第4話 決断

次の日。



「私、二人について行く!」


「うわっ!ビックリした!急に何やねん!」



「………………」



「…あ、ごめん…」


「で?ついて行くて、どういう事や?」

「いや〜、2人みたいなイイ男いないし〜」

「そっちかい!」

「身寄りないし〜」

「んで?」

「だから一緒に、旅を続ける!」


「ええんちゃう?」

「良いんじゃないか?」

「その代わり自分の身は自分で守れ…」


「却下!」

「断る!」


「はやっ!つーか、最後まで言ってないんだけど!」



「予測つくわ!」


「お前の事だ。自分の身は自分で守れるようになりたい。とでも言うつもりだったんだろ?」


「だって!」


「それに関しては進めない!」


「お前の命も狙われやすくなる」


「それは、現時点でも言える事じゃん!」



「………………」



「もし、お前が自分の身は自分の身で守れるようになりたいというのを望むのであれば一緒に連れて行く事は出来ない!」



「…………………」



「お前は所詮女だ。例え武道など嗜(たしな)む事が出来た所で男の力に敵うわけがない!」



「………………」



「あんな優季、お前の気持ちは分からなくないねんで。確かに色々あったかもしれへんけど…せやけど俺達を頼ってくれへん?」


「俺達は、お前をおいて行こうとは思わない。だからこそ理解して欲しい。優季は、俺達が守ってやる」




ドキン




初めて言われた


俺達が守ってやる


小さな胸の高鳴りが


心の奥で


ノックした






私達は、再び旅に出た。





「なあ優季、何で急について行く!て叫んだん?それに身を守れるようになりたいとか、唐突過ぎるわ!何か言われたんか?」


「えっ?」

「矢木 秀一さんに」



矢木さんとは、以前助けてくれた男の人だ。

年齢は、23歳って言っていた。


二人の兄貴のような存在で面倒見て可愛がってくれた人でもあり命の恩人でもある。



「確かに、それもあるけど、2人の事、もっと知りたいと思ったから。それに…今ここで2人と別れたら後悔するような気がしたから」




しばらくして。



「早目に何処か降りた方が良いな。冬流、近くに港はないか?小さな港でも良い」



隆樹が運転しながら冬流に尋ねた。




「なくはないねんけど、ホンマ小ちゃいで?ええの?」


「それでも構わない嵐が来る前に休憩しよう。方向は?」


「右方向やで?」


「分かった」




そして小さな港に到着後、雨が降り出した。



「間一髪やな?」

「そうだな?」


「優季ーー、早、行くでーー!何してんねん!おいて行くでーー!」




私達は宿を探そうと船を港に止め、一足先に降りている二人のうちの、一人、冬流が叫んだ。



「あっ!待ってよ!女の子一人おいて…」




ズルッ


足を滑らせた。



ドサッ


転んでしまう。





「ったーー」


「ダッサ!」と、冬流。


「目、開いてるのか?」と、隆樹。





ムカッ


2人の言葉に腹が立つ。




「2人してムカつく!」




私は立ち上がり歩こうとした時だ。




「うわっ!何やねん!隆樹、急に止まんなや!」

「冬流こそ目開いてないんじゃないのーー?」

「何やと!?」


「おいっ!2人共、船に戻れ!」

「えっ!?今、降り…た…」

「そうやで?」



そう言う私達の横を隆樹は横切る。




「ちょ、ちょっと!」


「優季っ!ボサっとしてる暇ないで!?」


「えっ!?」



グイッと私の手を掴み引っ張ると凄い勢いで走る冬流。




船に乗り込み、先に乗っていた隆樹に冬流から私を引き渡された後に続いて冬流が滑り込むように船内に入る。





その直後だ。





ドドド……



船に押し掛けて乗って来たと思われる様子で船内が大きく揺れた。



と、次の瞬間。




ガンガンガン……


ドンドンドン…



あちら、こちらから色々な大きい音が船内に響き渡り私は耳を塞ぐと共に私をぎゅうっと抱きしめてくれる人影があった。




「………………」



しばらくして静かになる。



「い、今のは…何…?」


「どうやらギャングが山程いる町だったようだ。荒れ果てた町並みだったから、おかしいと思ったが…」




頭上から声がし顔をあげる視線の先には隆樹の顔が至近距離過ぎて私の胸が一気にMAX。




「きゃあっ!」と、後退りする。


「うわあっ!何やねんっ!」



後ろにいる冬流にぶつかる。


その拍子に私達は一緒に倒れた。



ドサッ


ドキーーッ



冬流と、キス寸前の体勢になり私の胸が更にMAXになる




「きゃ…」




冬流から口を手で覆われた。



「いちいち騒ぐなっ!うるさいんじゃボケっ!ええなっ!」




私は何度もタテに頷いた。


私から離れる。




「全く!」


「…ご、ごめんっ!」


「で?隆樹、どないすんの?外は雨やし危険やろうし…今日は船に泊まるんやろ?」


「そうだな。下手に動かない方が良いだろう?様子見てから俺が運転しよう」


「了解!」


「ねえ、ギャングって何者なの?」


「強盗団だ。場合によって銃を所持していてもおかしくないだろう」


「運が良かったかもしれへんな」




しばらくして―――――



私は船内から出ようとした。




「優季?」



隆樹が目を覚ました。




「ごめん…起こした?外の空気吸おうかな?と思ったんだけど…雨も止んでるみたいだから…出ても大丈夫?」


「ああ、俺も船を出そうとした所だ。余りここに停泊していても危険だからな」



私達は船内から出た。



昨夜とは違う静けさがあり心地よい風と波の音が聞こえてくる。


「優季」

「何?」




パサッ

洋服を羽織らせると頭を軽くポンと押さえる。



ドキン

胸が高鳴る私。




「着とけ」

「でも、隆樹」

「俺は大丈夫だ」



そう言うと運転をする隆樹。




「ねえ二人共、彼女はいないの?」

「彼女?いない。いたらここにはいないと思うが」

「二人共、カッコイイのに?」

「だったらお前が二人の彼女に立候補するか?」


「えっ!?いや二人の彼女っていうのは…」

「今なら、どちらも特等席があいている」


「いや…多分…私は二人の恋愛対象にならないでしょう?」


「そうとは限らないと思うが?」



「えっ!?」



「24時間、ほとんど一緒に過ごしているんだからな」



「………………」







クールだけど


優しく憎めない隆樹


ガサツでムカつくけど


優しい冬流


私達の間に


恋愛は芽生える?
















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