第2話 救世主

「どうやら気分転換きなったようやな」

「みたいだな」

「ねえ、二人って旅行か何か?どういう関係?」



私は海を眺めながら二人に問いかけた。



「だけど、男二人も寂しくない?もしかして女に飢えてんの?」


「いやぁ〜…実はそうなんや〜って…ちゃう!ちゃうわ!アホッ!何でやねん!」


「じゃあ、実は恋人同士!」


「ちゃうわ!二人共ノーマルや!」

「じゃあ何?実は大借金抱えて逃げてるとか?」


「ちゃう!色々と大人の事情あんねん!子供のお前には関係ない事や!」


「18は未成年でも、子供じゃないから!」


「子供(ガキ)や!子供(ガキ)!」


「じゃあ、冬流も子供(ガキ)じゃん!」


「俺は子供(ガキ)ちゃう!」


「いや、冬流も十分子供(ガキ)だよ!だって未成年でしょう?」


「俺は、もうすぐ20歳やからちゃうで!」


「でも、まだ19って事でしょう?」


「19でも子供(ガキ)やない!」



「18も19も変わらない!二人の会話のやり取りは、まるで子供の会話だぞ!」



「………………」



隆樹の一言で、私達は何も言えなかった。



「…何か…ごめんね」


「何で急に謝んねん」


「いや…私みたいな御荷物増えて申し訳ないな〜と思って」



「…………………」



「気にするな!」


「そうやで?今更考えても仕方ないやん」



私達は色々と話をしていた。




数日後、ある町に訪れた。



「夜の町って凄いね!一風変わって見える」




――― そして




「あれ…?…優季は…何処に行ったん?」



少し、ほろ酔いの冬流。


私達は、町に食事に出かけ、20歳になった冬流は、お酒を飲んでいる。



「アイツなら外の空気を吸ってくると言って店を出ている」


「大丈夫なんか?」


「そういうお前こそ大丈夫なのか?」


「俺は全然平気やで?優季の方に行った方がええんちゃうん?」


「アイツが、一人で良いって言ったんだ。それに…俺達と一緒にいる所を奴等が見ていたら逆に危険過ぎる!」


「せやけど…」


「アイツ一人でいた方が逆に動けるはずだ。もし、奴等が動いているなら、優季にコンタクト取って俺達をおびき出す作戦だろう?優季を傷つける事はしないはずだ」


「そうとは限らへんのとちゃうか?」


「心配しなくても、アイツは上手く言うだろう?危なっかしい所もあるが、案外、頭がキレる奴だ」


「そうかぁ〜?」





そして――――




「おいっ!女!」






ビクッ


突然に声をかけられ驚く私の前に二人の男の人がいた。



「お前の連れは何処だ?」


「連れ?誰の事?」


「隆樹と冬流だ!」




二人の名前を聞き、携帯を弄る中、会話をしなから、二人に報告をする。




「あー、連れね…。まあ、連れというより私は同伴者なだけであって、おまけなだけなんだけどな〜。彼等、何かしたの?」


「お前には関係のない事。二人の所に案内しろ!」


「あー…ごめん!私、未成年だし、お酒とか煙草のニオイ嗅ぐと気分悪くなるんだよね?それに中に入れないんだ。あなた達が探しているんだし、自分達で見付けてくんないかな?」



「チッ!」







〜 隆樹 Side 〜



優季からメールが届いた。


俺達の事を尋ねられたと…





「冬流、逃げるぞ!」

「逃げるって?」

「奴等が来た。今、優季からメールが来た」






彼等は私の前から足早に去り、店内に入った途端、銃声音を響き渡らせ、騒然となる店内。



ビクッ




「………………」



「えっ!?銃声!?マジ!?」




《テレビで見た事あるけど、まさか自分が遭遇するとは…》




私は店内に入る。




「オラ!オラ!いるんだろう!?二人共、出て来なっ!」




「………………」



グイッ ビクッ

私の手を背後から掴まれ驚き、振り返る視線の先には




「隆…」


「行くぞ!」


「冬流は?」


「先回りして船に向かっている」




そして、相手が私達に気付く。




「おいっ!いたぞ!」



チュン チュン

銃弾を放たれる。


「クソ!気付かれた!」



グイッと私を隠すようにすると、隆樹は銃弾を放ち私達は身を隠した。



「お前は先に逃げろ!奴等を食い止め…」


「だったら隆樹が逃げて!」


「えっ?」


「私の事は良いから!元々、私は邪魔者だし」


「しかし…」


「早く!」



「………………」



「済まない…」



私は隆樹を逃がすようにし、二人は隆樹に気付き銃弾を放つ。


二人が追う素振りを見せ、私は行く道を塞ぐ。





「女っ!どけっ!」

「退かない!」

「殺されてーのか?」


「だったら私を殺せば?」


「この女!」


「まあ、殺した所で犯罪者になって…まあ既に無理だよね。目撃者たくさんいるし」


「殺(や)れ!」




私は死ぬ覚悟で瞳を閉じる。





ズキューーン…




「優季…?」



俺は足を止めた。


しかし、アイツの好意を無駄にしてはいけないと思い走り去る。


船に戻ると。




〜 隆樹 Side 〜



「隆樹!?優季は!?」


「アイツは…」




グイッと冬流に胸倉を掴まれた。




「まさか…さっきの銃声って…」



「………………」



「おいっ!何か言えやっ!」




「………………」



冬流は船を降りようとした。




「冬流っ!待てっ!」



俺は引き止めた。




「離せや!アイツを…」


「アイツの好意を無駄にするなっ!」


「…何やねん…それ…お前…。おいていけるわけないやろ!?俺はアイツを…」



「冬流っ!」


「離せっ!」


「アイツを信じろ!」


「そんな事…」


「大人しくしてろ!俺が運転する」




「………………」






一方―――



「大丈夫ですか?女性なのに大した方ですね」




サングラスを掛けた、一人の男の人が私を助けてくれたようだ。




「あ、あの…」


「二人は無事に出港致しましたよ。ありがとうございます。お嬢さん」


「…良かった…」


「彼等は、きっとあなたが撃たれていると思っているはずです。夜の町は女性一人は危険です。取り敢えず家にいらして下さい」


「い…いや…でも…」


「安心して下さい。何もしませんから」


「…えっ…?いや…」


「それとも…」




クイッと顎を掴み至近距離で



「何かしてほしいですか?」




ドキッ


胸が大きく跳ね、慣れない対応に胸がドキドキと、加速していく。



「冗談です。寝る時に両手両足、ロープで縛って貰って構いませんよ。それでも心配なら、身体全身縛って貰っても良いですよ。一先ず、移動しましょう」




私は彼に従うしかなかった。



「あの…」


「何ですか?」


「隆樹と冬流は…何を目的で船旅を?まあ、旅と言って良いのか分からないですけど…」


「…そうですね…しかし、その前にあなたの事を事情徴収させて貰っても良いですか?」



「…えっ…?」



「あなたが彼等と一緒にいた理由です。全くといって良い程、接点がありません。一緒にいる事に疑問に思った所でした」


「…私は…」




男の人に事情を説明した。



「なるほど!そういう事だったんですね!」

「はい…だから…さっきも死ぬ覚悟で…」


「例え、もし、そうなった時、彼等は黙っておかないでしょう」


「えっ…!?」


「出会った時点で、きっとあなたの運命は狂い始めたんです。…もしくは…そういう運命だった…。出逢いは何処にあるかは分かりません。優季さん、あなたはこのまま旅を続けるべきです。身寄りがないのなら彼等との人生を楽しまれて下さい」



「…だけど…」



「確かに今日みたいな事がないとは限らない。しかし、そんな彼等、隆樹も冬流もあなたと同じように身寄りがありません」



「えっ…!?」



「お互いの両親が、とある組織に殺されたのです」

「…殺さ…れ…た…?」

「彼等は、今、闘っているのです」




「………………」



「今後、今日みたいな事があるかもしれない。その時は逃げないで。但(ただ)し無茶はしないで下さい!あなたの事は必ず二人が守ってくれます。どうしても旅を続ける事が不可能だと思った時は、それは、あなたが彼等との運命の終止符(ピリオド)だと、そう思って貰えば良いのです」


「分かりました」




―――― 次の日 ――――




私は彼・矢木 秀一(やぎ しゅういち)さんと別れ、二人と合流する事が出来た。





































 



 


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