第二話 [ダンジョンの街]

「グォォォォォオオオオオオオオ」


 金獅子の黒い体毛からピリピリと電気が起こる。体毛は金色に変わり、両手に赤い光を放つ。口の周りに電気が集まる、


 やばい。何か来る・・・・


「逃げろぉぉぉぉぉぉぉお」


「グォォォォォオオオオオオオオォォォ」


 金獅子の口から電気のビームを放った。俺の横をすり抜け壁に当たる。壁は大きく凹み、更に電気を溜め始めた。何回撃てるんだよ。このままじゃ死ぬ。体制を立て直さないと。


「今の俺たちじゃコイツ戦っても死ぬだけだ!!転移石に触れ!またここで再開しよう!」

「了解です。」

「わかった。」


 エルナ達が転移石に触れ、光が包みその場から消える。俺も触れようとした時金獅子からビームが放たれる。間に合えー。指先が転移石に触れる。


「この借りはいつか返す。」


そうして最難関ダンジョンに入った俺たちはバラバラになるのであった。


>>>>>>>>>>>>>>>


「ここは何処だ?」


 辺りを見渡すと、街があった。街には人がおり、活気に溢れている。ダンジョン内に飛ばされたんじゃないのか?俺は街の人に話しかけた。


「あの〜ここってどこですか?」


「アンタ、ボケたのかい?若いのに残念だね。ここは最難関ダンジョン地下20層よ。」


「地下?此処は地上では無いのですか?太陽だってあるのに。」


「アレはイザナギ様が作った人工太陽さ。もしかしてアンタ。地上から来たのかい?」


「はい。転移石を使ったら、此処に飛ばされました。」


「そりゃ運が良かったな。他の階層だったら殺されてただろうよ。」


 エルナ達大丈夫かな……。心配になって来た。エルナのスキルも効かないモンスターも居たし、食べられてないと良いんだけど。


「地上に帰る方法はありませんか?」


「あるっちゃあるよ。腕に自信があるならアリーナに行ってみな。丁度地上に向けての探検部隊の募集をしてるみたいだよ。」


「ありがとうございます。」


 俺はおばちゃんに頭を下げてアリーナに向かって走り出す。闘技場の場所、聞くの忘れてた。どっちに向かったら良いのだろうか?


「アリーナは、この道真っ直ぐよ!」


 何から何までありがとうおばちゃん。いつか恩を返しに行くから。俺は道沿いに駆け出すのであった。



>>>>>>>>>>>>>


アリーナ・観覧席。


 受付のお兄さんに地上に行きたいと言ったら、此処で待つように言われた。一時間の時が流れ続々と人々が集まってくる。アリーナのステージに一人の若い男性が現れた。


 青色の長髪。後ろに髪をまとめて、人が良さそうな笑顔を振りまいていた。


「今日は、俺の呼び掛けに応じてくれてありがとう!」


周りから歓声が聞こえる。どうやら有名人らしい。


「知らない人もいるだろうから、自己紹介するね。俺はペルンダ。スキルは、【剣聖】だ。」


「わははははっ。しらねぇー奴いねぇーだろ」

「この街最強の戦士じゃねぇーか。」

「知らないなんて、モグリしかいねぇーよ。」


 観衆の笑い声の中。ペルンダの表情がキリッ真剣な表情に変わる。



「昨日、俺たちの部隊が18階層に進むボス部屋を発見した!」


「うぉぉ。」

「まじか。」


 観衆から動揺の声が上がる。


「俺たちはボスを倒し18階層に到達して、いつかきっと地上に出る。しってるか?地上には、海があるらしい。どこまでも続く水がこの世界を覆っている。世界は広いって事をこの街の人たちに教えなければならない。狭い空間に閉じ込められてたら、この街の進歩は起こらない。戦うスキルを持った俺たちが道を切り開かなくてどうする!」


「そうだぁ!!」

「やってやる!」

「海…御伽噺の世界みたい。」


 観衆が真剣な表情に変わり、拍手が起きた。


 ふーん。なんか面白そうだな。着いて行っても良さそうだな。


「早速で悪いんだが、攻略について話し合って貰いたい。まずは4人のパーティを作ってくれ。」


「えっ!?」


なんだこの既視感。前世にも似たような事があったような……。 


「階層ボスは、一人では対抗できない。いざと言う時、助け合える仲間が必要だ。」


 観衆達がパーティを組み始める。必死に辺りを見回すが誰もいなくなっていた。ぼっちなんかじゃ無いんだからね!奥の方でじっとしている女の子を見つけた。フードをかぶっており顔はよく見えないが、茶色の髪の毛がチラチラと現れる。


「君も一人か?」


「一人じゃ無い。仲間が全員死んだだけ。」


「ごめん。……なぁ。今回だけ、俺と組まないか?ボスは、一人で攻略できないって言ってただろ。一人だと参加させて貰えない可能性もある。」


 フードを被って女の子が俺の方を向いて頷いた。


「俺はアルト。君は?」


「ティーファよ。」


 ペルンダが手を叩いて観衆の注目を集める。


「みんな組み終わったかな?それじゃ………。」



「ちょっと待ちなさい!!」

小柄の少女が大声を上げた。

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