第8話 [テイマーボックス]
「アルト様。アレ……って」
エルナが指差す先には宝箱があった。
ユニークモンスターを倒すと稀に宝箱が現れることがあり。旅に役立つものが入ってる事が多い。
「俺が開けても良いか?」
「構いません。アルト様お一人で倒されになられたのですから。」
宝箱を開けると、そこには腕輪が入っていた。
金色に輝く腕輪、派手に装飾もされておらずとてもシンプルだった。
「何だろうこれ。エルナ知ってるか?」
「ごめんなさい。わかりません。」
「大丈夫、俺もわからないから。」
一度帰って鑑定屋にでも聞いてみよう。お金は取られるが、何度も依頼を受けているのでお金には困って居ない。
「アルファ・ベータ・ガンマどうしたんだ?」
アルファ達が地中から現れ、腕輪に触る。するとアルファ達は腕輪に吸い込まれてしまった。
「テイマーボックス……。」
俺は腕輪を左手につける。テイマーボックスとは、【テイム】したモンスターをどこでも出し入れできる強力なアイテムだ。どうやら俺の子供達(アリ)は、テイム扱いのようだ。テイマーボックスにも上限はあるが、どのくらいかはそれぞれ違う。サイドに付いたボタンを押すと目の前に画面が現れた。
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アルファ(親爆弾アリ) … 一匹
爆弾アリ … 三匹
ベータ(親毒アリ) … 一匹
毒アリ … 三匹
ガンマ(親軍隊アリ) … 一匹
軍隊アリ … 六匹
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入っているモンスターを確認できるみたいだ。
「アルト様。似合ってます。」
「ありがとう。」
エルナを抱き寄せ撫でる。耳を真っ赤にするエルナ。可愛い奴め、アイスでも買ってやろう。
俺たちは、ダンジョンから帰還することにした。
「よっ、アルト。ダンジョン攻略は順調か?」
紫色の森から帰還し、マルカの街に入ろうとすると、北口を担当する門番に話し掛けられる。
「あぁ。今日は10階層のボスを倒してきた。」
「ハハハ、さすがは最速でCランクになった冒険者だ。やることが違うねぇ!」
この一週間間、レベル上げも兼ねて様々な討伐をしてきた。中には難易度の高いモンスターの討伐をギルバートに依頼されられることもあったが、難なく達成していた為、一週間でCランクになっていた。
「エルナちゃんもおかえり。怪我してないかい?」
「問題ありません。」
「そりゃ良かった。強いからって無茶したらダメだよ。」
「アルト様と一緒ですので安心です。」
門番は俺の後ろに追従して歩いてきたエルナにも会話を振る。
エルナは、興味なさそうに返事を返す。
「これからギルドへ報告があるから、またな!」
「おぅ!引き止めて悪かったな。」
門番と別れ、ギルドに向かった。
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「ミノタウロスの討伐お疲れ様でした。こちらにサインお願いします。」
サインを終え、受付嬢から報奨金を手渡される。
「Bランク昇格試験が可能になりました。」
「流石です。アルト様!」
「これからだからねエルナ。ランクの昇格試験は、模擬戦だっけ?」
前に受けた時は、トント達が試験官を瞬殺して終わったっけ。俺はサポーターだったからトント達が合格したら、一緒に昇格だったんだよなぁ。
「エルナさんもBランク昇格試験を受けれます。」
「どっちでも構いません。」
B級昇格試験は、試験官であるA級冒険者との1対1での模擬試合だ。勝つ必要はなく、実力があるかどうかを試験官が判断するのが目的である。
「明日、受ける事は可能ですか?」
「そうですね…。明日でしたら、問題はありません。12時の鐘が鳴る前に練習場にお越しください。」
エルナが不思議そうにこちらを見つめる。今日じゃなくて良いのか?って感じだろう。
「エルナ、美味しいケーキ屋を見つけたんだ。今から一緒に行かないか?」
「はい!行きます!?予定があっても絶対に行きます!」
俺の手を強く握るエルナ。「さぁ行きましょう!早く行きましょう」と目で必死にアピールしてくる。エルナは仕事の時はしっかりしているが甘い食べ物の話になると、子どもっぽくなる。仕事中は公私を弁える努力はしているのだが、先程の様によく瓦解する。
「じゃぁ、行こっか?」
笑顔で頷くエルナ、この娘は本当に天使やな。
この世界のお菓子は日本に比べ、甘味が少ない。砂糖はとても高価で一般には販売していなく、王家や貴族が独占していた。市民の店では、よくてフルーツをふんだんに使ったケーキが精々だ。日本の食文化に染まってしまった俺にとって、正直この世界の食べ物は物足りない。料理は出来る方だが、素材から作るのは難しい。カレーだってカレールーで作ってからな。
「腕のいい料理人いないかなぁ〜。」
俺たちは、ケーキ屋に向かうのであった。
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