第2話

「駿、漫画貸せ」

そう言って部屋に入ってきたのは駿の3つ年上で大学生の駿の姉である。


名前は確か春夏さんだったような。

女性に対してこう思うのは失礼だけど、駿と違ってテレビに出てくるような、残念な顔である。


目はでかいし、顔は小さいし、栄養が足りていないのかと思うような感じて痩せている。(雅人目線である)

その割には胸には脂肪が溜まっていて、バランスが取れていないようだ。


「なんだよ姉貴、今友達が来てるんだよ」

「あ、悪い。その子誰」

「雅人だよ雅人」

それを聞いた時春夏さんは驚いた表情をしている。


「どうしたのその顔」

「自分の顔に自信が無いのでメイクをしています」

あれ、春夏さんの顔が妙に引きずっているな。

「どうしたらメイクでそんな顔になるの」


「今俺に出来る最高の自信作です」

「悪化してるわね、別の意味で凄いわ」

そう言って春夏さんは部屋を出ていった。


「お前はいいけど、春夏さん女性なのにあの顔は可哀想だよな」

「世間一般ではあの顔は恵まれていると言われているんだけどな。弟の俺が言うのはあれだけど」


恵まれている。何を言っているんだこいつは?

「いやいや、あれは恵まれていると言って言いわけないだろ。俺なら恥ずかしくて外も自由に歩けないよ」


「それはお前の美的センスがおかしいからな」

「おかしくないぞ、俺の美的センスは普通だ」

俺の言葉に駿はため息を吐いた。


「さっきからその態度、お前まさかまた俺の事、B選の残念思考だと思っているのか」

「あぁ、お前はどう考えてもB選だ」

B選ってブサイクが好きということだろ。


冗談じゃねぇ。

「俺はB選じゃない、普通の美的センスを持つ、一般男子高校生だ」


「じゃあ、女優の橋本〇奈と芸人のユリ〇ン。お前にとってどっちの方が美しい女性だ」


「何だよその愚問な2択は、この2人ならユリ〇ンに決まっているだろ。橋本〇奈と比べるな、あの美しい顔がお前には分からないのか」


「うん、やっぱりお前はB選だ」

なぜ、ユリ〇ンではなく橋本〇奈の方を美人だと言わないとB選になるのか。


分からなかったが、愚痴を話しきった俺は自宅に帰る。

駿の家から俺の家まで役5分くらいの距離しかない。


夕日の中を歩き、何事も無いまま、自宅に到着する。

「あ、お兄ちゃんお帰り」

玄関で出迎えてくれたのは中学2年生の妹真依だ。


コイツは兄弟ともあってメイク前の俺の顔によく似てる。

「ただいま真依」

靴を脱ぎ自室に向かおうとした。


「どうしたのお兄ちゃん。元気がなさそうだけど」

「聞かないでくれ、俺はまた好きになった同級生に振られたんだ」

妹に言っても仕方が無いのについつい愚痴ってしまった。

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