第5話 寂しい夜

そんなある日の事。


とある町に宿泊しようと降りた後だった。


宿を探す間に沢山の女の人が、次々に二人に声をかけてくる。




「ここは男に飢えてんのかいな」



「………………」



「2人共、良かったね〜。モテモテじゃん」




特別な感情はないものの、嫌味っぽく言うと、嫉妬する自分がいた。


私達は。宿を見つけると、外食しようと、また女だらけの町に出る。


たまに、女同士で何処か怪しい雰囲気の現場に遭遇したりもした。




「………………」



食事を済ませ、二人に声を掛けてくる女の人がいた。




「私、先に帰る!」


「優季?」

「一緒におったらええやん」


「いーーや」




私は店を後に宿に帰った。




「いつもより寂しく感じる…そういえば…私…今まで一人で宿にいる事なかったな…」



私は、いつの間にか眠っていた。


そして、ふと、目を覚ますと、私の上に股がり覆い被さるようにしている人影があった。




「きゃあっ!」



私は暴れ抵抗するも両手足がロープでベッドの柵に縛られている為、身動きがとれないでいた。




「静かにしな!質問に答えろ!」



男の人が日本語で、そう言うと私の目の前で拳銃を向けられた。



ドクン…

恐怖で胸が波打つ。



《日本語?》



「お前、日本人だな?」



私はゆっくり頷く。



「一人か?」



私は首を左右に振る。



「連れは何処にいる?答えろ!」


「…まだ…ここ…に…いない…の…なら…外出して…帰って…来て…ないと…思う…」




私は、ポツリ、ポツリと言葉を選び話を続けた。


男のひとは、ニヤリと笑みを浮かべる。



「お前、男2人と一緒にいたよな?」




私が異性と一緒にいた事を知っていたかのように言う。


多分、何処かで目撃されていたのだろう?




「………………」


「どっちが本命なんだ?それとも2人か?」




私は首を何度も左右にふる。



「初めてじゃないんだろう?今の子は進んでるからな」


私の洋服に手が伸び、気付けば上半身の洋服はすでに脱がされ下着姿になっていた。


下の洋服はまだ着てる感覚はある。




「………………」



「さ〜て、目を覚ました事だし楽しい事しようかな?」




そう言うと、首筋に唇を這わせ徐々に下のほうへと唇を這わせていく。




《や、辞めて…》




怖くて声が出ない。


太ももに手が伸びたかと思ったら、洋服が脱がされ下着の中に手が伸びてきた。





ビクッ


その時だ。




「お前は飲みすぎだ!」


「チッ!」



私のいる部屋の外から聞こえる声。


どうやら隆樹達が帰って来たようだ。



「すまん……」


「全く!」





「おいっ!女!黙ってろ!変な真似したら…分かるよな?」




下の洋服を一旦着せると不敵な笑みを浮かべた。




ドクン

恐怖で胸が大きく波打つ。




「……………」




部屋に近付いて来る足音。




《…来たら…駄目…》



ゆっくり部屋のドアが開く。



「優季っ!?」



入って来ては私の状況を見てすぐに駆け寄る隆樹。



「何があったんだ?」



そう尋ねるも答えられないもどかしさ。


すると隆樹の背後から相手が隆樹に襲い掛かってきた。



隆樹は、間一髪で交わす。




ドカッ


カチッ




隆樹は相手を蹴っ飛ばし、すぐに相手に銃口を向けた。



ドキン


初めて見る隆樹の機敏な対応、素早い行動に胸が大きく跳ねた。




「お前…何者だ?優季に何をした?」


「もう少しだったのにな〜」




相手はゆっくり立ち上がりながら両手を挙げ私の方に歩み寄る。




「日本語?…お前…日本人なのか?」


「ああ、そうさ。なあ、お前、彼女の本命男(おとこ)なのか?それとも彼女は二人の女なのか?」


「お前には関係のない事だ」


「だったら俺に彼女を、抱かせてもらおう」


「何!?」


「初めてじゃないだろうし。2人の男連れているんだ。なんだかんだいって、やる事やってんだろう?」



私は、首を左右に何度も振る。



「日本人の女と会うのは本当久しぶりだ。おいっ!男、変な真似してみろ!…まあ、その前に難しいだろうな〜。両手は塞がっているだろうし。一人は泥酔のようだしな〜」




そして、私の上に股がる相手。



「や…やだ…」


「良いね〜。町(ここ)の女達は男慣れしすぎなんだよ!ちょうど飽きが来ていた時なんだ。久しぶりの日本の訪問者に興奮したよ」


「…お前…」


「お前は、そこで彼女が抱かれている姿を特等席でしっかりと見ておくんだな。お前は、俺に銃口向けてる以上、両手が塞がっているから動けないからな。さて、始めるか」




顔が近付いてくると、やらしい笑みをうかべながら、私を上から下まで視線を舐め回すように見つめる。




《…やだ…気持ち悪い…》



私は顔をそらす。


首筋に唇が這い、下へ下へと唇が這う中、私の太ももに手が伸び、下着の中にするりと大きい手が入った。



ビクッ


「よーし…良い子だ…」



相手は息が荒くなる。



「…や…め……っ…!」


「意外だな〜初めてのようだね。新鮮だな〜。じゃあ優〜しくしてやるよ。お嬢ちゃん。痛いのは最初だけだから」




次の瞬間。




私の上に乗っていた相手が私から離れ



ドカッ


ドサッ




床に倒れ込んだ。




「お楽しみの良い所、すまんかったな〜」




相手の上に乗っている冬流の姿。



「や、野郎っ!降りやがれ!」


「何言ってんねん!そこで、ええよーーっていう奴、何処におんねん!アホちゃうかっ!」


「野郎っ!」


「後な…おっさん相手が悪いわ〜」


「何!?」


「俺達にかなうわけないやん!大事な仲間を守る為なら命賭けて守んねん!仲間に傷でも作ってみぃ……俺達が黙っておかへんし、あんたの命ないで?」




冬流の言葉にゾクリとした。




「………………」




その後、相手は警察に連れて行かれた。


どうやら女装して友達になり、相手の家など侵入し暴行事件を起こしていたという。


警察も頭を悩ませていたらしいのだ。












 



 
















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