第11話 [3人目の仲間!]

「今後アルト様はギルドを利用する事はできません。」


 Bランク昇格試験を受ける為、俺たちはギルドの

受付まで来ていた。


「どうして、利用する事が出来ないのですか?」 


「お答えできません。」


 受付嬢は、無表情で話す。ここに来てから、受付嬢の表情の変化を見た事がない。実はロボットなんじゃないのか?


「ギルバートは、いますか?」


「現在外出中です。」


 俺とエルナは、ギルドを出てすぐにある近くベンチに座った。エルナはいつもニコニコしているが、今日はお怒りの様子だった。


 「信じられません。アルト様は追放になる様な事していないのに、こんなの横暴です。」


「まぁ仕方ないさ。間違えなくカメハ王子のせいだろうな。」


 俺は冒険者としての資格を剝奪され、出入り禁止になった。王様を襲うって、立派な犯罪だからな。今だけは、ほっといてやる。後で必ず後悔させてやる。謝っても許してやらねぇからな。


「エルナは、追放されたないけど冒険者まだやるの?」


「いえ、アルト様について行こうと思っています。お邪魔ですか?」


「ううん。嬉しいよ。これからもよろしくな。」


エルナたん、まじ天使。そっとエルナを抱き寄せた。

 

「冒険者ギルドを追放されたのに、楽しそうだね。アルト。」


 俺たちの目の前に現れたのは、真っ赤に長いショートヘア。紅茶のような透き通った目に。大剣を持つ女性。ユイだった。


「ユイ団長!!」


「久しぶりエルナ。色んな事に巻き込まれているらしいじゃないか。そこの男を捨てて僕のところに戻ってこないか?」


「お断りします。」


 ユイは、大袈裟に落ち込んだ様子を見せると。俺を睨みつけてきた。そして、袋を投げつけた。アルトは袋をキャッチする。中にあったのは、大量の金貨だった。


「街を出る準備をした方が良いよ。エルナを手に入れようと王様が力を入れ始めた。それ持って国外に逃げなさい。」


 俺は、袋を投げ返した。投げた袋はユイの手のひらに収まる。


「気持ちは嬉しいけど受け取れない。女から貢がれる気は無いんでね。」


「本当にいいの?僕が言うのもなんだけど大金だよ?」


 ユイが心配そうな目を向ける。こいつ優しいやつなんだな。この前は意地悪して悪かった。


「問題ない。これから《最難関ダンジョン》に挑むつもりだ。そこなら追ってくる人も少ないだろう。」


「ーーーッ!?」


  ユイが目を大きく開いた。どれだけ危険か理解しているようだ。《最難関ダンジョン》正式名称終焉の洞窟。高レベルのモンスターが低階層から現れ、さまざまなエリアが存在している。人類が到達した最高階層は、地下3階層と言われている。文献には地下100階層まであると言われ、10階層ごとに強力なボスがいるとされていた。


「無茶だ!死なないく様なものじゃないか!絶対に行かせん。」


「俺が行くって決めたんだ。」


「……エルナもアルトに賛成なのか?」


「どんな所にでもついて行くと決めていますので。」


 俺たちがベンチから立ち上がると、ユイが両手を広げて俺たちの進行を妨害する。


「どうしても行くなら、僕を倒していけ!!」


「お前、この前負けただろ。」


 俺ははぁ、とため息を吐いてアルファを呼び出した。アリを見たユイは震え始め、ブツブツと唱え始めた。


「僕もついて行く。」


「ーーーーハァ??」


 俺もエルナも急にユイの発言の理解に苦しんだ。

こいつ…今なんて言った?聞き間違いじゃなければ「僕もついて行く」って言ったのか?いやきっと聞き間違いだ。


ユイは決して強くないのだ。良く見積もってCランクくらいの強さだ。最難関ダンジョンに行ったら間違いなく、殺されるだろう。



「……今なんて言った?」


「僕もついて行く。」


 あちゃ〜最近疲れが溜まったたのかな。幻聴が聞こえ始めた。なんて現実逃避をしていた俺にエルナが話しかけて来た。


「いざと言うときの壁になります。連れて行きましょう」


 女の子を壁にする趣味は僕にはないよ。エルナの発言にユイの顔に動揺が走る。


「わかった。君の壁にでも、求められるなら夜伽もしよう。だから連れて行ってくれないか?僕もやらなければならぬ事がある。」


「アルト様、やっぱり置いて行きましょう。」


 エルナが鋭い目線で睨むと、ユイはプルプルと震え、目に涙を溜めていた。


「ユイ。俺はユイを壁にすることも夜伽を命じるつもりは無いよ。強力な魔物が出た時、守ってやれないこともあるかも知れない。それでも良かったらついてくるか?」


「うんっ。」


 旅の仲間は多い方が楽しいし、ユイは悪いやつじゃ無い。旅のお供が一人増えたって構わないだろう。エルナもどこか嬉しそうだ。


「アルト様の夜伽は許しません。私からアルト様を奪うつもりですか!」


「そんなつもりで言ったんじゃないよー。」


 ユイとエルナが何か言い合ってるけど、気にしないで置こう。さぁ最難関ダンジョン攻略に向けて準備を進めよう。

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