第13話 [殲滅]

「アルファ・ベータ・ガンマ出てこい。」


「「「キュ!!」」」


今の俺の戦力を確認しておこう。


________________________

アルファ(親爆弾アリ) … 一匹

爆弾アリ      … 六匹 

ベータ(親毒アリ) … 一匹

毒アリ … 三匹

ガンマ(親軍隊アリ) … 一匹

軍隊アリ      … 六匹

________________________


「エルナ達は下がっていろ。本気で出す。」


 エルナとユイが俺から3歩後ろに下がった。これだけの大群と戦うのは初めてだ。バクバクと心臓の音が鳴り、笑みが溢れる。そうか、俺はこの危機的状況を楽しんでいるのか。


 俺は、両手を広げて高らかに宣言をする。


「今から始まるのは、戦いでは無い!これから始まるのは虐殺だ!圧倒的な戦力の差と言うものを見るが良い。」


「ケケケーー!!!」


 マッドマン達が俺に向かって突進を仕掛けて来た。爆弾アリが攻撃を受け止め、足を爆破する。マッドマンは、立つ事ができず。地面に転がる。


 「ベータ。お前の力を見せてやれ!」


 ベータは小さくキュっと鳴くと、口から毒霧を吐いた。毒霧を吸い込んだマッドマン達の動きが鈍くなる。[毒霧領域]これが毒アリに追加された能力だ。範囲五メートルに毒霧を放ち相手の動きを阻害する。


 ベータは、動きの鈍ったマッドマン達を生きたまま食べる。食べ切るとベータのお腹が膨らみ卵を産む。卵は直ぐに産まれ、10センチの毒アリが2体現れた。


 モンスターを食べて、増殖するアリ。増えるアリ達は、マッドマンに恐怖を与える。


「食べ尽くせ!!」


 爆破アリ・毒アリ・軍隊アリがマッドマン達に向かって、突撃を仕掛ける。次々と倒されるマッドマン達の死骸を軍隊アリがガンマの元に運ぶ。大量の死骸を食べるガンマは、次々と産卵をして100匹の軍隊アリが現れる。


 ガンマは他のアリと比べて産卵する数が多く、どんどん軍隊アリ達を増やした。ガンマを俺の方を見て指示を待っている。


「やれ」


 俺が指示すると、軍隊アリがガンマの周りに集まる。一匹がガンマに吸い込まれ、体が大きくなった。100体の軍隊アリを取り込むと30メートルの黒く輝く巨体を持った軍隊アリ雄叫びをあげる。


「ぐぉぉぉぉぉお!!」


 声の振動で草木が揺れる。


「………お前、ガンマか?」


「キュ!!」


「おっきくなったなぁ。好きに暴れろ。」


 ガンマがマッドマンに突進を仕掛ける。その姿はまるで戦車の様で近づいてくるものを全て引き殺していく。その無双っぷりに俺は驚きを隠せなかった。


「あんなの反則だろ。」


 ガンマ・爆弾アリ・毒アリが戦闘を始めてから10分。マッドマンは、700匹まで数を減らしていた。突如、前線で暴れ回っていたガンマが俺たちに近づき、体が光り始める。光が収まると、ガンマの体が小さくなり、気絶をしていた。


「チートって訳じゃなくて、制限はあるんだな。」


俺はガンマをテイマーボックスに戻した。


『レベルが《55》になりました。


スキル《アリンコ》の能力が変化されました。

スキル《アリンコ》の能力が追加されました。

レベル50を超えた事により【奥義】覚えました。』


「能力の……変化?」



 マッドマンとの戦いでレベルアップ音を無視していた俺だが。能力の変更のアナウンスが聞こえ、ステータスを確認する。



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[名前]シャルロット・アルト

[年齢]15歳

[性別]男

[レベル]55


[スキル]《アリンコ》

『変身』……10メートルの【羽付きアリ】になることができる。


『蟻人化』……変身した能力を引き継ぎ、蟻人になれる。new


『産卵』……働きアリを3匹産むことができる。

『ジョブチェンジ』……アリのジョブを変更できる。

[親爆弾アリ]………自爆することができる。

            一匹まで変更可能。

 [親毒アリ]………体に強烈な毒を持つ。

            一匹まで変更可能。

 [親軍隊アリ]……アリを沢山産む。

            一匹まで変更可能


[変身時可能スキル]


『酸弾』……胃液を吐き出し弾にして

               放つ事ができる。


『速射酸弾』……酸弾を連射する。 


『酸貫神槍』……強力な酸の槍を放つ。


【奥義】………****

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 まずは、アリンコ10メートルって事は、30メートルの物を持ち上げて、120メートル投げ飛ばせる。羽が生えて空を飛べるって事だよな。


 追加された能力は、蟻人化(アントビースト)。変身の能力を引き継いで人型になれるって事だよな。蟻人なんて聞いた事ないぞ。試してみなきゃな。


 「蟻人化(アントビースト)!」


 肌が黒くなり、背中から四つの透明な羽が生える。お尻の辺りから尻尾が生えて、頭から触覚が現れる。軽く羽をバタバタさせると、体が宙に浮いた。空高く舞い上がり、地上を見渡す。上から見ると戦況がよくわかる。ガンマに押された戦況を徐々にマッドマンは取り返していた。


「酸性雨(アシッドレイン)」


 マッドマンの頭上に黒い雲が現れる。雲により太陽は隠されて辺りが暗くなる。さぁ、殺戮の時間だ。


ポタッポタッ。


 俺を避ける様に、空から雨が降り始めた。雨に触れたマッドマン達が溶け始め、戦況を破壊していく。突如降り始めた酸性雨によって、700匹のマッドマンが壊滅した。雨が止み終わりを告げる。騒がしかった戦場が静かになる。


 俺は地上に戻ると


「ケッケーーーー!!!」


 俺に向かって石を投げつけるマッドマン。死んだ味方を盾に雨から凌いだこの軍隊の長。一際体が大きく、両手には剣を2本を持っていた。


マッドマンプリンスだ。





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