第4話

朝目が覚めて台所へ向かう。

いつもそこに写っているのは、無駄にデカい瞳に、栄養の足りてなさそうな細い骨格。


肌は何も無い真っ白で、テレビに出てくるジャ〇ーズというブサイク集団の1人にいそうな顔だ。

「いつもこんな顔ばっかで正直嫌になるな」

俺はいつも通りに洗面台でメイクをして理想の顔に彩りをする。


お笑い芸人の稲田〇樹さんのようなイケメンになれるように色々と試行錯誤しているが、なかなか上手く出来ない。

やっぱり素材が違うのだろう。


どうメイクしても俺はあの人のような男前になることが出来ない。

だけど試行錯誤をしてこのブサイクの顔を変えるメイクを何とか編み出した。


まあ、これで充分イケメンになったと思う。

「お兄ちゃん、おはよう。今日のメイクも気合が入ってるね」

いつも4時起きで、2時間経てば妹が朝食を作りに起きてくる。


「昨日のカレーがまだ残っているから、朝はそれを温めるだけでいいわよね」

「大丈夫、いつも悪いな」

「いいのよ。私が好きでやっている事だから」


完璧とは言えないが、今の俺に出来るメイクで最高傑作の出来だろう。


ブサイクの顔からイメケンに変身した。

これでよし。

「それじゃあ朝ごはんを食べるか」


1晩開けて食べるカレーはコクが出て美味しいと言うがそんなことは無い。

何故なら水分が抜けて味が濃いのだ。


水を入れると逆に味が薄くなるためこっちの方が上手いが、やっぱり出来たてに限る。

 今日も髪の毛が入っていたな、まあ髪が長いから仕方がないか。


 爪が入っている事もあるけど、これはただの間違いだと思いたい。

いつも通り朝食を食べると、俺は学校へ向かう。


ただこの日は、最悪な事故が起こるのだ。

登校中のこと、それは1世代前の少女漫画のように一人の少女と出会った。

曲がり角の視覚、すれ違いざまに頭をぶつけてしまうのだ。


「いて、何だ」

目の前にいるのはまるでアイドルと肩を並べるほどの見るに堪えない、酷い顔を持つ女の子だった。

瞳が死んだ魚のように見開いていて、鼻と口が小さく体全体が貧しい。


これはひどい、そう思うが相手は一様女の子。

口に出すと傷つくからこそ言わずに我慢した。

「何よ一体、うわぁ。顔酷い」

コイツストレートに俺の事を不細工だといいやがった。


確かに俺は不細工だが、メイクによって少しはマシな顔になってるだろ。

「転校初日に少女漫画のようにぶつかるなら、イケメンとぶつかりたかった」


マジで腹が立つなこの女。

てか、コイツ転校生だったのかよ。

「おい、ふざけるな。好きでぶつかった訳じゃねぇんだよ。俺だって、てめぇのような不細工と接触したくないんだよ」


「酷い、そこまで言うなんて」

「実質、お前も俺の事を不細工だと言っているだろうがそっちからぶつかってきておいて調子に乗るんじゃねぇよ」

これが少女との出会いだった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

不細工高校生の、メイク整形学園生活。醜い顔でも彼女が欲しい 小林 祐一 @kamarisa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ