第3話 恐怖の瞬間

それからしばらくは何事もなく過ごしていた。




そんなある日。


しばらく町に滞在している時だった。




《あっ!あの洋服可愛い〜♪》

《そういえば…随分とショッピングしてないな…》


《あっ!あのカップルは、ラブラブで幸せそうだし》


《そういえば…私……恋愛してない…10代最後なのに…野蛮化してきているのは…気のせいじゃないよね……?》





「はあぁぁぁぁ〜……」



大きいため息を吐く。




その日の夜、私達3人は町に出た。



「Hey ! you. very cute prese」




そう言いながら、強引に私の手を引っ張る。



「No! No!」




グイッと私の手を掴み相手を引き離す隆樹。



「隆樹…」



そこから去るものの、町中にいる私に次々と声がかかる。


単独行動は絶対に控えた方が良い。


そう思う中、二人は、とにかく相手から引き離す。




「しかし、よー、声掛けられるな〜」


「ここの町は女が少ないんだ。そんな中、日本人の女性の客なんて尚更、声が掛からない方がおかしい」


「ほんなら、俺達が女裝したら、どうなるん?見た目、女やったら声掛けられるんちゃうか?」


「知らん!試したらどうだ?冬流」



「ぷっ…」



私は吹き出した。





「ハハハハ…や、やだ、冗談でも女裝した冬流って…この際、せっかくから二人共、女裝してみなよ。見てみたいかも♪二人共カッコイイから、逆に私よりもいい線いくんじゃない?」




ペシッ

私の頭を叩く冬流。


「いった!」


「俺達が女裝したら、お前に何かあった時、誰が助けんねん!!」


「逆に女友達と思われて一緒に行動出来るから安心じゃない?」


「アホっ!別々に連れて行かれるわ!」


「そう?」



そして、私達は、とある店に入った。


一見、飲み屋さんだけど、ゲームなどが出来、色々と楽しめる、お洒落なお店だった。




「うわー、ゲームセンターだ!」



私はゲームを楽しむ。




しばらくして――――




「Hey! you. One?」


ビクッ

英語で声をかけられた。



「No!」


「GO! GO!」



「えっ!?いやいや…えっと…Don't tuch me!」



そう言うものの、強引に引っ張り連れて行こうとする。



「や、やだ!NO! NO!NO!」



私はズルズル引きずられながらも抵抗しながら




「隆樹ーーーっ!冬流ーーーっ!」



私は叫んだものの、周りの騒音や雑音で聞こえるわけがない。


私は結局、店の外に出る羽目に。


町の中は男の人ばかり。


中には、男女が一緒にいるのを見かけるもののカップルなのか友達なのか、私みたいな状況なのかは分からない。


町の中で平気でキスをしている人もいれば、かなり身体を密着して濃厚と思われるキスをしている人などいて、本当様々だ。


正直、見てるこっちが恥ずかしくなる。




「………………」



《どうしよう…?》




すると相手の動きが止まった。




《あれ…?どうしたんだろう?》

《ま、まさか!こんな所で何かされる?》




辺りを見渡すと人気の少ない場所に来ていた。




「NO!」



《…えっ!?NO?》



「OK! OK!」



《えっ?今度は、OK?》




話も状況も飲み込めない。


何せ私を連れ出したガタイの大きい外人の体で分からないから。


しかし、そんな彼を見てみると、両手をあげている事に気付いた。




「!!!!!」




《えっ…?つまり…それって…相手は拳銃を持っている感じ?》


《まさか…女を譲れとか…?》




私は、ヤバイ状況だと思い、後ずさりして逃げる事にした。


ガタイの良い事が運の月だと私は思った。




しかし、すぐに気付かれ




「STOP! RTOP!」



私は無視して逃げると、さっきよりも荒れた路地裏に辿りついた。




「……………」



嫌な空気感がある中、慣れない町を一人で歩くわけにはいかない。


しかも、女の人が少ない町だ。


またすぐに声がかかって、連れて行かれるに違いない。


私は怖くて仕方がなく、壁に寄り掛かりながら、ズルズルと腰をおろす。




その時だ。


隆樹から、連絡が入る。



「優季!?今、何処にいるんだ!?」


「…んなぃょ…分かんないよ…男の人に店で声掛けられて…強制的に連れて行かれて…」


「優季、必ず探し出すから、周囲の建物を言え!」




私は、伝える。




「冬流、行くぞ!」

「ああ」




そして――――――




「Hey! girl」




ビクッ

声をかけられた。



すると、グイッと力強く私を立ち上がらせ、私の両手を片手で掴み身動きが取れないように壁に押さえつけた。


クイッとアゴを掴まれ、強引に唇を奪われ上半身の洋服には手がかけられている。



《い、いや…》



首筋に唇が這う。




「……!」





次の瞬間―――――





「Put your Hands up!」




ビクッ




「Get a way from the woman!」


「YES! YES!」




男の人は、私から離れていき慌てて逃げた。



「優季っ!」

「大丈夫か?」



二人が駆け寄ってきた。



私はゆっくりと体を崩していく。


ドサッ


私は二人に抱き留められた。




「…怖…かった…」

 


私達は、宿に戻る事にした。




私は宿に戻るなりベッドにうつ伏せにダイブした。




「…つーか…私の唇…奪われた…ファーストキスだったのに…」



「優季、入るぞ!」


「うん…」


「大丈夫か?」


「大丈夫じゃない…」


「何処か痛むのか?」


「…心が…」


「心?」


「…私の唇が…奪われた!ファーストキスだったのにっ!」



「…………………」



「初めては、やっぱりロマンチックにしたかったのにっ!マジ最悪なんだけど!」


「心配するまでもなかったようだな」


「いや…私、傷ついてるから」


「じゃあ、その傷心をどうすれば良いんだ?何か考えがあるのか?」


「えっ?…いや…特には…」



「………………」



「と、とにかく!キスに関してだけで特に他の理由はないから。大丈夫!」



私は、隆樹を追い出すようにする。



すると、グイッと手首を捕まれ、驚くも壁に押し付けられた。



複雑な心境で私の胸が大きく跳ねる。




「隆…」



キスされた。



「…!!!」



かああああ〜っ!と、顔が熱くなった。



「………………」



「顔が赤いぞ?」


「ふ、不意は反則!つーか…いきなりキスするかな?」


「ご不満だったからだ」


「だ、だからって…っん!」



再びキスをされ、濃厚なキスをされた。


慣れないキスに戸惑う私。


唇が離れ至近距離にある隆樹の顔。


私は再び顔が熱くなったのが分かり、更に身体も熱くなり崩れ落ちる。



「そんなになるほど感じたのか?」


「なっ…!ち、ちが…!スケベっ!Hっ!!もうっ!早く出て行って!」




隆樹は、部屋を出て行った。




「どないしたん?」

「何がだ?」

「優季、何か騒いでへんかった?」

「ちょっと意地悪してキスをしてやっただけだが?」


「そうなんや…えっ…?…えええーーーっ!お前らそういう関係やったんかっ!?」


「違う!アイツがファーストキス奪われた!って騒いでいたから黙らせてやっただけだ!」


「隆樹…案外、大胆な事すんねんな」

「所詮、子供(ガキ)の戯言だ!」


「まあ…そうなんやろうけど…ちゅーか、このままでええの?あの子、命、いくつあっても足りへんのとちゃう?この先、何が起こるのか分からへんし」


「そうだな。でも戻した所で、どうなる?身寄りがないんだぞ?優季が選ぶ道でもあるが、俺達が、とよかく言う理由もない」


「せやけど…」




次の日の夜――――



「隆樹」


「優季?どうした?眠れないのか?」


「…ごめんね…私…いつも迷惑かけて…大荷物だよね」


「えっ?」


「私、戻った方が良いよね?二人に迷惑掛けれないよ」


「お前は、それで良いのか?」


「…それは…」


「アイツにも言われた。このままで良いのか?ってな」


「…そうか…」


「だからと言って、アイツは重荷だという意味で言っているわけではない。それは、俺も同じだ。選ぶのは俺達じゃない。お前の人生だし、お前の自由だからな」




「………………」



「余り深く考えなくて良い。返事はどうであれ、俺達はそれに応えるだけだ」


「…うん…」



歩み寄ると頭をポンとした。




















 












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