第7話 移住空間の生活環境完了移住開始

 ついに、移住環境が完成した。

宇宙船内での住居はまだ出来ていない。最初に居住空間が必要になるので

各建築関係者と建築資材の搬送がされていく。仮設資材が一番先に配送され、先行部隊により仮設住居が完了した時点で、本体の移住が開始された。完全に居住空間が完成して、移住が完了。地球上日本国内での最終作業は、死刑囚の刑執行であるが、こちらに関し法務局とその他関係各所が協議した結果、死刑囚と無期、長期受刑者は、地球に取り残される事を条件に刑の執行を許される事になった。

ただし、全ての生活を彼らの自力で生きていくしかない。

取り残されても十分な時間が有るため、天寿を全うする事は可能であるが、子孫が出来てしまった場合、その子孫の移住は不可能と判断されているので、生殖能力を完全に失わせる事が条件に加えられた。

彼ら受刑者にとっては何処に行っても、どこで寝ても問題ないし、食料も宇宙船に運び込まれなかった動植物を採取する事により、何でもできるバラ色の世界に放たれたようなものだ。

今後、宇宙船で凶悪犯罪を犯した者は死刑が無くなり、地球送還刑が新設されたのである。

送還される人間は、一切の私物の持ち込みが禁じられているので、身体一つで送還される。(個人の物資は全てを生活困窮世帯に順次与えられる仕組み。)地球に付いたら、全てを自力で行う必要が有るが、地球の住居は無数に放置されているので奪い合いも起きないだろう。

今までの生活よりも広い世界に戻されることになるので、犯罪が増えないか心配もされたが心配することは無かった。

罪人しかいない地球に送られて、更にその先の運命は死んで逝くだけの世界。下手したら地球に戻れず宇宙をさまよい、そのまま宇宙空間で餓死する可能性も多少残るのだ!

そんな刑を受けたいと思う連中が居るだろうか?

通常の精神状態であれば、回避したいと思うだろう。

宇宙船に乗船した人類は共通の目的に向かって進んでいるので、団結が凄く強くなり、面識が無いと今までの日本人は挨拶すら交わさなかったが、

この宇宙船に移住した瞬間から運命共同体の一員との自覚が芽生え、お互いに尊重し合い、さらに船内ですれ違う時にはお互いアイコンタクトなどを積極的に取る人が増えた。運命共同体となった事で一番大きかったのはお互い助け合う絆が全体で広がり、犯罪も皆無になり、警察業務が非常にヒマになってしまった事が利点だろう。

警察官はその関係から、地域の防犯より、電動移動機器の使い方講習や事故防止啓発業務が主な職務に変わってしまった。

以前は消防隊が救急を担っていたが、それも変わり、救急隊に警察も半数程度出向で参加するように成って行く。警察官の教育に其の関係から応急処置と注射の訓練、気管支挿管訓練が追加されている。

その他法律も整備されるが、基本は日本国憲法がスライドする形だ。

賭博開帳に関しては解禁され、死刑が上記制度に変更されるだけであった。

今後宇宙船内での法律が変更されていくのは時間の問題だろう。

一番大きな変更点が男性と女性の性差が取り払われる事に成る。

なんと、男性同士、女性同士でも婚姻が自由になった。

日本では画期的な制度変更だった。


 移住者本人よりも、子孫にとって

素晴らしい世界が切り開かれた記念すべき移住完了日であった。

地球を忘れない為、「地球人類・旅立ちの記念日」とされた。

時間の単位、24時間を一日とし、全世界宇宙船で共通時間が使われ、一年の周期も365日と設定される。うるう秒、うるう月、等の時間や日数の微調整の必要がなくなり、今後はこの周期が固定されることになる。

太陽を基準にしない為。

世界の宇宙船も同じような形状で製造され、徐々に宇宙空間移動を開始、宇宙船同士の現在地情報交換と移動する仕組みも作られた。

現代で言う海外旅行の様な事が宇宙船移動の様なものだ。

更に、この世界では、戦争は皆無である。

支配する土地が有限だった地球上生活から、ほぼ無限な宇宙空間に出た人類に、領地を確保する意味が無くなったからだ。全人類が助け合い、知恵を出し合わない事にはこの宇宙世界でこれから生き残る技術を発展させる事は出来ない。しかし、宗教的な問題でそれを拒む方も一定数出るが、その方々も、宇宙船を独自作成し宇宙の別世界で平和に活動が可能となり、争いが完全に解消された。戦争という言葉が死語に成ったのもこの宇宙移住記念日である

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