第4話 ここから始まる。

一通り自己紹介は終わった。

しばし残ってしまったホームルームの時間は、急遽、生徒たちの自由な語らい時間なった。

すると、ホームルームの時間は終わり、みんな『やっと終わった』と言う感じで、担任の(日向薫ひなたかおる)も、初担任の一日目を何とかこなせた…と言ったような表情を浮かべた。

「はい、じゃあ今日はこれで終わりとなります。気を付けて帰ってください」

「はーい」

ざわざわとみんな席を立ち始めた。




「裕!帰ろうぜ!」

同中だった平井守ひらいまもるが肩に手を乗せた。

そして、席を立とうとすると、横から、


「あ、祐一君、これ、ありがとね。また明日からよろしくね」

と、花弥が言った。

「あ、うん。でもそれ本当に拾ったの偶然だから、気にしないで」

「ううんきっと祐一君への誕生日プレゼントだったんだよ。それをもらっちゃったんだから、ず――っと大事にするから」

「ありがとう。花弥ちゃん」

「ん?花弥ちゃん?二人って知り合いなの?」

「ううん。今日初めて会っただけど、なんかすごい偶然がいくつも重なって、こういう間柄になったの。

平井君も、花弥で良いよ」

「へー、裕がねぇ…。ま、いいや。また明日、花弥ちゃん。ほれ、行くぞ」

「あぁ…」



守のあまりに簡単に言ってのけたにちょっとみんなより優越感を覚えていた祐一は、舌打ちしたい気分だった。

祐一が守と教室を出た後、振り返ってみると、花弥も、同中らしき女子二人と席を立とうとしていた。




しかし―…、



祐一はこの時、まだ気付いていなかった。




この羽根の大きな意味を…。

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