とある体験談

亜麻色スイカ

祖父の家

 たしか…あれは島根の祖父の家だったと思います。


 そう、気が付いたら私は祖父の家の玄関にいたんですよ。


 はい…家の中です。確か、靴は履いたままだったので家には上がっていませんでした。玄関扉のすりガラスが…夕暮れ時だったんでしょうね…夕日で赤色がかっていました。


 私は何をするでもなく家の奥へと続く廊下を見ていました。その廊下は、奥の居間へと続いているので…本来なら居間の扉が見えるはずなんですよ。


 はい……でもその時は、何も見えませんでした。……暗かったんです。廊下がいつもより。扉が見えるはずの辺りは特に暗くて、そこだけ夜みたいに暗かった。


 それが、なんだかとても変に思えたんです。まだ夕方なのに、この家いつもより暗すぎるなあ、と。


 はい……だからじっと見てたんです、廊下の奥の暗がりを。この家が本当に祖父の家かどうか確認するために。祖父の家なら、居間の扉が見えるので。


 そしたら……そしたら見えてきたんです。




 顔が。


















 ヤッターマンの顔が。




 はい…1号の方です。マスクが赤くて、男性でした。

 昔、テレビアニメを見ていたのでピンときました。


 はい…いや…昭和の方は見ていません。だから…その…新しい方を見ていました。はい…いや2008年ではなかったと思います。


 はい…そう…その…たしか深夜アニメだったと思います、私が見ていたのは……。はい…はい…はい………ごめんなさい、確かに最近の方のアニメですね…ごめんなさい…。


 はい……。

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