第3話 組み立て開始より10年経過

 

 初打ち上げから10年の年月が過ぎ去った2210年、内側円柱筐体は完成し、円柱の巨大宇宙船の姿が浮かび上がってきた。巨大な宇宙船は肉眼観測可能。宇宙船完成サイズは長さが150㎞半径5キロの円柱船体となる。内外2つの円柱を組み合わせ内部の円柱を高速回転させ遠心力を生み出し人工重力を作り出す設計だ。外壁と内壁を摩擦から防ぐ為に新開発された巨大ベアリングが埋め込まれる予定。動力源は核反応で発電した電気が使われる。太陽の恩恵である光、熱を失った生命体は、原子力をコントロールすることにより、人工太陽を生み出し、太陽エネルギーの代替物となっている。この人工太陽は、宇宙船と運命共同体となり、円柱の中心点に置かれている。遠心力が働いても、円柱の中央を貫く形で人工太陽が設置され、常に光り輝いているので地球では当たり前のように有った、四季、昼夜は、この宇宙船には無い。常に一定の温度で昼だけだ。人類が宇宙船に移住し新天地を探す旅に出る時、当然この宇宙船に夜は無い、居住地区の建物の船内を見渡す窓を睡眠中遮断し光を受けない様にしないと、睡眠不足になってしまう。

それら2点に注意してれば、地球上とまったく変わらない生活閑居言うとなっている。操縦の心配も不要。人工知能を搭載し宇宙船は全自動で生命存続可能な星を探しながら旅をし、条件がそろっている星を発見するまで、永久的に自動運行をしていく。原子力発電の方だが。原子力発電の技術の進歩で燃料の追加は2000年間不要、同一条件で継続発電される仕組みを完成させている。逆を言うと2000年以内に移住先が見つからないで、旅の途中、通過する星の内部構造を分析し核燃料が見つかった星に立ち寄り、自動採掘と保存、補充まで原子炉の核燃料を確保するようにプログラムされている。

乗船者の世代交代が繰り返され、宇宙船内で誕生した人類が多数を占める様に成ると、船内が全ての世界だと錯覚をしてしまう人種が増産されかねないが、教育をし世界がどうなっているかを星にたどり着くまでの世代に説明をしていかないと人類の成長を期待する事は出来ない。150㎞の船内を移動するのは、電動カー、電動バイク、自転車、徒歩等になる。地球上で活躍していてメジャーだったガソリン車は一台もない。宇宙船の中でガソリンを燃料として使う事は現実問題として不可能である。採掘も当然不可能だ。発電を常にしている船内では電気を取り出す場所はいたるところに設置されている、無料でチャージが可能。充電切れの心配は不要なのだ。

宇宙船の中で使われる通貨は、現在にもある、仮想通貨の進化系のマイクロチップに収納された、持ち運びが可能な仮想通貨が使われている。

この通貨は、コンピューター通信で送金も可能だし、直接その場でチップを重ねると、送金額を指定して、送ることも出来る、現金とほとんど変わらない使い方が可能なチップ財布が、宇宙船に乗る全ての人類に割り当てられる。

初号機には、2億人が移住する予定であるので、チップも2億個と新たに誕生した際に割り振る、同数の2億個が搭載される。

各種工場も建築されるので、その仕事に携わる人類は地上と同じ仕事を継続する事が可能となっている。

 

 更に食料等は地球に居る動植物を乗船させているので、屠畜場所の建設がされ、宇宙船内で地球上の活動が全て出来る仕組みだ。

地球にある土も相当な量を宇宙船に搭載され、田畑も作られ、野山も再現されている。これにより水の循環が起き、人工海と川も宇宙船には作られている。海には海洋生物を地球から出来る限り送り届け、川にも魚等を送り、虫、その他野生動物も各地から集め保護をした後、宇宙船完成後、送られる予定だ。

地球に居る虫なんて必要かと言われると必要だ。自然のサイクルを作り出さないと、持続可能な地球外の地球環境再現をする事が出来ない。人類がこの先、生存するには医薬品の製造、食料の調達、排泄物の処理、水の浄化、これらを全て船内で行わなくてはならない。食物連鎖の底辺が無くなれば、その頂点に位置している人類は滅亡、移住計画はとん挫する。


 他の恒星を発見し着陸した時、人類が死滅したら今回のミッションは大失敗となる。

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