第五話 「アリアント」
「アルト君。力を貸して!」
スキルを失ったのに、僕に力なんてないよ。
「僕にできることなんて何もない。」
「今から奥義を使うわ!!30秒時間を稼いで!」
そんな、僕に出来るわけない。
「出来るわ!ずっと見てきたもの!!奈多蒼!!」
「僕はアルトだ!奈多 蒼じゃない!」
夢に出てくる別世界のお話。そこでは、奈多 蒼と呼ばれていた。誰にも話したことないのに、何で知ってるの……
「私が呼び出したんだから!知らないわけないでしょ!蒼!やるの?やらないの?どっち」
なんだろうこの懐かしい感じ。こんなよ言われたらこう言うしかないじゃかいか。夢で僕がよく言ってたセリフ。
「やるに決まってるだろコラー!!!!」
今の僕はアルトではなく、奈多 蒼だ。夢の中に現れるもう一人の僕。それを呼び起こすんだ。
「うぉぉぉぉぉぉおお」
「雑魚は雑魚のまま死んでいけ。」
アリアント俺に近づいてくる。高くジャンプをしてかわす。そのままライダーキックを決める。
「死ねぇぇぇオラァァ!!!」
「なんだ小僧!性格が変わってるじゃないか!」
驚くアリアントが俺を見る。どうやらダメージは、入っていないみたいだ
「雑魚1匹も殺さないなんてお前雑魚だな。」
「小僧!!もう手加減はしてやらんぞ!」
そう言ってアリアントは、風の刃を飛ばす。俺はフラフラと刃をかわしていた。目線を見れば飛んでくる所、丸わかりなんだよ!
「あれれ?ころせないのぉぉ??」
「どうやら口だけは、達者の様だな」
「実力もだろ!!調子に乗るな、カス!!」
「なっ!!」
「ぶっちゃけいつまでも、お前の攻撃なんて当たる気がしねぇーよ。昆虫だもんな。脳みそちっちゃそうだもんな。プププ。」
「コロス。」
「あれー?口で勝てないから暴力?あっ、当てられないな暴力も勝ててないから、全部俺の勝ちだね。お疲れ様」
「調子に乗るなよ。小僧。その気になればいつでも殺せるんだよ。」
アリアントの前に巨大な無数の鉄の剣が現れる。中に浮いてあり、全てが俺の方を向いていた。
「ちょっと洒落にならないかも。」
「くたばれ小僧。」
必死に避けようとするが、一本。一本と俺の体を切り裂いた。30本の剣を凌ぎ切った俺は出すことすら出来なくなっていた。
「死ね!小僧。」
アリアントが俺に向かって剣を飛ばす。ニヤリと笑う。
「30秒たったぜ。後は任せた。」
「任されたわ。くらいなさい!
ーーー眠りに帰れ 神威封印!! 」
無数の手がオウゲツヒメノカミから現れる。アリアントを掴み、自身の体に引き込もうとする。
「しまった。これしきのことで負けてたまるかぁ」
必死に抵抗するアリアントを眺める。ジジジと引き込まれていくのがわかる。
「俺たちの勝ちだ。」
「私たちの勝ちよ!」
「ぐぉぉぉぉぉぉぉ」
アリアントがオウゲツヒメノカミに中に封印された。
「やったね、蒼君」
「喜んでる所悪いけど、俺もう死にそう。助けて……。」
「もう仕方ないなぁ。」
オウゲツヒメノカミが魔法で傷を治す。
「蒼くんスキル手に入ったんじゃない?」
「あっ。本当だ!」
ステータスを開くと〈アリンコ〉の文字が書かれていた。
「どうして?」
「私と蒼君は繋がってるからね。」
「まじ?」
「マジ!」
「じゃぁ、俺も神威領域とか使えるわけ?」
「んー多分無理!魂の階級がたらないよ。」
「魂の階級?」
「人間だから、神の技は使えないよ。」
「えーーー。」
二人で笑い合う。この力が有ればお母さんと一緒にいられる。なんせあの巨大アリのスキルだ!最強に決まってる。
「懐かしい匂いがすると思って来てみれば。お前か!オウゲツヒメノカミ!!」
「スナノオ!!」
知らない男が空から現れる。なんか偉そうだな。帰れ帰れ。
「早めに殺しといたほうが良さそうだな。」
スナノオが俺の前に現れて剣を突き刺そうとする。しかしその瞬間。俺とオウゲツヒメノカミの居場所が入れ替わる。
「えっ?」
「ほう。」
何がほうだ!ぶっ殺してやる。
すぐさまスキルを使いアリに変身する。巨大なアリになる予定が小さい3cmほどのアリになっていた。
「どうなってやがる。」
そんな俺を見てスサノオが怒る。
「ヒメノカミ!!お前が守った男はこんな雑魚だと言うのか!!」
「蒼くん……に、げ、て、」
「ふざけるな!!こんな男のためにお前は…」
そう言ってスサノオは剣を引き抜いた。
「そんな小さいアリで何が出来る!!なぜその男を選んだ!!」
「蒼くんは、私の希望。」
「ふざけるな!!現にお前が襲われている時、助けようともしなかったではないか!」
「ちがう。助けようとしてた。ただ新しい体に戸惑ってただけ。」
「それでもだ!何もできない男になんの価値がある!!」
「蒼くんは、私のすべて。」
「もういい、死ね。」
スナノオは、オウゲツヒメノカミを切り裂いた。
オウゲツヒメノカミが薄くなりどこかへ消えた。スサノオが俺をみる。
「悔しかった強くなってみろよ。希望とやら。俺はお前にそんな価値があるとは思わない。」
アリの姿で必死にスサノオに噛み付くが、ダメージは、与えられない。
「ヒメノカミ。なぜこいつを選んだ……。チャンスをやるもしも強くなりたいなら最難関ダンジョンの最下層で待っている。」
そう言ってスサノオが姿を消した。
オウゲツヒメノカミ。守ってやれなくてごめん。
俺が弱いから何も守れないんだ。強くならなきゃ。
『私は生きてますよー?』
ーーーはい?
『神の場合。本体が殺されなければ死にません。私の場合は魔導書ですね!』
こいつ大事なこと隠してやがった。俺の涙を返せ!
『私はしばらく眠らなければ行けません。死にはしませんけど、ダメージは入りますからね!強いて言うなら私、今HP1です!回復しなきゃ死んじゃいます。』
「魔法使えば?」
『神は寝る以外に回復できないのですよ。と言うことでしばらく会話は出来ません。レベルアップやスキルの獲得した時自動音声が流れる様にしました。
眠っていても私は優秀な女神様なのです』
「ありがと。優秀なら早く戻ってこいよ?」
『んー。優秀なので10年で戻ってきます!』
「ふぁ。なげーわ!神の時間感覚バグってやがる。」
『普通なら100年かかるのですよ!10分の一!私すごい!』
「わかった、わかった。早く寝ろ!」
『もぅ〜意地悪ですね。最後に一つだけ。10年以内に最難関ダンジョン目指してください。じゃないと世界滅びます。』
「ーーーはぁ?」
『おやすみ。』
「えっ!あっ!待って?」
『なんですか?』
「なんですかじゃねぇーよ!何最後に爆弾落としてるんだよ。」
『なんでもです!あっ、もう無理かも…また会えると嬉しいな。またね』
「またな。」
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