」
「ねえ…隆樹…私…あなたの子供が欲しいわ…やっぱり最初は女の子かな?隆樹は…どっちが良い?」
〜 優季 Side 〜
私の体は、かなり体温が奪われていた。
「…ヤバイ…限界…かも…」
私の体はフラつき倒れた。
〜 隆樹 Side 〜
「隆樹…この唇も身体も全部好きよ」
俺は、ふと目を覚まし疑った。
華緒里は、生まれたままの裸の姿で、俺に抱きつく様に乗っていた。
そんな俺も生まれたままの裸姿になっていた。
「隆樹、やっと起きてくれた。ねえ隆樹…あの時みたいに心から抱いて」
ドンッ
俺は彼女を押し退けた。
「きゃあっ!」
彼女は床に転倒した。
「お前は何を考えて…もうっ!終ったんだ!良い加減にしろ!」
洋服を着ていく俺を邪魔する様に抱きついてくる。
「離せっ!」
「隆樹っ!やり直しましょう?」
俺は何度も彼女を押し退け、洋服を何とか着替え終わると部屋を出た。
「隆樹っ!待ってよ!隆樹っ!私の事を愛してくれるって言ってくれたじゃない!あれは嘘だったの!?ねえっ!」
「もう、過去の事だ!帰らせてもらうっ!」
俺は何とか外に出た。
辺りを見渡すが、雨で視界が悪い。
気温もかなり低いのが肌で感じられる。
そうこうしていると、華緒里に追い付かれてしまった。
俺の腕を掴む華緒里。
「ねえ、今日は、泊まっていきなさいよ。体に悪いわ」
「信用ならない!お前の所にいる位なら帰った方が良い!離せ!」
「隆樹っ!ねえっ!待ってよ!」
意識が朦朧(もうろう)とする中、そう聞こえる会話に、私はゆっくりと目を開ける。
虚(うつ)ろな目で、朧気(おばろ)気の状態で、私は二人の姿を見る。
「…りゅ…ぅ…き…?…女…の…人…?」
「俺達は、もう終ったんだ!確かに、愛していた!もう過去の事だ!」
「…過去の事…?…私は…過去の女…?どうして?ねえっ!私は愛しているのに…」
彼女の異様な違和感。
恐怖に感じた。
「…………………」
「…じゃあ…一緒に…死にましょう…?隆樹…」
「…待て…お前…正気か…?」
「ええ。勿論。正気よ。隆樹。本当にサヨナラして天国で幸せになりましょう?」
女の人は妖艶のような不敵な笑みを浮かべる。
キラリと光るナイフが、私の視界にも確認できた。
《えっ…?》
「天国なら二人の未来に繋がっているでしょう?過去の事なら未来に進めば良いじゃない…ねえ…隆樹…」
そう言うと女の人は隆樹に向かってナイフを突き出し、近付いて行くのが分かった。
「…辞…め…て…りゅ…う…き…」
私は、最後の力を振り絞り二人の間に向かって走り出した。
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