第14話 「強敵!マッドマンプリンス。」

「吹き飛べっ!!おらぁぁぁぁあ」


 マッドマンプリンスに猛スピードで近づき、回転しながら遠心力を使い裏拳をぶちかます。しかし相手は少しよろけるだけで、ダメージはあまり入っていなかった。


「ケッケェェエ!!」


 マッドマンプリンスが剣を突き刺した。俺の体に突き刺さる事は無かったが、相手の攻撃によって吹き飛ばされる。


「剣に突き刺されて傷をつけられない皮膚って、とうとう俺人間やめちゃったな。斬撃は効かないみたいだが攻撃の衝撃は来るみたいだ。先に内臓が壊れるか、お前が倒れるかの勝負だな。」


 マッドマンプリンスと睨み合う。今まで戦って来た中で間違えなく最強の相手。無闇に突撃をしても相手にダメージを与える事は出来ないだろう。


「酸水沼!!!」(バラムーアシッド)


 地面がドロドロと溶け始め、辺りが沼になる。俺は空中に浮かぶ。マッドマンプリンスは地面から飛び跳ねて、仲間の死骸の上に乗る。死骸が沼に沈むとまた別の死骸に乗り移る。


「ケッケケッ!!」


 マッドマンプリンス高く飛び上がり、俺に向かって2本の剣を振り下ろす。腕で剣を防いだが、衝撃により地上に落とされる。自分の体も沼により沈んでしまうので、バラムーアシッドを解除した。するとマッドマンプリンスが俺を仕留める為、目の前に現れる。振り下ろされる2本の剣。


「溶けやがれ!アシッドボム。」


 俺はアシッドボムを放つが、マッドマンプリンスは難なく避ける。けれど、迫り来る敵と距離を取る事は成功した。


 俺は次の作戦を考える。アルファ・ベータ・ガンマは、マッドマンの戦いで産卵を繰り返した為疲れ切っており戦闘に参加できない。エルナとユイに助けを求めるにしても、ここから叫んでも声は届かないだろう。最初の場所から離れすぎている。



 こんなに強い敵がいるなんて想定外だ。最近は全力を出さなくても勝てる敵が多かった為、どんな相手でも簡単に勝てると思っていた。調子に乗りすぎたな。


パンッ!!


 俺は両手で頬を叩く。気持ちを切り替えろ。認めよう、敵は雑魚じゃない。本気を出せば勝てる相手では無かった。命をかけて戦う相手だ。本来戦いというものは、そう言うものだろ。安全な戦いなんて一つもないんだ。


「すまなかったな。ここからは全てをかけてお前を倒す。」


 俺はマッドマンに殺気を放つ。今までの殺気とは比べて物にならないドス黒い殺気。殺気を当てられたマッドマンプリンスがニヤニヤとこちらを見る。



「貫けっ速射酸弾!」(ガトリングボム)



 マッドマンプリンスは、凄まじい剣技でガトリングボムを全て剣で弾く。


「その剣溶けやがれ!!」


 酸弾によって溶けると思われた剣は溶ける事も無く、傷一つもない状態だった。



「名刀かよ!!」


  マッドマンプリンスが持っている青色に輝く剣と白く輝く剣。名刀とは、太古の昔。神を斬りその力を剣に封じ、強力な切れ味と壊れる事の無い特性を持つ剣だ。



「ケケケケケケケケケー」


 不気味な笑いするマッドマンプリンスが、俺に猛攻を仕掛ける。何度も振り下ろされる剣を、腕で弾く。腕が思うように動かなくなって来た。ついにマッドマンプリンスの攻撃が俺の腹を貫いた。


「ケケケケケケッ」


 勝ち誇るマッドマンプリンス。俺はニヤリと笑う。



「つっかまえた。これで避ける事はできないよな。」


 剣を引き抜こうとするマッドマンプリンス。俺はマッドマンプリンスの腕を強く握る。マッドマンプリンスが反対の腕で剣を振り回すが、俺の肌を傷つける事は無かった。


 さぁ始めようか、最後のフィナーレだ!



   「見極めろ この世の全てを


    受け止めろ 臆せば死ぬぞ


   ――飲み込め 『捕食』!!!」

          (エフージオ)



 足元に黒い渦が現れる。黒い渦がマッドマンプリンスをゆっくりと取り込んで行く。黒い渦から逃げようとするが片腕が俺に抑えられているので、逃げる事ができなかった。


 「ケケケケケケケケケケケケ」



 マッドマンプリンスが腕を切り落とす。緑色の血がプシュッと出て、腕が離れ地面に落ちる。黒い渦から逃げ出したが、しかし黒い渦はフォグマンプリンスを包み込んだ。


「発動条件は相手の体に触る事。今更切り落としてもおせぇーんだよ!」


 黒い渦は一度大きく膨れ上がり、だんだんと小さくなり消える。フォグマンプリンスの姿は無く、現れたのは一本の剣であった。


 俺は腹に刺さってる白色に輝く剣を抜いた。


「うっ……酷い目にあったぜ。」


 アイテムボックスから包帯を取り出し傷口に巻いた。落ちてる青く輝く剣を持ち上げた。その時、脳内に声が響き渡る。



『レベルが《-45》になりました。


特殊条件[初めての捕食]のクリアにより、スキル《アリンコ》の能力が強化されました。




「…………マイナス?」



 レベルがマイナスになることなんてあるのか?ステータスを確認する。



________________________


[名前]シャルロット・アルト

[年齢]15歳

[性別]男

[レベル]-45

[デバフ状態]レベルマイナス時は、動きが鈍くなり、全てのステータスが下がる。


[スキル]《アリンコ》

『変身』……10メートルの羽付きアリになることができる。


『蟻人化』……変身した能力を引き継ぎ、蟻人になれる。


『産卵』……働きアリを【5匹】まで産むことができる。

『ジョブチェンジ』……アリのジョブを変更できる。

[親爆弾アリ]………自爆することができる。

            一匹まで変更可能。

 [親毒アリ]………体に強烈な毒を持つ。

            一匹まで変更可能。

 [親軍隊アリ]……アリを沢山産む。

            一匹まで変更可能。


[鑑定アリ] ……鑑定ができるアリ。new


 [親農場アリ]……どこにでも農場を作る。

            一匹まで変更可能。new


[変身時可能スキル]


『酸弾』…… 胃液を吐き出し弾にして

               放つ事ができる。


『速射酸弾』…… 酸弾を連射する。


『酸貫神槍』……強力な酸の槍を放つ。


[蟻人化]


『酸性雨』………強力な酸性の雨を降らせる


【奥義】〈捕食〉……100レベル使い相手を捕食する。

________________________

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る