第49話 開かずの扉が開く
「レ、レミエル!? お前、生きていたのかっ!?」
「ア、アズラー様!? 何故此処に!?」
偶然出会った2人の聖騎士、お互いが驚いている。
「何か知り合いみたいですね」
「ふむ、どうやら偶然のようだな」
「なっ!? あ、悪魔だと!? 貴様はまさか先日の!」
「ふむ、娘。説明せよ」
クレアがこれまでの経緯を壮年の聖騎士に説明する。
微妙な顔でいまいち信じてもらえてなさそうだが、一先ずは事なきを得た。
「ぬぅん……今一つ信じ難いが、それは良い。問題は貴様だレミエル!!」
「わ、私がですか!? 何故なのです!?」
「わからんのか? レミエル、貴様は王から何と言われてパルテナを出たのだ?」
「それは、新たに人類の脅威となる悪魔が出現したので排除してこいと……」
「全然違う」
そう、全然違うのだがレミエルはそう思っていたのだ。
激しい思い込みで人の話を良く聞かない弊害であった。
「レミエル、王は『様子を見てすぐ戻るように』と伝えたはずだ。私はそう聞いている」
「……確かにパッと行って最初は強く当たって後は流れで、みたいな事は仰ってましたが」
「何を言っている……何だ強く当たって後は流れとは……いつまでも帰ってこないから本国では、もう死んだと通達されているぞ……はぁ、どうして貴様はいつもそうなのだ……」
恐らくレミエルの上司にあたる聖騎士だろう男は頭を抱えている。
何だか可哀想になってきた。
「あ、あの……何かすみません」
「ん? いやお嬢さんが悪いわけじゃない。このレミエルは実力はあるのだが、昔からこう……真っ直ぐ過ぎるところがあってな」
「凄く良くわかります」
物凄い共感できた。
この暴走聖騎士はどうやら昔から手に余る存在のようだ。
とりあえず立ち話は何だという事で、近くの食事処でもう少し詳しく話をする事になった。
「どうやらレミエルがかなりお世話になったようだな。自己紹介が遅れたが、私はアズラー=マルキディエ。パルテナ聖騎士長をしている」
「我はバティンである」
「私はクレアです! 普通の行商人です」
「ぼ、僕はネビルスって言います。つい最近仲間になりました」
「アタシはドゥルガよ、レミエルの上司なんでしょ? アンタも大変ね」
「ドゥルガ……その、そちらの妖精からは凄い神気を感じるのだが……」
「アズラー様、この方は女神ドゥルガ様です」
アズラーは更に頭が痛くなる。
死んでいたと思っていた部下が生きていて、悪魔だけでなく女神と一緒に旅をしているなど……
「はぁ……レミエル、とんでもない事になっているな……」
「そうですね、私も最初は信じられませんでしたが、もう慣れました」
慣れるなよ。とアズラーはイラっとした。
「それで、アズラー様は何故此処に?」
「ああ、私は遺跡調査の護衛として来ている。まだまだ未知の遺跡のため地下に何があるかわからんからな」
先程学者らしき人達といたのはそう言う事かとクレアは察した。
やっぱりまだ未知の部分が多いから調査してるんだろうと思った。そして、これから一部分だけとはいえ遺跡内部が楽しみになってきた。
だが、それを聞いたバティンが1つ提案をする。
「ふむ、聖騎士長よ。貴様らは遺跡の調査と言っていたな?」
「あ、ああ……それがどうした?」
「我等もその遺跡調査に同行させてもらおう」
いや……させてもらおうって言って同行てきるわけじゃ無いでしょ。とクレアは呆れた。
「いや……させてもらおうと言われても、それは難しいな……」
ほら、やっぱり言われた。
だが、次のドゥルガの一言で状況が変わる。
「この遺跡、私とこの悪魔が1番詳しいわよ」
「それは一体どういう事ですか女神様?」
3,000年以上前に起こった神と悪魔の戦争。
その戦争に参加していた事。
この遺跡はその時に建てられたものであるだろうという事。
そんな説明をドゥルガはする。そしてそれを聞いてアズラーは唸り声をあげた。
「そ、そんな事が……それであれば学者達に事情を話せば同行は問題ないかと思います」
そして、バティン達は遺跡に学者達と入る事になった。
遺跡内部は小部屋がいくつかあり、そこには発掘された展示品が飾られていた。
風化した書物のような物、何が入っていたであろう袋のような物、割れた壺のような物。
色々な展示品を学者達から説明を受けつつ、バティン達は見て周る。その展示品の中の1つにバティンの足は止まる。
「む、これは」
「これは地下の遺跡内部から発掘された、太古の生物の腕だと考えられてます」
「完全にミイラですね……これがどうしたんですかバティンさん?」
「これは悪魔の腕であるな」
「なんと!? 本当ですかっ!?」
学者達は一斉に驚きの声をあげる。
太古の生物は悪魔であった。本当ならば大きな発見である。
「では、やはり此処は太古の昔に悪魔が作った建物……」
「いや、まだわからんぞ。地下の内部も見てもらって……」
「であれば、あの扉ももしかしたら……」
学者達は盛り上がり、是非地下の内部を急ぎ見てほしいと訴える。
そして、厳重な警備がしかれた下へ続く階段を降りて地下へと進むバティン達。
地下のフロアの内壁は、外壁と同じような不思議な金属で作られており、上の階とおなじように小部屋がいくつかフロアにはあった。
そして、一行はある扉の前に立つ。
「ここは未だに開け方がわからぬ扉です」
「今までの扉とは作りが違うな、何かわかるかバティン殿?」
「ふむ、魔術で封じてあるな……この魔力は、レヴィアの奴か」
「レヴィアって、レヴィアタン!? ちょっとじゃあ、あの研究狂の建物ってことは、もしかして……!」
どうやら、バティンとドゥルガはこの建物を作った人物を知っているようだ。
そしてドゥルガは何か不穏な気配を感じている模様。
「……何か私嫌な予感が凄くします」
「ぼ、僕も危険な匂いが……」
「此処は一度地上に出て出直した方が良さそうだな……」
「開いたぞ」
オイ、何勝手に開けてんだ!?
そう此処にいる全員が思った時、3,000年開かれる事のなかった扉が今開放された。
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