第5話 充実期 飛躍の年

 移住者、移住生物も徐々に増え、酪農業も開始されている。

地球上での酪農経験者と、酪農学校で宇宙酪農研究科を卒業した酪農研究者を移住、研究をさせると共に副産物である食肉生産も軌道に乗ってきている。農業従事者も複数名移住完了し、人類用と酪農に必要な牧草、麦などの植物を育て始めている。管理農業生産といういわゆる半自動生産の方法であるので、動植物を全て宇宙船内部のセル内で生産されていく。排泄物は全て回収され、農業用と暖房、調理用のガス生産等余る所がない様、全て船内循環システムを組まれているこの船では廃棄するゴミがゴミとして扱われる事は一切ない。全て再利用していくシステムであるので、人糞も同じく植物の肥やしになったり、再加工されベンチや建築資材(人糞レンガ)として徹底的に再利用がされるのだ。基本は土の中に栄養を戻す為、肥やしに加工されるのが大半なのだ。その様な地球とは多少再利用がされないものまで再利用される関係から、トイレットペーパーの使用は禁じられている。すべての排水が加工場にパイプラインにより、輸送され加工されるのだから、トイレットペーパーを混入させてしまうと加工に手間を必要とするためだ。

トイレには、利用後、必ず作動する今地球にある、ウオシュレット式の肛門洗浄便座が必ず組み込まれている。

 肛門に刺激が与えられない事による弊害として、排便するために信号が身体に送られにくい状況を作り出してしまったので、各位肛門を清浄した後に、小さな刺激を与えると同時に、水分が肛門近くに残っていない事を確認する道具として、肛門周辺確認棒というのが開発されている。

棒の先端に布が取り付けられた簡単なつくりだが、これが肛門の健康を維持する大切なアイテムとなってるのだ。

移住が完了するまでの食料等購入資金がどうなってるのだろうと気になる方もいるだろうが、全て無料となって居る。必要物資も購入するのではなく現在の日本国が全ての人類を助ける研究費として予算に組み込まれているのだ。一言で言うと税金利用し賄っているのだ。



 日本で当たり前のように繰り返されるものに、四季がある。

宇宙船には四季が無く、年中春で、昼間の状態に調整されている。

したがって冬眠をする動物は、この船で冬眠をする必要が無くなり、年中活動するようになってしまった。夜行性の動物も夜が無い為、活動が明るい時にせざる得ない状況が生み出され、更に体内時計が狂ってしまい、活動時間がそれぞれの個体で全く違ってきてしまい、メスオスの出会いも地球と違い、頻度が減ってしまっているが、動物の適応能力はすさまじく、世代交代を何回か繰り返していくうちに、船内環境に合った生活を出来る身体に進化を遂げていくのだった。人間は居住セルの内部にて、活動時間以外の時間を過ごすのだが、そこには窓が設置されていて、睡眠時は暗闇が作り出せる仕組みになっている。

他国の巨大宇宙船(地球脱出用)や地球上に残って活動している人との交信も必要なので、電波による交信機器を搭載されていて、現代の公衆電話のように、いたるところに設置された通信機器により、セル外でも、セル内でも交信が簡単に出来る仕組みが作り出されている。

宇宙船の治安維持も人類が増える事により必要なで併せて法整備も必要だ。治安維持にはそれなりの厳しい罰則が付けられるが、罰金の支払いという形は存在しない。現時点でも何かを得る為に必要な資金という感覚がこの船内では定義されていない為、博打等の現金を賭ける行為も行われていない。スポーツの中に雪、氷が必要になったり特殊な施設が必要なスポーツも、人類には必要と判断され、セル内に雪と氷を作り出す施設も数か所作られ、そのセル内は、年中今の日本で言う冬の季節が再現された広大な施設が整備されている。この施設の管理にも何名もの人材が必要であるので、管理人として常駐し人工雪の製造、氷の状態をベストな状態にする仕事をしている。

 

 

 この様に人類最後の危機を、回避していく事が我らの未来で可能となり

地球脱出計画が着々と進行されていくのであった。

太陽膨張し地球が飲まれるまでの時間はまだ未定だが、確実に太陽が膨張を始めているのは観測で確認がされている。

 この先、長くない時に、地球が焦土化し、太陽に飲み込まれ存在が無くなるだろう。

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