第4話 [猛り狂う!ゴブリンの群れ/出会い]
「あの、えっと……。今日はよろしくお願いします。エルナといいます。」
エルナは緊張しているようだ。
「エルナ… 君はなんでソロで活動してるんだい?」
ギルバートとから、パーティから追放されたと聞いていたがエルナ自身に問題があった場合。1日とはいえ、背中を預ける事はできないからな。
「……。」
エルナは、黙ってしまう。
「答える事は、出来ないなら今日の話は無しだ。」
「私のスキル《痛撃》は、触れた生き物全てに激痛を与えます。
前のパーティのリーダーが、誤って私に触れて重傷を負わせてしまい。
味方に傷を負わせた者に背中は預けられないと言われ、パーティを追放されました……」
へぇ。珍しいスキルもあるもんだ。
試しにエルナの手を握ってみる。うん、柔らかい。
「だっ!だめです!私に触れると………。」
俺はエルナの手を更に強く握った。うん。何も起きない。
「ど、どうして?……。」
「どうやら俺にはそのスキルは発動しないみたいだ。
エルナ。君がどんな苦労をしてきたか、俺にはわからない。でもこうして触れてもスキルが発動しない人がいる。一緒に調べていこうぜ。」
エルナは信じられないという顔をこちらに向けてくる。
そして両手を広げ、俺に抱きついた。
(見つけた。私の王子様)
「うええぇぇぇん」
人目も気にせず、泣き始めてしまった。
「……落ち着いた?」
俺は今、エルナを抱き寄せながら頭を撫でている。
「ゴホン。今日は君たちにこの依頼を受けてもらいたいと思ってる。」
ギルバートがわざとらしい咳払いをし、ニヤニヤしながら言った。俺は依頼書を確認する。
「紫色の森の調査?何かあったのか?」
「最近、ファンブルボアの動きが活発してな。近隣の住人達が困ってる。難易度もそんな高くねぇ。ちゃちゃっと倒してきてくれよ。」
ファンブルボア。熊のように大きいイノシシ。毛色は黒く、大きなツノを2つ生やしている。普段は、大人しいはずだが……
「産卵期か、エルナこの依頼を受けても良いか?」
「アルト様に従います。」
俺の左腕に、エルナはしがみついて離れない。
どうやらここがお気に入りみたいだ。
目を合わせるとエルナはニコッと笑う。
「じゃぁこれにするよ。手続きお願い。」
俺は、紫色の森に向かうのであった。
さてさて、ギルドを出て3時間、紫色の森にやってきた。移動中、モンスターには一度も出会わなかった。運が良かったな。
「この辺りが出現地域だと聞いたが…。」
辺りにファンブルボアがいないか見回す。探しながら歩いて少しすると、前方に体の大きな黒い物体が見えてきた。
「ファンブルボアです。アルト様、私から戦っても良いですか?」
俺はエルナに任せてその場で待機する。
エルナはふらりと近づき、ファンブルボアに触れる。触れられた相手はビリリと痺れ、倒れてしまった。一撃必殺。ソロで活動できる冒険者、戦闘に特化したスキルと言う事だろう。
「終わりました。アルト様!見ててくれました?」
「見てたよ。サクッと倒してカッコよかったよ!」
寄ってくるエルナを抱き寄せ頭を撫でる。
「えへへへ。」
幸せそうだ。
「次は、俺の番だね。ベータ・アルファ・ガンマ出ておいで。」
地面の表面から黒く輝く頭。6本の足。10cm程の体を持ったアリが現れる。ゴブリン達を倒させていたら5cmから10センチになっていた。
「これが、アルト様のスキルですか。ベータ・アルファ・ガンマ可愛いです。でもこんな小さいアリさん達で倒せるのですか?」
エルナは不安そうな目をあり達を見る。
「戦い方次第だよ。正面からって戦うだけが戦いじゃないんだよ。まぁ正面からでも勝てると思うけど。せっかくだしやって見るか。」
俺たちは、森の少し歩きファンブルボアを見つける。
「行ってくる。アルファ・ベータ・ガンマ
相手の目をえぐれ。」
「「「キュ」」」
アリ達は猛スピードで走り抜け、ファンブルボアに突進を仕掛ける。体によじ登り両目に噛み付いた。相手はアリ達に攻撃を仕掛けるが目が見えていないので当たる事はなかった。
「クビを噛みちぎれ。」
アリ達によってファンブルボアは、倒れるのであった。
「こんな感じ。どうだった?」
俺は目をパチパチさせているエルナに言った。
「流石です。アルト様!この小さな生き物にこんなに力があるなんて!!!」
おぉぉぉ。想像以上のリアクション。
喜んで貰えたなら良かった。
『レベルが《10》になりました。
スキル《アリンコ》の能力が強化されました。』
「ゴブリン倒してたしそろそろ上がるかなぁ〜って思ってました!」
俺はステータスを確認する。
________________________
[名前]シャルロット・アルト
[年齢]15歳
[性別]男
[レベル]10
[スキル]《アリンコ》
『変身』……30cmのアリになることができる。
『産卵』……働きアリを3匹産むことができる。
[変身時可能スキル]
『酸弾』……胃液を吐き出し弾にして
放つ事ができる。
________________________
「ええーと、アリンコ30cmって事は、90cmの物を持ち上げて、360cm投げ飛ばせる。この調子でドンドンおっきくなって行ったら、大きすぎてダンジョン入らなくなるかもな。」
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