第10話9- ボス、じり貧=ぶっぱ


 扉の先は小さめの体育館くらいの小部屋が広がっていました。

そしてその部屋の中央に陣取っているのは赤いオーブを胸に、石ころが群れを成して大柄な人型をなしたエネミーがいました。


 あいつがボスですね。

作戦通り短期決戦で仕留めてしまいましょう。


 ボスの胸の赤い場所が強く光り輝く前にショットガンをぶっ放します。


「相手も一筋縄じゃ行きませんか」


 敵のゴーレムはコアに当たる寸前に石の形を変形させ、コアを防御します。

そして怒らせたのか、なかなかのスピードで腕を伸ばしこちらに突っ込んできました。


 とりあえずショットガンで追撃しますが腕の一部を破壊しただけにとどまりました。


「おっと」


 腕にもう数発打ち込み勢いが落ちたころに体をひねって回避し、コアに数発打ち込みます。

 ですが前と同じく石壁で防がれてしまいました。


 うーん、じり貧ですね。

 ショットガンではあの石の壁を撃ち抜ける攻撃スピードを確保できません。

 普通は、誰かが前衛で攻撃を受けながら、スナイパーライフルやアサルトライフルでコアを狙撃するのが攻略なんでしょうが、あいにく私は今一人です。


 それに単発の狙撃は性に合いませんし。


 ミロクがいれば前衛を任せられるんですがね……

いや、ミロクに任せたら石壁ごとコアをぶった切りそうです。


 ―――石壁ごと。


「―――ああ、そうですか」


 すべてまとめて吹き飛ばしてしまえばいいじゃないですか。


 敵の攻撃を回避し【アース】で入手した素材で一番の火力を瞬間的に叩き込めるものを作ります。


 なんというかデジャヴを感じますがまあいいでしょう。


 敵の攻撃に応戦しつつ、作ったものはガトリングショットガン。

あとそれの弾を大量に、ですね。


 この武器は散弾銃の弾をガトリング並みの速度でぶっ放すという頭の悪い武器です。


 因みにこれ作ったせいでさっきまでの素材がほとんど吹っ飛びましたがまた採りましょうか。


早速このガトリングショットガンを実体化させて応戦と行きま……


「おっも」


 持てないほどではないですが亀みたいにしか動けません。

これでは攻撃を避けれませんね。


「いえ、避けるな、迎え撃てという暗示ですか!」


 私はゴーレムに近づいてガトリングを実体化し腰に構え、ゴーレム相手にトリガーを引きます。

その瞬間、ガトリングのバレル部分から雷のような轟音ごうおんが鳴り響き、凄まじい反動と共に、多数の散弾をばらまき始めました。


 近くにいるのでゴーレムも攻撃に腕を伸ばしてこちらを攻撃しますが伸ばした瞬間にガトリングの弾の雨に蹂躙じゅうりんされ、腕が吹っ飛んでいきます。


 相手のHPも見る見るうちに減っていき、半分に達し、ゴーレムの形が変わろうとしましたが、出てきた素材が弾丸の雨に打たれ、形状を変化させることができず、どんどんとHPが減っていき、HPがゼロになり、ただの石くれに戻っていきました。


「これ……止められません!」


 敵を倒しましたが、反動が凄まじく、抑え込むのに精いっぱいです。

弾が壁や天井に穴をあけ、どんどんと崩していきます。


 しばらくして、私の前面を見るも無残に崩壊させた後、ガトリングがオーバーヒートしたのか、バレルを赤熱させ、発射が止まりました。


「はぁ……はぁ……なかなかにすさまじい武器ですねこれ……」


 ゴーレムがいたはずの前面を見ると元の灰色だった岩の壁は軽石のように穴ぼこだらけです。


 この武器は私のびびっと来るものとは結構近いですが妥協点ですね。

ロマンという意味では申し分ないですが、もう一声です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る